[深夜2時の作業記録]#015プール
「バタ足ってどうやってるの?」って聞かれて、説明に困ってしまった。
泳げないらしい知り合いが今年の目標として、「クロールで12.5m泳ぐ」を設定しているのを聞いていたので、何とか力になりたいなと思って聞かれたその日にプールへ向かった。
水の中がすきだった。
3歳から水泳教室に通い、わりと泳げた方だったので選手育成コースまで進んでいた。
それでも「早く泳ぐ」ことではなくて「水の中」が好きだったので、選手コースに進めたのもより上手くなりたいということよりも水の中で過ごす言い訳だったにすぎない。
よく、先生の指示も聞かずに潜り続けていた子どもだった。
でもその姿が親に見つかり、息づぎ以外で水上に顔を出すことがほとんどないことに気がついた両親が「そんなに水中が好きなら…」とシンクロナイズドスイミングの教室に連れて行ってくれた。
(今はアーティスティックスイミングと名前を変えているけれど、私がやっていたころはシンクロだったのでこのまま)
あの時、怒るんじゃなくて教室を進めてくれたことをほんとうにありがたく思っている。
まちがいなくシンクロはこれまでの人生の中で一番楽しい習いごとだった。
水中ですごせる上に、陸では歯が立たないけれど水中でなら周りと同じ土俵に立てた。
どっしりしたこの体格も、シンクロではおおきな表現につながるので強かった。
自分のコンプレックスは、水中だと強みに変わってすごく幸せだった。
それは早朝のレッスンなので誰もいないまっさらなプールに行けるのもうれしかった。
朝活好きはそこから来たような気もする。
そんな水とともに過ごしてきた、私はよく考えると「人に教える」ことはやったことがなかったので、不意に聞かれたバタ足が答えられないのが悔しかった。
水中では苦しんだことがなかったから、どうやるかなんて思いつきもしなかった。
久しぶりの塩素の匂いに、帰ってきたなと感じる。
私はやはり水中生物なのだろう。
水から離れていたのは、3年ぶりくらいか、それくらい。
ウォーミングアップに数本軽く流して、そこからひたすらバタ足をする。
どこで蹴って、どこに意識しているのか。
なんとなくでやっていることに意味を持たせて。
SNSや仕事のこと、すべてから離れて、ただただ水と自分と対話するこの時間
たまらなく幸せなんだということに気が付いた。
プールから上がって、忘れないうちにバタ足のコツについてLINEを送る。
次はいつこようかな。
