光に溢れた世界で
塾に行き、帰る時にはもう真っ暗。
好きな芸人さんは子供の頃、
田舎で、
日が暮れるまで遊び回ったと言うけど、
私は、ギラギラの都会とは言えないくらいの、
''若干都会''で、
夜まで塾で勉強をする。
真っ暗になったいつもの道を見て、
その人が見たであろう田舎の情景を想像する。
少し羨んでしまう。
あたし、
あたし、
あたし、、
あたし、、、
全然、
毎日、
別にキラキラしてないけど、
走り回って、
どろんこになったことなんてないけれど、
こうやって、
必死に勉強して、
夜1人、
若干都会の道を歩くことも、
これも全て私のためだと、
なんの話のネタにもならない今日だけど、
未来の私のためなんだ、
そうなんだと、
少し自分をなぐさめてみる。
いつもの電車に乗り、
窓に移る自分の顔をただ見つめる。
駅の階段を下り切り、
ふと空、
満月を見た。
梅雨で、夜の空も曇りばかり続いていたけれど、
その日は晴れていた。
ふふ。
ふふふ。
ふふっ
きれいやなあ〜~~~~~~!!!
思わず写真に残したくなって、
がさがさとカバンからスマホを取り出す。
残念ながら、画質は悪い。
アップしても、月の凹凸とか見えないよ。
ただ光るのみだよ。
こいつじゃあ伝わらないか〜!!
わざわざ立ち止まって撮ったのに、
ありきたりな写真になって、ちょっとかっこ悪かったけど、
後ろの人たち、
私の後ろをそそくさと通り過ぎて行ったけど、
でも、写真に残せなくてもいいやと思った。
今この瞬間、
自分の胸に響けばそれで十分だと思えた。
都会には、光が溢れている。
月だけじゃない。
街灯、
マンションの明かり、
踏切、
居酒屋の灯り、
大きな看板を照らす光。
光に溢れた世界では、輝く月だって、
沢山ある光の1つにすぎない。
通り過ぎて行った大人たち。
光の中の月。
通り過ぎて行った大人たち。
光の中の月。
通り過ぎて行った大人たち。
光の中の月。
未来の自分も、通り過ぎて行った大人たちの中に紛れていくのだろうか。
光に溢れた世界で、
それでも、
もう少しだけ、
今は、
この月を見ていたいと思って上を向いて歩いた。
