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キルトを汚く巻きたい。

私は春~晩秋頃になると特にキルトの着用回数が冬場よりも増えます。
時期がオンシーズンに突入したので、忘却録も兼ねて記しておこうと思います。

ここでは、あくまでもPUNKの延長線上にあるキルトとしての話なので、もし歴史や伝統が気になった方はぜひこの機会に各々調べてみてください。非常に面白いです。

私は20代まではボロ / クラストパンツ一択!ぐらいの猪突猛進っぷりでしたが、30代に入る手前になるとボロを基盤にしたスタイルが自分なりに安定して来た事と、ボロ以外でのCRUST的なアプローチが体現出来るアイテムをそろそろ1つぐらいは年齢的に持っておいた方が良いな…などと漠然と考えており、その際にキルトを巻いたクラスティーズが脳裏を過りました。

そう考えてはみたものの…私は残念ながらキルトをシンプルに巻けるような端正な顔では無く、かと言ってPUNKの似合うジャンキーな顔でもないので派手なスタイルも合いません。

薄くノッペリとした農民顔でオマケに色の傾向はイエベ秋と言う、U.K.な空気感との相性には程遠い芋臭い面構えなワケです。

気にはなるけど似合う見た目じゃないからなー…なんて燻っていたそんなある日、下北沢45REVOLUTIONの古着コーナーでタイミング良くキルトと出会いました。好みの配色でしかもそこそこな安価。

店頭でそれなりの時間を使って悩んだ末、これを逃したら永遠に身に着ける機会が無いかもしれない、似合わなかったら諦めて誰かに譲る。よし行くっきゃない!と、腹を括って買った1枚目がコチラ。

記念すべき1枚目。
購入当初は当然裾に布パッチも縫い付けられているわけでも無く、丈もミモレ以上ミディ未満位のそこそこ長めでした。


ついに買ってしまった。買ったからには、たとえ安価だろうと''銭失い''をしない為にも挑戦しなければ何の意味もありません。

さてどうするか。真っすぐPUNKに巻く事は私には不可能。

考えた結果、''キルトを汚く巻こう''と決めました。


こうなったのには私が今まで見聞き(聴き)して来たものや出会った人物の影響があります。

キルトを用いたCRUSTに繋がるスタイルはU.K.やスコットランド周辺のHARDCORE PUNKシーンに属している現地のパンクスやクラスティーズ、もしくはそのシーンの影響下にある一部のパンクス・クラスティーズが主に巻いており、かなり独特な出で立ちなんですよね。

派手な頭髪に鋲(スタッズ)を纏ってキルトを巻けばそれは一発でPUNKですが、そのスタイルの方々とも少し違う角度のオーラを持っており異質でした。

シブい大人なキルトスタイルの代表格と言えばIRISH PUNKですが、そことも少し違う、もっと煤けていて陰気な暗さもあったのです。言語化が難しい独特のトッぽいこなれ感。

こんなレイジーな巻き方でも成立するんだ…などと、20代の私は少しだけ他人事に見ていましたが、今この瞬間から私が過去見聞きしたこれらの知見が必要になると感じました。

記憶を掘り起こしながら、そう言ったジャンルのバンドのレコードのインサート、教科書代わりに穴が開くほど読んだPUNK専門誌、PUNKドキュメンタリー映画『UK / DK』に映る80年代頃のブリストル周辺のノイジーなパンクスの小汚いキルトスタイル。ここら辺を改めて何かヒントやアイデアが隠れていないかと何度も見返しました。

そして、ライヴハウスで出会った煤けた雰囲気を纏う粋なキルトスタイルの方々や現在も時々助言をくれるシーンの先輩のキルトスタイルの記憶。

私はこれらのCRSUT的アプローチのキルトスタイルを自分なりの解釈で細かな部分に差別化を持たせつつISMを継承して行く事になります。


彼らのスタイルのポイントは年代国籍問わずに総じて全体的にアースカラーや煤けた(フェードした)極彩色をベースに、アジのある小汚なさとトライバリズムが溶け合い、その色彩感覚とPUNKアイコンにあまり頼らず構築された泥臭さが却って凄まじい説得力を放っているんですよね。

アイコニックなボロ / クラストパンツを基盤としたスタイルはシーンを知らない人間でも所見のインパクトで『ん?良く分からんけどパンク?メタル?っぽい人なのかな…?』と、何となく察する事が出来る場合も少なくないでしょうが、キルトとなると話は違ってきます。

キルトは厳密にはスカートではありませんが、本国での男性の''スカートシルエット''はこの記事を書いている2026年5月現在ではまだまだ浸透が浅いので基本的に女性のシルエットとして第三者の第一印象が先行するのは必然です。

また、身に付けている装飾品や合わせている衣類等で判断しなければ、それが音楽的思想に基づくスタイルなのか、ハイセンスなお洒落を楽しんでいるのか、はたまた別な理由で身に着けているのか。

''着用する側の人間''は勿論、''着用した人間を見る側の人間''にもある程度の教養が求められるかなり絶妙なラインの、そして、巻く人間が持つ元々の身体・容姿的特徴によってどのように合わせるか。が、重要なアイテムであると考えています。


さて、取りあえず基盤の方向性はしっかりしようと言う事で、脛ちょい上程度のスカート丈。これをガッツリ詰める所からスタートとなります。

人種も違えば本格的な現地のキルトと自分の所持しているキルトは違いますが、トライバリズムに則り、出来る限り民族衣装の解釈としてオリジナルに近いマインドで身に着けようと言う事で膝丈に変更。

丈詰めは近所のイオンの中にあるお直し屋さんに毎回お願いするのですが、特に深い話はしないので店舗のおばちゃんには毎回不思議な顔をされます。

2枚目に購入したキルト
3枚目に購入したキルト


そして、私の元々の顔付きや雰囲気などを考え、和物やエスニック系の小物と合わせて『村っぽい雰囲気で纏めよう』となりました。

CRUST COREとPAGAN METALの境界線って所ですかね。。

案外CELTモチーフのルーツやデザインには日本の紋様と近いものも多く、和物との親和性の面で相性は決して悪くない、かつ、上記のように民族衣装的解釈で身に着けるのでエスニック系の小物類ともケンカは少ないだろうなーと言う私なりの結論に至った為です。

以降、オーガニックな雰囲気のアイテムやお婆ちゃんちのタンスの中にありそうなアイテムを中心に合わせる事が定番化しました。

これらの装飾品をDリングベルトを使い、腰回りに色々引っ掛けるワケです。

666のDリングベルト
フロント
バック


勿論、冬場もキルトは着用するのでアウターを羽織りますが、これも私の場合は派手になり過ぎないように極力ミニマムにカスタムしています。

UNIQLOベースのカスタムアウター(フロント)
UNIQLOベースのカスタムアウター(バック)


最後に足元ですが、私はドクターマーチンが似合わないのでミッキーブーツ / ミッキーマウスブーツで代用します。

ミッキーブーツはゴム製ですが結構硬く、編み上げ分部が脛に直接触れると普通に痛いです。ミリタリーブーツなのである程度の強度を持たせて作られているので当然ですが。

なので、無印良品の厚手の靴下を折って編み上げ分部に被せて脛のクッション材代わりにして完了。

そんな具合で、本来私には不向きなキルトを''なんとか強引に''落としどころを見つけ、今ではすっかり必要不可欠な定番のアイテムとなりました。


因みに、キルトの裾に布パッチを縫い付けるようになった理由です。

キルトは元々キルトピン(日本ではカブトピン)と言う大きな安全ピンのようなもので裾が捲れるのを固定しています。

私は基本的に古着市場でキルトを購入するので裾付近にキルトピンによって出来た大き目のピンホールが空いている事があり、それを隠すために縫い付けたのですが、それが案外良いアクセントになった事でピンホールの有無に関わらず定番化しました。

キルトピン


歳を重ねる毎に少しずつキルトに対しての向き合い方も変わり、巻き方も変わってくると思います。今年の私と来年の私ではまた微妙に違ってくるかもしれません。常に変化をして行く事でしょう。

流行り廃りの枠の外なので普遍的ではありますが、同時に正解は無いのです。


ファッションジャンル単体やアイテム単体で見たら自分には合わないかも…と、後ろ向きになる瞬間があるかもしれませんが、正統派な着用が出来ずとも自分なりの『逃げ方』はあると思います。

約束されている正解だけではなく、それでも無理ならセンスが無いからしゃーない。運良く上手い事転んだらラッキー。ぐらいの気持ちで、時には副産物を楽しんでみるのも良いですよね。

40歳が迫ってくると加齢と共に脳も少しずつ老いてゆき、思考も偏ったり固まったりしがちです。

そうならないよう学の無い私はこう言う場面で『考える・調べる』行為を怠らずに、ただただ傾くのではなく、傾くのであれば自分なりのアンサーを持って衣類と付き合って行けたら良いなと思っています。

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