📚110【虚弱に生きる】健康というスタートラインを目指す 1574
※ヘッダー画像は表紙部分です
虚弱に生きる
絶対に終電を逃さない女(1995年生まれ、早稲田大学文学部卒業後、体力がないせいで就職できず、専業の文筆家となる)
扶桑社 222頁
2025.11.5初版
SNSを中心に話題沸騰!
4万部突破!
虚弱体質で生きるリアルをつづった新時代のサバイバル・エッセイ
20代にして老人並の身体。
労働する体力も恋愛する充気もない。
病気ではない。でも、こんなにも生きるハードルが高い——。
持病はなく、大きな病気をしたことも感染症に罹りやすいわけでもないのに、何だかよくわからない不調が常にあり、体力や気力がなく、活動量が少ない著者。
体力がないゆえ就職は叶わず、今でも働けるのは1日4時間が限界。
年収が100万円を超えたことはない。
虚弱が辛いのは、お金がないことより時間がないこと。
1日4時間しか働か(け)ないのに、時間がないってどういうこと?
睡眠時間は10時間以上必要で、夜更かしなんかできない。
体力をつけるには運動をしなくちゃいけない。
食事(自炊)にも気をつけなくちゃいけない。
やむを得ない体調管理に時間がかかりすぎて、常に時間が足りない。
「でもお前、早稲田出てるじゃん(P200)」
私もほんのちょっとだけそう思ってしまった。
田舎の自称進学校にも奇跡のようにポツンと一枠だけ指定校推薦枠があったり、校内に他に希望者がいなかったり、選考が簡単な小論文だけだったりしたらしい。
ラッキー‼︎
その大学生活も出席するだけで精一杯。
忙しくて、バイトもサークル活動にも参加しなかった。
帰宅すれば座り込んでしばらく動けず、4年間で通読した本は片手で数えられ、授業以外の学習時間は皆無。
家事も週1回の洗濯程度。
授業中に居眠りするのは怠け者だから?と自己嫌悪。
人並みの睡眠時間では足りない(10〜12時間睡眠が必要)と気づき、居眠りは減った。
「動けない」「忙しくて時間がない」理由は、体力がないから(虚弱)だと、後に解った。
体力づくりに取り組みだして初めて、健康な状態を知り、幸せとは健康のことだと気づき、今も健康というスタートラインを目指して走っている。
著者が実際に試した(ている)、体調管理に関わる具体的な方法が多数紹介されている。
本書の内容は「こうして虚弱から抜け出しました」でも「虚弱でも心配しなくて大丈夫」でもないけれど、参考になったり気が軽くなったりする方はいらっしゃると思う。
著者は今もなお、体力がないなりに健康になるための努力を続けている。
「体力がなくても、お金を稼げなくても、独り身でも、それなりに幸せな女になってみたい(P175)」というのが願い。
私は体力も根性もそこそこあり、精神的にもまあまあタフで、逆境に強い。
そんなふうに思っていたし、恐らく他者もそう感じていただろうと思う。
前職時代は特に。
うつ病と診断され、体力やメンタルのキャパが小さく狭くセンシティブになっていたこと、ストレス耐性がうんと下がっていたことに、初めて気づかされた。
眠れないし体力も気力もないし、健康な状態を取り戻す努力をしようという気にもなれない。
休職して仕事もしていないのに、時間だけはどんどん過ぎてしまう。
人並みでない自分、元に戻れない自分を不甲斐なく感じて焦ってばかりいた。
今も未だ回復の途上だけれど、振り返ってみると本書に書かれている、「どうしたって体力や気力が湧いてこない」「体力がなくて何をするにも時間がかかる」「何もしてないのに時間がない」状況だった。
著書の虚弱エッセイは、「同じような人がいると知って救われた」という共感によってバズり(P005)、著者もまたその反響に救われたという。
解る気がする。
「最近になってようやく、虚弱なりに生きていく覚悟ができたところである。私は虚弱が治ると信じていないが、虚弱でも生きていけると、信じている。(P007)」
人と比べることなく自分の状況を把握する。
「自分さえ我慢すれば」と我慢しない。
「無理をすれば何とかなるかも」と無理をしない。
それを許容できる社会であれば、虚弱な人もそうでない人も、共に生きやすいはずだ。
2026.7.27.月
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