メトロンズを生で見れる人生
先日、メトロンズを生で観る機会に恵まれた。
まさに恵まれたという表現がぴったり当てはまった。ずっと配信で観ていたメトロンズ。多分生で観ることはないんだろうなと勝手に思っていた。
その日は新宿で夜からライブを観る予定があり、昼は映画を見るか、買い物でもするか、足を伸ばして大好きな場所の空気でも吸いに行くか、決めかねていた。色んなプランがあるなか、メトロンズやってるけど夜だしな、と勝手に勘違いをしていた。
昼だった。見れるやないか。
秒でチケットをとる。
決断力ではない。こういう時ものをいうのは瞬発力だ。ポチ!の瞬間は何も考えていない。ほとんど反射神経。ほとんど獣。これが出来る人は貯金ができない。
あとのことはあとで考える。あとの祭りとはよく言ったものだ。これだから貯金はできない。
赤坂に行った記憶は2回。2回とも今は亡き赤坂ブリッツ。一回目はエレカシ。二回目はカスケード。三回目がメトロンズ。
初めて赤坂見附で降りる。
赤坂レッドシアター。
階段を、降りる。
生で演劇を観る機会は無かった気がする。
振り返るとディズニーのパークに入り浸ってしぬほど見たショーやパレード。いやそれはまたきっとちょっと違う。
メトロンズ、それぞれが凄腕のコント師集団。集まって創る演劇。お笑いとは一線を画す、その唯一無二のエンターテイメント。
会場に入るとsnsでみたセットが広がっている。音楽のライブともお笑いライブともまた違う客層。セットを見ながら、配られたフライヤーに目を通したりして、これからはじまる物語を待つ。これがまた楽しい時間だった。静かに胸が躍る時間。
メトロンズ第9回公演
「No Sing,No End」
今回の大きな見どころのひとつは、メトロンズ初、客演の女優さんが入ること。川上友里さんと福井夏さんのおふたり。
世界的舞台で魔法使いの関町さんはお休み。
さて。
舞台を見て感じたことを書く。
ストーリーは割愛します。
まず、女性陣が入ったことで感じたこと。
明るく、華やかで、にぎやかで、いつもとは一味もふた味も違う、ハリとうるおいがある。
女性ならではの力強さや、エネルギーというのはやはりあって、男性のそれとはまた違う、しなやかな表現力と生命力が、メトロンズに新しい世界を拓いたと感じた。
川上さんの感情の激しさは嵐のようだったし、福井さんのパキッとしたキッチュなキャラクターも色々な場面でアクセントになっていた。
おふたりともとても鮮やかだった。
女優さんが出す色ってすごいなぁと思った。
おふたりともぎゅんぎゅん舞台を引っ張ってらした。とても素敵で、憧れた。かっこよかった。
メトロンズの面々を生で見た印象を書く。
まずは脚本も手がけるしずるの池田一真さん。
今回のキャラクターはナチュラルなキャラだった。挫折もあり、屈折もあり。地に足がついた人間味がある役。リアリティがあって、漢っぽくて素敵だった。池田さんの存在感って日本人ぽくない時もある。海外の俳優さんみたいな、稀有な雰囲気も持ち合わせた、変わった人。今回はしっかりどこにでもいそうなお兄さんだった。近い時と遠い時の差が激しい。とても魅力的。
しずるの純さんは今回特にエキセントリックなキャラ。何考えてるかわかんない。先が読めない。白黒ハッキリしない。アブナイ。一番恐い役。そういう役がまた似合う。前作がハマり役すぎたと思ってたけど今回の役もバチっとハマってた。池田さんはいい意味で生活感があって、純さんはいい意味で生活感がない。しずるって2人とも違う色気があっていいコンビだと思う。
サルゴリラは今はなきファンクネット(東京NSC9期、囲碁将棋、ゆったり感、サルゴリラ、シンガリのユニット)でよく観る機会があった。小さく暗い大宮の劇場で紙コップをなぎたおしたり、名探偵になって舞台を支配する児玉さんを観ていたが故に、メトロンズを生で見た時の迫力に圧倒された。
今回の児玉さんの役は穏やかな紳士。かと思いきややはり児玉さんだった。メトロンズには珍しくしっかり児玉劇場でめちゃくちゃ笑った。児玉さんも役に幅があって、毎回キーとなるデカい柱となる役をやりがちだけど、今回はぶん回される側のコミカルな役どころ。激情で劇場を揺さぶりバカバカ笑わせていた。たぶん揺さぶられたら日本一面白い役者さんだと思う。本当に面白かった。なんなんだ。
あと児玉さんがもつ生の迫力に圧倒されないことがない。本当にすごい。
赤羽さんは出てくると円滑に物語が進む役が多い印象。だから出てくると安心する。見ていて落ち着く。決して荒ぶらず、まわりに決して振り回されない、自分をしっかり持った、安定感がある常識人の役がよく似合う。メトロンズでは。勿論違う時もあるけど。今回登場こそ遅いものの、スルンと出てきてスルンと馴染んで気持ちいいくらいスルスルと物語を進めていた。頭が良くて、スマートで、スムーズで、助かる。物語の潤滑油的存在。
ライス、仁さん。この方、なんで面白くなるかわからない。訳が分からないが毎回面白い。ちょっとズレてる。ちょっとクセが強い。強いし物語に欠かせない。いたら困る、けどいなかったら絶対さみしい。そんな役がめちゃくちゃ似合う。
今回もナチュラル変な人だった。でもちゃんとリアリティがあって、輪郭がはっきりした、変なひと。いるいる!こういう人。ってなる。
メトロンズの仁さん、本当に面白くて目が離せない。
関町さん、もしいたらどんな役をやっていたんだろう。オンサロはあるけど、ミラクルビュッフェで裏話聴けなくなったのは寂しい。
まさかの伏線回収。タイトルの含みが、こう繋がるか!というまさにミラーボールが突如キラキラと脳内で回り出すような体験。女優陣が加わることで熱と重なる音とリズムには厚みと生命力を増して、あぁ、この演目が初めての生のメトロンズでよかった、と思った。
メトロンズを生で観れる人生でよかった。
