⭐︎幕を引く 1388
行きつけの……いや、それでは飲食店みたいよね。
もとい、かかりつけの整形外科が閉院。
昨年11月にお知らせをいただき、途方に暮れていた。
「でも未だ2ヶ月あるし」と思っていたのに、あっという間にXデー。

2003年春頃だったか、足背に腫瘍ができた。
痛くも痒くもないけど、大きくなったら嫌だし、悪性だったらもっと嫌。
たまたま近所だから行ってみたのが初診。
切除することになったとき、失礼ながら「手術ってもっと大きくて設備の整ったところで受けるものでしょ?」「この先生、手術のご経験あるの?」と思ってしまった。
無問題でした。
いつも穏やかで優しく、患者に対してもスタッフに対しても妻様(薬剤師)に対しても丁寧な敬語で話される。
先生は元々救急病院の副院長をしていらっしゃったから、どんな症状でも(外科的でなくても)大概診てくださる。
専門医への紹介•連携も的確だし、何かあればここに駆け込めばいいと思える安心感が半端ない。
予防接種や健康診断を受けたこともあるし、アレルギー薬を処方してもらったこともある。
足の腫瘍以外にも、脹脛に骨が見えるくらいの裂傷を負ったとき(労災)、膝を2箇所骨折したとき、刃物で指先を深く切り血がドクドクと止まらなくなったとき、頸椎と腰椎の椎間板症、肩の疼痛が酷すぎて腕が動かなくなったとき、左掌に謎の瘤ができたとき、皮膚トラブルや胸痛など、他にも本当にいろいろとお世話になった。
診療代がこれまた良心的。
保険診療の点数は決まっているのに、とんでもなく安いのは、どうして?
レントゲンを撮っても1,000円を超えたことがないし、電気療法や低周波療法や運動療法を受けても再診料のみで、プラス料金は請求されない。
牽引やマッサージを受けても再診料だけ(らしい)。
電気療法や低周波療法やマッサージには、機器と電気代が必要でしょ?
リースなのか買い取りなのか知らないけど、イニシャルコストもランニングコストもゼロってことはないでしょ?
欲がないにも程がある。
以前、運動療法にはPNF専門の先生(トレーナー?)が常駐していた。
マンツーマンで予約制、2回/週まで受けられて、やっぱり追加料金なし。
PNFの先生はボランティアではなく、報酬を受け取っていらっしゃったのに?
「整体•整骨•マッサージに行くより、PNFの先生の方がよく効く」と、ファンが大勢いらっしゃり、予約は争奪戦。
私も前職時代は、シフトの合間を縫って予約を取り、メンテナンスしてもらっていた。
シフトの兼ね合いで、私が行けるのは1/20(火)午前診が最後。
出勤前だし、今痛いのは歯茎だけだし、行けば医療費の無駄遣いになるし、でも訊きたいことがあるし、先生に感謝の気持ちも伝えたい。
電気療法を受け、最後の診察を受ける……というか質疑応答。
順番を待ってる方々、ごめんなさいね。
直ぐに終わりますから。
先ず率直に、「私は今後どこにかかればいいのでしょう?」
通院の手段を尋ねられ、自転車か路線バスだと伝える。
バスで行けるB、路線は違うけど自転車で行きやすいのはケーキ屋さんの向かいのY、スーパーの近くのO、モノレール駅近くのAを教えてくださり、
「どの先生もしっかりと診てくださる良い先生です」って。
お人柄と相性は自分で確かめるしかない。
「過去の診療情報が必要になったときはどうすればいいのでしょう?」
カルテの保管義務は3年。
閉院後は倉庫を借りて保管する予定。
私の場合、今までの怪我などは治療歴がわからないと困るような状況ではないため、心配は無用ですって。
気になるのは左掌の瘤。
初めて気づいたのは2024年。
診ていただいたのは2025年4月2日。
小康を保ってるけど、左掌に鎮座したままで消えてはくれない。
「新しいところで診てもらったら、改めて検査されるでしょうが、気になるならレントゲンフィルムをお渡ししますよ。
保管義務はありますが、ご本人にお渡しするのは問題ありません。
ご本人の情報はご本人のものですから」
「手の写真と、膝の写真も2枚(骨折後の右膝と、骨折した右膝を庇いすぎて痛くなった左膝)お渡ししておきましょう」
「それ以前(首•肩•腰、その他いろいろ)のは、持っておられても参考にはならないので、必要ないと思います」
助手さんにササッと指示を出し、助手さんがササッと用意してくださる。
カルテに「貸し出し」と記録し、封筒にも「貸し出し」と書いてあるけど、
「お気になさらないでお持ちください」って。
もう返したくても返せないもんね。


名残りは惜しいけど、いつまでも先生を独占するわけにはいかない。
先生を信頼していたこと、ご近所にいらっしゃることに安心していたこと、だからこそ閉院が残念でならないことを伝え、今までのお礼を申し上げる。
「せっかく信頼していただいていたのに、ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
いけね、謝らせてしまったじゃないの。
閉院を責めるわけじゃなく、それほど信頼してたってことをお伝えしたかっただけ。
「お体にお気をつけてご活躍ください」と伝え、そそくさと退室。
会計を待つ間、診察室から漏れ聞こえる先生の声が「もう仕事はしないんです」と仰っていた(ような気がする)。
どんな理由で閉院されるのか知らないけど、週に2〜3回だけでも診療するってわけにはいかないの?
勿体ないと思うのは私の勝手だけど、他の患者さんも皆んな思ってると思う。
受け付けの方々と助手さんにもお礼とご挨拶。
彼女たちはきっとご近所にお住まいだろうから、いつかどこかでバッタリお目にかかれるはず。
早く次のお仕事が見つかるといいし、しばらくの間のんびりされてもいい。
幕を引くのは時として、新たに始めるよりも大きな決断と多大なエネルギーが要る。
始めたときより遥かに多くの人•物•事を抱えてるから。
お忙しくて感傷に浸る間もないでしょうね。
私はやっぱり途方に暮れてます。
2026.1.22.木

……と思ったら雪が降ってきた
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