ショートショート その6 共同プロジェクトを立ち上げる収納術
みさとは片付けが苦手だ。
正直、汚部屋に住んでいる。
でもこのままじゃダメだ、と思っている。
友達や彼氏を呼べる部屋にしたい。
部屋がきれいになれば、人生も変わるのではないか。
みさとは一念発起して、片付けを始めることにした。
一人でやるのは大変だ。
みさとには誰も知らない秘密がある。
自分の分身を五人、同時に出すことができるのだ。
みさとは、五人の自分を前に言った。
「これは、みさとによるみさとの共同プロジェクトだよ」
ところが五人のみさとたちは、
「片付けキライ」などと言いながら、だらだらしている。
テレビを見ているみさと。
寝そべってスマホを見ているみさと。
おやつを食べているみさと。
確かに全員みさとなのだから、テキパキと動くわけがない。
ただでさえ狭い部屋が、さらに狭くなってしまった。
自分だからしょうがないと思いつつ、みさとは叫んだ。
「ちゃんとやって!」
まずは五人のみさとに役割分担をした。
みさとAは洋服。
みさとBは本。
みさとCは書類。
みさとDは思い出の物。
みさとEは不用品をまとめる係。
すると五人のみさとが言った。
「あんたは何するのよ!」
当然のつっこみだ。
「じゃ、私は収納を考えるわ」
こうして六人のみさとは、せっせと自分の仕事を進めた。
途中で‥
Aはファッションショーを始めた。
Bは大好きな本を読みふけり、
Cは目をしょぼしょぼさせながら書類と格闘し、
Dは小さい頃の写真を見て思い出に浸り、
Eはオークションサイトで、また物を買いそうになった。
それでも時間をかけて、それぞれの作業は進んでいった。
その間、みさとは収納術を学び、
残った物をうまくそれぞれの場所に収めることができた。
そしてある日、プロジェクトは完成した。
みさとの思い描いた通りに、部屋はきれいに片付いたのだ。
いつでも人を呼べる!
みさとA~Eは言った。
「お疲れさま。次に現れるときは、片付けなんてしないからね!
思いきりだらだらしてやる」
手を振りながら五人のみさとは、笑顔でしゅるるんと消えていった。
一人になったみさとは、きれいになった部屋を見渡した。
そして思った。
次の共同プロジェクトは、
「散らかさないみさと」を作ることで決まりだ。
