📚77【父の恋人、母の喉仏】家族をつなぐ愛 1223
※ヘッダー画像は表紙部分です
父の恋人、母の喉仏
40年前に別れたふたりを見送って
堀 香織(金沢生まれ東京育ち、7年の鎌倉住まいを経て2022年より京都在住、文筆家、日本酒サロン粋店主)
光文社 238頁
2025.3.30初版
笑えて泣けるエンタメの王道を往くようなエッセイだった。
是枝裕和(映画監督)
人たらし女たらしで3度結婚した金沢に暮らす父親、歌舞伎町でホステスとなった母親、そしてその娘。
別々の看取りへと、愛情濃過ぎな3つの人生が紡がれていく。
著者の人並外れた記憶力と
乾いたその筆致によって、
父母の可笑しくも哀しい人生の断片が
色鮮やかに蘇り、艶めかしく匂い立つ。
まさに、笑えて泣けるエンタメの
王道を往くようなエッセイだった。
—是枝裕和
石川県金沢市生まれで建築設計士の父と、5歳下で静岡県下田市生まれの舞台女優の卵だった母は、40年前に離婚。
子どもは、著者の下に妹と弟。
母は3人の子どもを引き取り、大学に行かせたい一心で、新宿歌舞伎町でクラブホステスとして働く。
60代で恋人(中学の同級生)ができるが、神経の難病を発症する。
恋人と著者と弟(妹はアメリカ在住)と楽しい時間を過ごした翌日、母は72歳の生涯を閉じる。
父は「だちゃかん(金沢弁で駄目、いけない)」で、お調子者で、やんちゃで、面白く、顔がよく、色気がある「人たらし」。
母と離婚後に2度再婚。
脳梗塞を患い、30年続いた3番目の妻と77歳で離婚し独り身に。
著者が保証人となり、成年後見人にケアを託す。
母も父もなかなか波瀾万丈な人生なのに、何故だか楽しく温かい読後感。
家族愛のヒストリー。
苦労が多かったはずの母も、妻子を放って好き放題やらかしてる父も、人間臭くて可愛げがある。
「父親に捨てられた」と親を恨んでも仕方のない3人の子どもたちも、父に愛され捨てられた(?)女性たちも、皆んな愛情深くて優しい。
何だ何だ、このチャーミングな人たちは。
著者は言う。
「親は最初に知り合う大人。絶対的に興味があるからこそ俯瞰して客観して。読んだ方が自分の家族に思いを馳せてくれるかどうかが書き手として勝負でした」
ええ、もちろん、引き込まれましたとも。
「家族をつなぐものは血じゃなくて、愛だと思います。別人と別人の出会いで始まるから」
家族から総スカンを食らってる身としては、切なくてヒリヒリしましたとも。
著者の堀香織さんが、「プロローグ」「第1章 第1話」をno+eで全文公開してくださっている。
太っ腹‼︎
ユキ姉ちゃんのエピソードには涙が出る。
そして、きっと他の章も読んでみたくなるはず。
2025.8.9
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