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第1話:耳たぶの裏の100万円

40歳。人生の折り返し地点と言われるが、そもそも人生に「往路」と「復路」があるなんて誰が決めたんだろう。
僕は今、取締役のヘラヘラした顔を見ながら、彼の左の耳たぶの裏にある、小さなシミの数を数えている。

「いや、契約書にサインしたんやろ。な?」

取締役が笑う。
提示された年収は、想定より100万円少なかった。
100万円。
100円玉が1万枚。
1万枚の100円玉を積み上げたら、たぶんスカイツリーの横でちょうど同じ高さで止まるはずだ。知らんけど。

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