自分の中にある「火」をあきらめない
着火(ちゃっか)ウーマンと名乗っている。
職業はコーチだ。
「コーチ」とは、人を目標達成まで導く指導者のこと。元々は、ハンガリーのコチという町で生まれた四輪馬車を指す言葉「kocsi」が語源で、目的地まで運んでくれる馬車から転じて、「目標まで導いてくれる人」という意味で使われるようになった。
対話を通じて、人の中にある「火」を大きくはぐくみ、その人が目標に向かうサポートをしている。
「火」とは、思いや夢、チャレンジ、潜在的な強みなどさまざま。
草の根活動のような仕事だが、社会を変える力があると信じている。
事の始まりは、今から13年前。
会社勤めをしていた私は、社長直々に新規プロジェクトを任され、先輩社員に指示を出す役割を担っていた。
「なんで、できないんですか!」
責任感や焦りから出た言葉。悪気はなく、ただ自分の正義のもとに振りかざした言葉だった。
もともと噛み合わないと思っていた先輩との関係は崩壊。様子を見ていたスタッフからの視線も厳しく、会社に居場所がなくなった。
体調を崩し休職を申し出るも退職となり、ますます心を病み、自己否定の日々に突入。
失意の底にありながらも、「このままじゃ終われない」と思った。
私の中の「火」はまだ消えていなかった。
それから約1年間、自分と向き合う時間と、ありのままで在りたい自分を実現する技術を身につける学びを実践した。
私の中の「火」を信じて大きく燃え上がらせるために、必死で取り組んだ。
感情が揺れ、たくさん泣いた。
過去を振り返り、認知の歪みにも気づいた。
「変わりたい」と「変われない」のはざまでもがいた。
当時を支えてくれた学びの仲間は戦友だ。
やがて自分の「火」を信じれるようになり、他の誰かの「火」も信じられるようになった。
これを仕事にしたいと思うまでに。
着火ウーマンの誕生である。
人は、可能性を感じられなくなった時に、「火」を失うのだと思う。
自分に、社会に、世界に。
「火」のない人はいない。
気づけていないだけ。忘れかけているだけ。
たとえ失っても、再び燃やせばいい。
「このままじゃ終われない」
あの時の私。
自分の中にある「火」を諦めなかったから今がある。
大きな変革を望むわけではない。
ただ、目の前のひとりが自分の「火」に気づくことで、変わっていく未来もある。その確信がある。
いつかこの種火が消える日まで、私は人の心に火をつけ続けたい。
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