📚69今更ですが【少年と犬】 1166
※ヘッダー画像は表紙部分です
少年と犬
馳星周(1965年北海道生まれ、横浜市立大卒、96年不夜城でデビュー他受賞多数、今作で163回直木賞、2025年映画化)
文藝春秋 308頁
2020.5.15初版
人という愚かな種のために、神が遣わした贈り物
傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった———。
犬を愛するすべての人に捧げる感涙作
「男と犬」「泥棒と犬」「夫婦と犬」「娼婦と犬」「老人と犬」「少年と犬」の6篇からなる連作短編。
東日本大震災で飼い主を亡くした、シェパード×和犬の雑種「多聞」のロードストーリー(という言い方ってある?)。
震災で失職した和正は、コンビニの駐車場でガリガリに痩せた多聞を拾う。
認知症の母と介護する姉の生活を支えるため、犯罪に手を染める和正。
多聞が一緒だと首尾よくいき、多聞を「守り神」と呼ぶようになるが、仲間の裏切りで和正は命を落とし、多聞は南西を目指す。
多聞は行く先々で人と出会い、違う名前で呼ばれ、献身し、愛され、信頼関係を築く。
それでもなお多聞が南西を目指すのは何故なのか。
南西では何が多聞を待つのか。
多聞は目的を果たせるのか。
直木賞で話題になったときは「はいはい、お涙頂戴の感動作ね」と思って読まなかった。
映画化と聞けば「そりゃあ、動物を出しておけば間違いなくウケるものね」と斜に構えていた。
ようやく今頃読んで、爽やかな読後感に包まれた。
読了後に、各話の初出のタイミングを確認。
最終話を一番初めに世に放ったのか。
各話ごとに短編としてのクライマックスがあり、最終話には長編としてのクライマックスがある。
一話ずつは決してハッピーエンドとは言いきれないけれど、多聞とのふれあいには多幸感がある。
たとえ犬好きでなくても、きっと多聞を抱きしめたくなる。
多聞の体温を感じて一緒に眠りにつきたくなる。
多聞が単なるペットではなく、コンパニオンアニマルたる所以。
多聞、私も寄り添ってもらいたいよ。
2025.6.9
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