鋸山・猫丁場|岩に刻まれた猪目(ハート)に出会った、歩くことで見えてくる遊び心
鋸山の猫丁場を歩いていて、ふと足が止まった。
疲れたからでも、景色に圧倒されたからでもない。
岩をくり抜いたトンネルの奥に、やけに整った形が見えたからだ。
光を受けて浮かび上がるその輪郭を見て、思わずクスッとした。
近づいてみると、それは「猪目」だった。
猪目は、日本古来の伝統文様のひとつで、
いわゆる“ハート”を逆さにした形をしている。
寺社や建築の中にも使われ、
「魔除け」や「福を招く」意味を持つともいわれている。
そうした背景を知って見返すと、
岩にぽっかり空いたその形が、
どこか人懐っこく、愛嬌のある表情に見えてくるから不思議だ。
歩き始めたころは、足元と先の道ばかりを見ていた。
呼吸は荒く、余計なことを考える余裕もない。
ただ前に進むことだけに意識が向いていた。
けれど、歩き続けるうちに息が整い、
視線が少しずつ周囲へ向くようになる。
岩の表情や、差し込む光の角度に、
ようやく目がいくようになった。
そんなタイミングで出会った猪目だった。
谷に足を踏み入れた瞬間、思わず息をのんだ。
切り立った岩肌の迫力と、音の少ない静けさ。
その中に残された、ほんの小さな遊び心が、妙に心に残った。
疲れているときほど、
こうしたささやかな発見に救われることがある。
張りつめていた気持ちが、
ふっと緩む瞬間が確かにあった。
山は、ただ厳しいだけの場所じゃない。
歩く人の余裕に合わせて、
こんなふうに表情を変えてくることもあるのだと思う。
山には、さりげない遊び心があちこちにある。
次に歩く山でも、
少しだけ視線をずらして、探してみようと思った。

👀おわりに|歩きながら“いつもと違う視点”に気づく瞬間って、あなたにもありますか?
ただ前を見て歩くだけじゃなくて、ふと目線が横や下へ向いた瞬間、
ちょっとした発見に出会ったことはありませんか?
教えてほしいこと:
・そのとき見つけたもの
・それがなぜ印象的だったのか
・その後の歩き方や気持ちの変化
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