風の中の父《詩》
風を見ていた
ふと、父を思い出す
父の帰宅と共に
沈黙の世界が始まる
家中に無数の地雷が埋まる瞬間
沈黙と静止
それが身を守る手段だった
母が絶対に為しえなかったこと
それは謝罪
父はそれを知っていた
人生を振り返り
悔い改めた
私はただ頷いた
勿論、納得できない部分もあった
だが、プライドの高い父が
我が子に頭を下げるなど
言語道断、ありえない事だったから
父が亡くなって十数年経つ
記憶を辿ってみた
父なりに愛を伝えることを
模索していたのだろう
それは哀しいほど不器用だった
いつか天国で会った時には
思いっ切り
わがままを言って
思いっきり
甘えてみたい
そして
感謝を伝えよう

