夕方、戻る途中で
昼に流し込んだおじやは、味というより温度で体に残った。
内側から、かすかに灯がともる。
目を覚ますと、夕方だった。
寝室の空気は静かすぎて、時間だけが重たく積もっていく。
動けない理由を探すほどでもなく、ただ気持ちだけが沈んでいく。
その底から逃げるように、階段を下りた。
リビングには、生活の音があった。
子どもたちの声は輪郭を持っていて、こちらの曖昧さを少しずつ削っていく。
娘がドレスを着て、画面の向こうのリズムに合わせて回っていた。
軽やかで、何にも縛られていない動き。
その中心に、ようやく自分の呼吸が戻ってくる。
さっきまでの重さが、どこかへほどけていく。
元気というには足りないけれど、確かに戻り始めている感覚。
いつもの知らない夕方は、そういう時間だった。
