真夜中に渋谷の長男と、早寝の私。
私は平日の朝が5時起きなので、22時半〜23時までには寝る。
その朝もいつものように5時に起き、ぼーっとした後にスマホの機内モードを解除した。
目に飛び込んできたのは、東京で一人暮らしをしている長男から、めずらしく家族のグループLINEに届いていたメッセージだった。
時刻は0時過ぎ。
スクリーンショットで電車の経路検索を載せ、
「渋谷行きが来ない…。これは朝までコースか」
と呟いていた。
「……んん?」
私は眠い目をこすりながら、スマホを凝視した。
その後も、
娘「めっちゃ仕事長くね?」
夫「カプセルホテル探せ」
など、家族のやりとりが続いていた。
「あらま、長男たら真夜中の渋谷とか大丈夫かしら……」
そう思いながら、続きを読む。
長男
「18時に終わる予定が、トラブって23時50分までやってたわ」
長男
「あ、渋谷行き来た」
娘
「大変だな」
娘
「まあ、満員電車じゃないのは良いね」
長男
「この時間帯に乗ってる奴らなんて飲んだくれしかいないぞ!」
それから20分ほど経って、
長男
「渋谷はすごい。分からなすぎて、道行く人に聞いたわ。みんな親切」
どうやら、仕事が長引いたことで、いつもの帰り方ではなくなってしまったらしい。
真夜中の渋谷で、道が分からず困った長男。
でも、勇気を出して声をかけた人たちは、みんな親切だったという。
「みんな親切」
その言葉を見て、私は少し安心した。
久しぶりに東京へ行く前の、凝り固まった考えをしていた私だったら、社会人になった息子とはいえ、真夜中に渋谷で一人になっている姿を想像して、きっと大騒ぎしていたと思う。
でも、私自身も東京では優しい方たちにたくさん出会った。
だから、そのLINEも「そうなんだ」と落ち着いて読むことができた。
むしろ、息子が真夜中の渋谷で立ち往生していた時間、私はというと……
ぐーすかぴーと寝ていたのであった。
真夜中の渋谷で見知らぬ人に道をたずねた長男と、明日に向けて早寝していた私。
どうやら、親子そろって小さな卒業を迎えたらしい。
