昭和53年ママの貸出カード #1 霧のむこうのふしぎな町
あの頃、どんな本を読んでたっけ?
昭和53年生まれの“ママ”が、子どもに聞かれて思い出す読書の記憶。
忘れてしまいそうだけど忘れたくない本のことを書いてみます。
「ママは何を読んでたの?」
長女が小4のとき、そう聞かれて、つかの間――。
あれ、私って何を読んでたっけ。
本について誰かと語り合うようなこと、当時はなかったような気がします。
長女は「自分で本を選べない」と言いました。
衝撃でした。
どういう意味?と聞き返すと、「背表紙を見ても、面白そうかわからない」と言うのです。
えっ、そんな慎重に選ぶの?
結果、つまんなかったなぁが感想でもよくない?
私は絶句しました。
絶句しましたが、「ああ、こういう感覚の人もいるのだな」と思い、頭を切り替えて、じぶんの選び方をことばにしてみました。
「タイトルを読んでみたり、字のデザインを見て好きなら手に取ってみてね」
「好きだなと思わなくても、なんだろう?でもいいの」
「背表紙にあらすじがあることもあるよ」
そうやっているうちになんとなく情報が集まると思うんだけど…。
それでも納得しない長女。じゃあさ、ママはなにを読んでたの?と聞いてきました。
私が子どもの頃に好きだった本をひとつずつ思い出していきました。
まず浮かんだのは、柏葉幸子『霧のむこうのふしぎな町』です。
そうだ、あれは――小学校5年生の終わりに新任の担任の先生が紹介してくれた本でした。
幸いアマゾンで見つかりました。
これは、1975年に刊行され、累計発行部数は100万部を超えるという、児童文学としてはロングセラーの一冊です。
映画『千と千尋の神隠し』との類似点もたびたび指摘されています。
この本は、主人公の少女リナが夏休みに霧に包まれた不思議な町に迷い込み、風変わりな住人たちと過ごす中で成長していく物語です。
少女が「異界」を旅するという構造は、現実との距離感に揺れる小学生の多感な心にぴったり寄り添ってくれます。
私も何度も読んで、トケのお菓子屋さんに夢で良いから行ってみたい。リナの傘を手に取ってみたいと願ったものでした。
それを読んだ長女は夢中になりました。
何度も読み返し、読書感想文に3年連続で選ぶという驚きしかない快挙を成し遂げました。
(そこは変えなくていいの?と母は心で突っ込みましたが)
背表紙の文字がぼんやりと滲むように、記憶も少しずつ霞んでいきますが、それでも本の中で過ごした時間だけは、今も私の心をそっと照らしてくれています。
皆さんにも、そんな本たちがきっとありますよね。
「あの頃」、どんな本を読んでいましたか?
思い出の本を一緒に振り返られたら、うれしいです🫶
