💁📚74【母親になって後悔してる、といえたなら】母なら我慢しなくちゃいけないの? 1203
※ヘッダー画像は表紙部分です
母親になって後悔してる、といえたなら
語りはじめた日本の女性たち
髙橋歩唯(1989年新潟県生まれ、NHK報道局社会部記者)
依田真由美(1988年千葉県生まれ、NHK報道局社会番組部ディレクター)
新潮社 285頁
2024.10.25初版
以前に「産む気もないのに生理かよ!」という本をご紹介してから気になって、是非とも読んでみたいと思っていたのが本書「母親になって後悔してる、といえたなら」だった。
先ず「母親になって後悔してる、といえたなら」というタイトル自体がセンセーショナル。
後悔とは言えないまでも「子どもがいなければ‥‥‥できるのに」と、ほんの一瞬も思ったことがないと言い切れる母親は一体どれだけいるんだろう?
私は母から何度も「お腹に戻してやり直したい」と面と向かって言われた経験がある。
とても嫌だったので、自分の子どもたちに言わなかっただけかもしれない。
もうひとつ気になっていたのが、インタビュアーであり著者である2人の女性。
新聞記事で、ひとりは取材期間中に妊娠が判明して子どもを迎える選択をし、もうひとりはパートナーとふたりの生活を維持することを選択したことを知ったから(2025.2.19朝日新聞「子ども産み後悔」語られた思い)。
本書は、「母親になって後悔したことがある人(1〜7章)」「後悔していない母親(8章)」「母親の後悔を知った子どもたち(9章)」へのインタビューと、「母親たちの話から見えること(終章)」で構成されている。
「後悔している母親」とは、「母になったことを後悔している」と話す人、もしくは「母にならなければよかった」と何度も考えたことがある人たちのことを指す。
インタビューされた母親や子どもの年齢や環境は、実に様々。
えっ⁇と驚くようなケースも、「解る解る」と大いに共感するケースもある。
多くのケースに共通して感じるのは、父親の不在。
いや、いるんだけど、どうしてそんなに他人事?
母親ひとりでは妊娠できないのよ。
母親と夫婦であるかどうかは別として、子どもがいて母親がいるってことは、父親もいるってことでしょ?
なぜ母親は、子どものために使う時間の余りで自分の人生を捻出しなければならないのでしょう。子どもを産んでから、私は私自身がどんどん透明になってゆくように思いました。自分自身が薄まって蒸発して消えてゆくようでした。 (2児をワンオペで育てた女性)
全員とは思わないけれど、多くの父親は、母親が妊娠したときに「自分のキャリアが途切れるかも」とか「保活どうしよう?」とは考えないんじゃないの?
子どもが生まれてから「ちゃんと育てることができるのか?」と不安に苛まれることって少ないんじゃないの?
実際には、育児に協力的な父親は沢山いらっしゃる。
でも、協力って⁇
「主体的に」、何なら「リーダーシップを発揮して」子育てして欲しいんだけど?
母親にしかできないことは、「妊娠」「出産」「母乳授乳」以上。
それ以外のことは全て父親ができる‼︎
もし母親が、義親(父親の実親)や教育者や医療従事者から理不尽なことをされたり言われたりしたら、ぜひとも父親が矢面に立ってほしい。
てか父親になら、そんなに理不尽で失礼なことをしたり言ったりしないだろうに、なぜ母親になら平気でしたり言ったりするんだろう?
勿論、後悔の原因は父親だけに限らない。
ただ日本の社会って奴は、少子化にしても子どもの育ちにしても、問題や責任や解決策を女性に押し付け過ぎる傾向が往々にしてある。
「母性愛」とか「母親神話」なんていうファンタジーが、未だに強く根付いてるんでしょうね。
決して勘違いしてもらいたくないのは、後悔している母親は「自分が母親になったことを後悔している」のであって、子どもの誕生や成長を否定してはいないこと。
「子どもたちが生まれてこなければよかった」ということでは決してないってことなんです。
(49歳3児の母)
子を産んだ後悔は子を産んだ喜びや楽しみを相殺するものではないとも思っています。
(50代2児の母)
子どもを持ったことに後悔はないです。この社会で母になったことに後悔があります。
(MBAを取得したワーキングマザー)
子どもたちを産んだこと自体は後悔していないんですけど、母親という役割を演じ続けなければいけない。それが、つらいんですよね。
(44歳、子育て罰を感じ続けた女性)
取材過程を発信すると、日本の少子化が更に進むのではないかという声もあったらしい。
逆じゃない?
母親の実態を知る方がいいんじゃない?
「母親たる者は……」なんていう古臭いテンプレは、とっくの昔に時代遅れ。
少子化の理由を、母親の後悔に押し付けないでくださるかしら?
本書は、母親たちのためだけのものではない。父親や祖父母、子育ての担い手を支える人、そして親になった人、ならなかった人、これから選択する人など、あらゆる人にとって、母親に起きている現実の一部を知ることが、それぞれの行動や選択のための一助になればと願っている。
「私は、世間が押し付ける母親としての役割に振り回されないぞ」と意気込んでいたが、いざ出産してみると、しっかり振り回され続けている。
子どもを産んで改めて、世間の目や自分の固定観念から逃れることは、どれほど難しいことなのかと、まざまざと思い知らされた。
母親になったことを悲しんでもいい、怒ってもいい、後悔してもいい、そう言ってもらえている気がした。
ぜひとも老若男女にお読みいただきたいと思う。
自分には関係ない?
そうかしら?
アナタだって母親から生まれてきたんじゃないの?
2025.7.20
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