「35年で変わった、私たちの買い物の話」
昔の自分たちの買い物を思い返すと、まるで別世界のようだ。
ハワイやオーストラリアのケアンズに通い詰めていた頃、私たちの帰国時の荷物はとんでもないことになっていた。
現地のABCストアかウールワース(懐かしい!)で買った、ドンゴロス(麻袋)素材の袋。
底にペラペラのベニヤ板が入っていて、申し訳程度のキャスターがついた、もはやカバンとも呼べないような代物である。
これに現地で出た大量の洗濯物やデニム類、バスマット、テーブルクロス、カーテンなどを限界まで詰め込んで、空港のカウンターで預け荷物にするのだ。
そして空いた本命のスーツケースには、本当の戦利品を詰め込む――。
これが我が家の必勝作戦だった。
当時は今ほどセキュリティが厳しくなかったので、現地で一目惚れしたジョウロや箒(ほうき)までも、手荷物として飛行機の座席へ持ち帰っていたのだから大らかな時代である。
マーサ・スチュワートのインテリアシリーズがお洒落で、我が家のカフェカーテンは今でも海外で買ったものばかり。
ただ、くたびれてきたから買い替えたくても、最近は海外のショップでもお洒落なカフェカーテンがさっぱり見当たらない。
……一体なんでやろ?
時は流れ、WDW(ウォルト・ディズニー・ワールド)へ通うようになってからは、この「ドンゴロス袋作戦」を、IKEAの大きなブルーバッグが継承することになった。
ブランド品の価格よ、どこへ行く
ブランド品を取り巻く事情も、35年で完全に様変わりした。
昔は、シャネルやヴィトンのバッグが15万〜35万円くらいで、今と比べれば、ずっと手の届きやすい価格だった。
短期バイトでお金を貯めて、念願のマイファーストシャネルを買ったこともある。
当時は「頑張れば届く憧れ」だった。
それが今では、「短期バイトでどうにかなる金額ちゃうやん」と思わずツッコミたくなる価格である。
シャネルやヴィトンは100万〜200万円が当たり前の時代になってしまった。
かつては「海外で買う方が安い」と言われていたブランド品も、今では値札を見るたび驚く。
優秀すぎる日本と、今のスタイル
では、現在の私たちの買い物スタイルはというと、すっかり落ち着いたものだ。
ハワイやアメリカ本土へ行けば、ディスカウントデパートの「ロス・ドレス・フォー・レス」や「マーシャルズ」は宝探し気分で一応覗く。
でも、実際にレジへ持っていくのはパジャマくらい。
かつて一世を風靡したアバクロ(アバクロンビー&フィッチ)やホリスターは、あのアロマの香りも含めて、今の私たちにとっては
「あそこは、ちょっとあれだしね……」
という感じで見ることもなくなった。
何より、IKEAとニトリと無印良品、そして100均や300均が充実しすぎている今の日本に暮らしていると、わざわざ重い思いをしてまで、海外で生活雑貨を買う必要性がなくなってしまったのだ。
35年間という歳月のなかで、私たちの「お買い物の概念」は、すっかり変わってしまった。
今でも家のあちこちには、あの頃に海外で買ったカーテンや雑貨が残っている。
それを見るたびに、
「これ、どこの国で買ったっけ?」
と母娘で思い出話が始まるのである。
