📚88【還暦から始まる】楽しみはいつからでも 1318
※ヘッダー画像は表紙部分です
還暦から始まる
山中伸弥(1962年大阪市生まれ、12年ノーベル生理学•医学賞、京都大学iPS細胞研究所名誉所長、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団理事長)
谷川浩司(1962年神戸市生まれ、83年史上最年少名人位獲得、日本将棋連盟会長、十七世名人)
講談社 202頁
2024.6.18初版
1962年生まれ。
同い年の永世名人と
ノーベル賞学者が
縦横無尽に語り合った!
「老後」は存在しない
「老い」の正体から、自分たちのこれからの役割、「下り坂」の楽しみ方、理想の死に方まで
全く異なる業界で活躍されている一流の専門家。
そんなおふたりの同い年対談が実現。
60歳•還暦以降を「老後」「下り坂」ではなく、「役割りの変化」「次世代への継承」と捉え、余生としてではなく「人体実験」と称して楽しんで生きる。
多岐に渡る話題のお陰で「iPS細胞って聞いたことはあるけれど……」「将棋のルールも知らないわ」という私も緩々と拝読。
緩々といい加減な読み方の中で、興味をひかれた箇所の中のほんの一部を、引用•抜粋•要約してご紹介(太字は筆者)。
谷川 「(山中さんの)個人の健康寿命も大切だが、社会の健康も大切」という言葉が印象に残っている。できるだけ長く心身ともに健康を維持することは、それぞれの幸福のためばかりでなく、じつは社会貢献にもつながる。
谷川 経験というのもプラスに作用することもあれば、マイナスに作用してしまうこともあると思う。
山中 それまでの経験から「これはできるはずがない」「きっと失敗する』とブレーキをかけてしまうことがある。研究には知識や経験は当然必要だが、それが時に邪魔することがある。
谷川 (山中さんが続けている)長距離マラソンは、体だけでなく、頭にもいい影響を与えるのですか。
山中 「ランナーズハイ」というなんとも言えない幸せな感覚、高揚感とか恍惚感を感じる物質が出ると、以前からよく言われている。骨に刺激を与えたときに、骨から出る物質が体も脳も若返らせるということもわかってきている。
何歳まで生きて、何歳まで健康寿命を保っていられるか、人体実験です。笑
山中 アメリカの大規模調査では、睡眠時間が七時間の人が最も死亡率が低く、長寿だったというデータが出ている。睡眠不足が長期間続くと、うつ病や認知症、心臓病、脳卒中、高血圧、糖尿病などいろいろな健康リスクが高まることがわかっている。
寝ている途中で起きたら、睡眠薬を少しだけ飲んだりして、無理やりにでも七時間くらいは寝るようにしている。
山中 八十、九十でお元気な方は、かなりの確率で歯が丈夫。「全部自分の歯です」という方が圧倒的に多いし、朝からステーキを食べる方もいる。脳を含めた健康寿命を保つために、歯の健康もきっと大切だと思う。
谷川 私はいつも「適度なストレスは人間を成長させる」と言っている。
山中 交感神経を刺激し、判断力や行動力を高めるし、十分なパフォーマンスを発揮するためには必要。一方過度なストレスは脳にかなりダメージを与えると言われている。対局はかなり長い時間、緊張を強いられると思うが、過度なストレスになるのか。
谷川 残り時間を三十秒、四十秒と秒読みされるのはやっぱり身体には悪いと思う。でもまったく逆の意味で、秒読みのときは「ああ、自分は将棋の棋士なんだな」と自覚できる瞬間でもある。
山中 (中学時代に柔道を教えてくれた)先生が「レジリエンスというのは、つらい出来事があったとしても、しなやかに対応して生き延びる力のこと。震災みたいに大変なことが起こったときに希望を失わずに立ち直る人がいる。そういう立ち直る力のことをレジリエンスという」
「レジリエンスは生まれつき備わっているものじゃない。後からでも鍛えることができる」
「(どうやって鍛えるかというと)感謝だと思う」と。
……とまぁこんな感じで対談は続く(谷川浩司さんの発言が少ないわけではありません)。
「専門的なことは何にもわかりましぇん」な私も、「そうそう」「解る解る」「ふむふむ」「なるほど〜」と、最後まで興味が途切れることなく読了。
最後は「おわりに」から山中伸弥さんの言葉をご紹介。
山中 下り坂のときは必ずやってくる。私の場合はもう間もなく。しかし不安はない。下り坂には下り坂の楽しみ方があるはず。そういう気持ちを忘れずに過ごすことを心掛けたい。
悲観的で、後悔や不安を手放せないでいる私。
いつでも、幾つになっても、その時々の状況に応じた「楽しみ方」はあるはずですって。
anti agingより
with aging?
well being?
下り坂を恐れる必要はないみたい。
ねっ、AIさん?
いいところに目が止まったね。
あの一文、静かで強い。山中さんらしい達観というか、研究者のまなざしで人生を見てる感じがする。
“下り坂の楽しみ”って、決して強がりじゃなくて、重力に抗わずに景色を味わう余裕、みたいな意味にも取れるよね。
若いころの「登る楽しみ」とはまったく別の種類の充実。
あなたがその言葉に励まされたの、すごく自然だと思うよ。
全記事をマガジンに収録しています 2025.11.8
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