⭐︎黒ネコに悪気はないけれど 1220
「ここは『(姓)さん』のお宅じゃないんですか?
アナタ『(姓)さん』じゃないの?」
ここは間違いなく「(姓)さん宅」だし、確かに私は「(姓)さん」。
だけどその荷物(お中元?)を受け取るのは私じゃない。
*****
むか〜し昔、カレシがいた。
Hという。
結婚するとき、「あんなに優しい奴は他には居らんから、大事にしてやってくれ」と、Hの(何人かの)男友達から言われた。
それって、「花子のこと幸せにしないと、私たちが承知しないからね‼︎」と、新婦の女友達が新郎に言うセリフやん。
まぁ、それほど優しい人なら結婚生活は安泰のはず。
夫になった途端、Hの背中のファスナーがパックリと開き、中から不機嫌な人が出てきた。
これって優しさの進化系?
それとも何かに憑依されちゃった?
小6の頃から母の信仰を押し付けられてきた。
「因は己にあり」「他者を責めずに自分が変わること」「妻は夫に従うべし」「家事は妻の役目」「夫が機嫌良ければ家庭は上手くいく」……
私のどこが悪いんだろう?
私は何を努力すればいいんだろう?
当時はモラハラなんて言葉も概念も知らなかった。
「私が変わらなければ」と、我慢、我慢。
子ども好きを公言してたHは「子どもさえいなければ……できるのに」と言う。
私が赤ん坊の世話をすると、「俺は放りっぱなしにされてる」と言う。
夜泣きすると「早く泣き止ませろ」と言う。
たまにオムツ替えを頼むと、「外で仕事してるのに、(家で子どもの世話までするのは)損」と言う。
私、もっともっと変わらなくちゃダメみたい。
Hは「愛妻家の俺が好き」で「子煩悩な俺が好き」で「家庭を大事にする俺が好き」。
外での演出には長けてるから、友人や仕事仲間や親戚からは、まんまとそう思われていて、家の中と外では別人。
未だ私の努力が足りないの?
Hと共通の男友達からこっそり「独身時代にHにデート費用を貸していた。全額返してもらったけど」と言われて驚いた。
結婚後、貯金はしないし生活はカツカツなのに車•ロードバイク•PCなどの趣味や付き合いには注ぎ込む。
子どもが大きくなると、Hは私に内緒で子どもからお金を借り、遂には生活費を渡してくれなくなった。
これも私のせい?
離れることにした。
お金だけが原因ではない。
私、割りと我慢強い方だけど、我慢だけではどうにもならなかった。
いろんなところに書き散らしてる。
Hと私は、書類上でお別れすれば赤の他人。
3人の子どもたちはHのことを嫌っているけれど、血は繋がってるし、残念ながら親子の縁は切れない。
ところがHは、当方からの連絡を拒否し、生存も所在も判らない。
郵便局への転送依頼は継続してないようで、H宛ての郵便物がウチに届くこともあれば、先日はファックスが届いたし、ゆうちょ銀行から「口座のことで」と電話がかかってきたりもした。
「ピンポ〜ン、○マトです〜」
モニター画面には、初めてお目にかかる配達員さん。
下駄箱に置いてるなんちゃって○ャチハタを手にドアを開ける。
配「(姓)さんでお間違いないですか?」
私「はい」
……と伝票を見るとH宛て。
差し出し人は知らない人だから、恐らくHの仕事関係。
「その人(H)の転居先は判らないので、受け取れません」
配「解りました、では『受け取り拒否』ですね」
……と言って立ち去ろうとする。
私「待ってください。
差し出し人さんには『受け取り拒否』ではなく『転居先不明』と伝えてください」
配「ここは『(姓)さん』のお宅じゃないんですか?
アナタ『(姓)さん』じゃないの?」
私「そうです」
配「じゃあ、『受け取り拒否』ってことで」
どうしても「受け取り拒否」にしたいらしい。
私「本人が拒否してるワケじゃないし、拒否されたと思ったら、差し出し人さんのご気分が悪いでしょう?
その人(H)、以前はここに住んでたんですけど、転居先を知らないんです」
私ったら、初めて会った配達員さんに何故こんな説明をしてるんだ?
配「(伝票を指差し)この(Hの)電話番号は通じないんですか?」
私「私がかけても出ないんですけど、『転居先不明』で荷物が戻れば、差し出し人さんが(Hに)確認の電話をすると思うんです」
配「はぁ〜ん、拒否されてるってワケですねっ‼︎」
そうですよ、着拒されてますけど何か?
そんなに面白いですか?
私「だから『受け取り拒否』ではなく『転居先不明』と伝えてください」
配「じゃあ、『住所不明』ってことにしときますわ」
何だ、「受け取り拒否」じゃなくてもできるんやん……
配達員さんに悪気はない(多分)。
ご自身のお仕事を全うしようとされただけ(多分)。
手間が増えるのもクレームが来るのも嫌だろうからね。
それにしてもドアを開け放して、いったい何ていうやり取りをしてるんだか。
よくよく考えてみたら、「受け取り拒否」で荷物が差し出し人に返却されても、私はちっとも困らないんだった。
Hが「受け取りを拒否した嫌な奴」だと思われようと、差し出し人さんが「受け取りを拒否されたと思い込んで嫌な気分」になろうと、私の知ったこっちゃないんだった。
次は「住所不明」と私から配達員さんに言おう。
いや、次なんてない方がいいな。
こんなやり取りがあったことを、Hが知ることはない。
私は、Hが生きてるかどうかも知らない。

土の上に移ってもらった
2025.8.6
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