彼女になるには結局「顔」ですか?
『こうやって暗いとこで見ると、可愛いんやけどなぁ。』
あの言葉を、今でもふと思い出す。
20歳の夏、わたしの時間はぜんぶ先輩に捧げてた。
でも、たぶんあれが、最後の会話だった。
「え?
——わたし、なんで彼女になれへんかったん?」
何度も考えた。
デートも何回か行ったし、毎日LINEもしてた。
サークルの中でも、それなりにウワサになってた。
「ここまできたら、もうゴールは目の前やん!」
そう思ってた。
恋愛至上主義のくせに、女子大学に通っていたわたしは、出会いがほしすぎて、他校の野球サークルにマネージャーとして入った。
夏の強化合宿で、初めて会った先輩。ハヤトさん(仮名)。
BBQの夜、お酒をたくさん飲んで、2人きりで肩を寄せ合って話した。
お互いのブレスレットを交換して、なんとなく触れ合ってみたりして。
彼氏いない歴=年齢のわたしにとって、
その全部が、まぶしくて、うれしくて。
合宿から帰った後も、ハヤトさんは何度かわたしを誘ってくれた。
バイクの後ろに乗せてもらって、夜景を見るデート。
2人が好きな洋楽を繰り返し聴く、心地よい時間。
「もうすぐ、"彼氏"って言えるようになるんかな?」
わたしの期待は、最高潮だった。
でも。
ハヤトさんからのLINEは、途絶えた。
女性は、連絡が来ないという事実に、それらしい理由をつけたがる生き物だと思う。
「いま、忙しい時期だから」
「真剣になるほど、慎重になってるだけ」
自分にとって都合のいい理由を、いくらでも作れてしまう。
でも、たぶん全部ちがう。
——彼はもう、あなたを見ていない。
あのとき、誰かひとりでもそう言ってくれていたら。
もう少し早く、諦められたのかな。
わたしの何がいけなかったんだろう。
その答えをずっと考えていた。
何かまずいこと言ったかな?
期待してることバレて、引かれたとか?
考えられる限りの理由をいっぱい並べて悩んだ。
わたしと連絡を取り合ってる期間は、
わりとサークルにも顔を出していたのに、
ぱったり来なくなった。
会いたいのに、会えない。
LINEも来ない。
打つ手がない。
彼女になれない。
夢から一気に覚めた感覚で、正直めっちゃ病んでた。
結局、ハヤトさんと二度と会うことはなかった。
夢では何回も会ったけど。
大人になって、
あの頃の恋をふと振り返ることがある。
ハヤトさんを吹っ切るのに、
めちゃめちゃ時間がかかったのは言うまでもない。
なんで急に消えちゃったのか、
いくら考えてもわからなかったから。
でも、
今ならハッキリわかる。
『こうやって暗いとこで見ると、可愛いんやけどなぁ。』
最後に会った日の別れ際に言われたそのひと言を思い出す。
もう答え言うてますやん!!!(笑)
単純に、
「やっぱ顔がタイプじゃないわ。」
彼はそう思っただけなのよ。
ほんと。
それだけのこと。
だけどあの頃のわたしは、
もっと切ないラブストーリーみたいな裏話を期待してたと思う。
「本当は一緒にいたいと思ってくれているかも?」
なんて淡い期待を抱いて、彼からの連絡をずっと待っていたのだ。
今思えば、
なんて健気で、脳内お花畑なんだろう。
あれからわたしは、努力をしてきた。
キレイになるために。
今では、
初対面の人から「きれいな人」と言われることも、増えた。
そして思うのだ。
「今となっては、彼にわたしは釣り合わないわ。」
はて、
それが事実かどうかは検証しようがないので置いておいて。
あの夏のことを、今でも夢で見る。
夢の中でわたしは、
ハヤトさんに久しぶりに会えて、しっかり喜んでいるのだ。
結婚をして、子どもがいる今でも、
夢の中ではハヤトさんに恋をしている。
叶わなかった恋って、どうしても心に強く残るものだよね。
ちなみにハヤトさんは、
最近結婚して、子どもが生まれたみたいよ。
奥様はさぞかし美しいお顔なのでしょうね。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
もし感じたことがあれば、
スキ😊してもらえると励みになります!
