💁❻なぜ【買う側の責任】は問われないの? 1110
※ヘッダー画像は2023/11/20朝日新聞紙面の一部です
別々の日に掲載されたふたつの新聞記事を読みながら、「おいおいおい」と思った売買春のお話。
以下、太字は筆者。
2025/4/8
朝日新聞夕刊 NEWS+α 取材考記
妊娠•摘発の恐怖
売買春「買う側」の責任は
くらし科学医療部 大貫聡子
路上に立つ女性たちが、警察から摘発され、社会から「問題視」される一方で、買う側は摘発される恐怖を感じることもなく、なぜ買うのかを問われることがないのはどうしてなのだろう。
1956年に制定された売春防止法も、売買春を禁じる一方で罰則を設けず、勧誘したり、客待ちをしたりしたとして「売る」側に罰則を科す。
貧困や社会的孤立により、生きるために売春せざるを得ない女性がいる。
擁護する気は全くないけれど、原因がなくならない限り、いくら摘発しても繰り返すことは想像に難くない。
だって手っ取り早い収入源だから。
「女はいいよなぁ、いざとなれば体を売ればいいんだから」
こんなセリフを見聞きしたことはないですか?
発言するのは男性。
売られた体を買うのも男性。
買う男性がいなければ、売春は成り立たない。
逆に言えば、買う男性がいるから、売って稼ごうとする女性がいる。
買う男性がいなかったり、売っても大した稼ぎにならなかったりすれば、誰が好き好んで体を売ろうと思う?
妊娠や病気などのリスクを負いながら、生きるために体を売る女性は犯罪者。
他方、快楽のために女性の体をお金で買う男性にはお咎めなし。
立場によっては問題になることがあるにしても、あまりにも不公平。
百歩譲って、女性を貧困から救うつもりなら、ヤラないで仕事かお金をください。
新生児遺棄事件などの裁判で、父親の影は薄い。判決で、「被告となった女性に向けられる「無責任かつ身勝手な犯行だ」という言葉を聞くたびに、本当に無責任なのは誰なのか、と考えさせられる。
買う側、妊娠させる側を見えないままにしていていいのだろうか。
望もうが望むまいが、妊娠するのは女性。
やむを得ず産んだ子どもを、やむにやまれず殺害•遺棄すれば、女性は犯罪者。
真に「無責任で身勝手」なのは、姿を潜めて現れない父親の方ではないの?
いくら女性が孕む性だとしても、女性だけで妊娠できるわけはないのに。
社会は男性の快楽に寛容すぎない?
「現在日本社会=男性社会」という既得権益を手放さない限り、男性の無責任や身勝手はなくならないんじゃない?
体を売っている女性にだって人権はあるのに。
男女が決して平等ではないことに、一体いつまで気づかないふりを続けるつもりなんだろう?
2025/4/16
朝日新聞夕刊 社会面
「もうやめよう」色で後押し
売春「客待ち」道路の塗装で9割減
近藤咲子
見通しが悪く、人目を避けてホテルに入れる一角。
多いときには売春の客待ち女性が同時に10人以上立つこともある。
一昨年の夏以降、売春防止法違反容疑で30人以上を逮捕•書類送検したが、取り締まりだけでは限界。
*「ナッジ理論」を活用し、昨年12月、管轄署や地元住民は客待ちの多い道路約100mを黄色に塗り、専門学生がデザインしたステッカーを路面に貼付。
塗装前1週間の客待ちは平均7.43人(最大17人)、塗装後の1週間は0人、2ヶ月後の1週間平均は0.86人(最大4人)と9割減。
*ナッジ理論:「そっと後押しする」という意味。心理的に働きかけて自発的な行動を促す方法
黄色く塗装することで、目立つ場所にいづらくなる人間の心理を利用した
一時的にその一角から客待ち女性を追い出せたとしても、違う場所で客待ちをするかもしれないし、違う方法で売春を続けるかもしれない。
必要に迫られれば、形を変えてでも続けていこうとするのは当然。
地元住民から「歩きやすくなった」と歓迎されているが、売春の背景は借金苦であり、根本的な解決には至っていない。
摘発した女性のうちの28人は平均24.4歳、6割以上が借金あり、ホストクラブへの支払いありも6割超。
神戸大学大学院原口剛教授(社会地理学)は「客待ち女性を『どう立ち去らせるか』を考えるアプローチは対処療法的。なぜそこに女性が立つのかを考える必要がある」と指摘。
売春をなくそうとするならば、当たり前だけど男性に買春させないこと。
女性を貧困や孤立から救い出し、生活や就業を継続的に支援すること。
買春は、金銭を使ってマウントをとる卑劣な性加害。
買春は恥ずかしくてみっともないことだという認識を共有してほしい。
路上売春する女性らへの立ち直り支援のため、署が行政の支援機関につなぐ取り組みを昨春独自に開始。
女性が望めば、捜査後に警察車両で自治体窓口まで送り届ける。
女性が必要な支援を受けられる体制を整えるなど踏み込んだ対策を進めたい。
自治体の窓口だけでは受け皿が限られるだろうから、ソーシャルワーカーや自助グループなどとの連携や継続的なフォロー体制があるのが望ましいと思う。
せめて、窓口の対応が杓子定規でないことを祈りたいところ。
でもね、一体どれくらいの女性が警察車両でお役所まで連れて行ってもらいたいと思うんだろう……
どちらの記事も、買う側の男性は不在。
本気で売買春をなくそうとするのなら、買う(買った)男性を取り締まり、教育する必要があるんじゃないの?
捕まえたところで言い逃れはするだろうけれど、少なからず抑止力にはなるでしょう。
男性を責めたいわけじゃない。
ひょっとして、自身の欲望に忠実なだけじゃないか?
欲望をコントロールする術を知らないだけじゃないか?
都合の悪いこと(例えばジェンダーバイアス)に蓋をしているだけじゃないか?
自分の行為がもたらす結果や女性の心情を想像できないだけじゃないか?
女性が被る不利益を知らないだけじゃないか?
だとしたら、遠回りであったとしても子どもの頃からの包括的な性教育の拡充は必須。
売買春は、性の問題だし、ジェンダーの問題だし、何より人権の問題。
決して女性だけの問題ではないよね。
2025.4.18
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