風呂より先に、靴を洗う
登山靴のメンテを後回しにしていたころ、晴れた低山で何度も滑ったことがあります。
原因は歩き方ではなく、すり減ったソールでした。
それ以来、帰宅したらまず靴を洗い、減り具合を確認するのが習慣になりました。
今回は、その理由と実際に見ているポイントを書きます。
山から帰宅してまず向かうのは、玄関だ。
バックパックを下ろして、すぐ登山靴を手に取る。
ソールの土を見て、アッパーの傷を指でなぞる。
今日どんな道を歩いたか、靴が教えてくれる。
シャワーは、その後だ。
こうなったのには、理由がある。
弘法山で、なぜか滑り続けた
5月のよく晴れた日、弘法山を歩いた。
登山を始めたばかりの頃で、ルートも装備も、なんとなくで揃えていた。
空は青く、風は気持ちよかった。
ハイキング日和、のはずだった。
とにかく、滑った。
踏み出すたびに足が逃げる。
踏ん張ろうとするほど、グリップが抜ける。
一歩一歩に余計な力がかかって、膝が笑いそうになる。
なんで滑るんだろう。
道が悪いのか、歩き方が悪いのか。
わからないまま、イライラしながら歩き続けた。
晴れているのに、楽しくなかった。
原因は道でも歩き方でもなく、靴だった
帰宅して、靴を裏返した。
ソールが、すり減っていた。
メンテナンスなんてほとんどしていなかった。
撥水スプレーも保革も、
「そのうちやろう」と後回しにしたまま、ずっと履いていた。
帰宅後すぐに洗うようになった理由
滑っていたのは、道のせいでも歩き方のせいでもなかった。
靴が、限界をとっくに超えていた。
命を預けるという感覚は、そのとき初めて身体に落ちた。
それから、手順を決めた。
帰ったらまず水洗い。
ブラシでアウトソールの溝を掻き出す。
泥が流れるにつれて、ソールの色が戻る。
乾いたら、保革剤入りの撥水スプレーをかける。
洗いながら見るべきポイント|ソール・溝・傷
洗いながら、ソールの減り具合を確かめる。
交換のサインを、ここで見極める。
最初は義務感でやっていた。
今は、この時間が山行の続きだ。
ソールに詰まった土が出てくるたびに、今日のあの斜面の感触が戻ってくる。
靴は、自分より先に山の情報を知っている。
だから、自分より先に、靴を労う。
洗い終わった靴を乾かしている間に、シャワーを浴びる。
風呂上がりに、撥水スプレーをかける。
これで次の山行きも、安心だ。
💡 Tips:自分より先に、靴を労う
人間ってちょっと面白くて、 頑張った自分を褒めるより、
道具を労うほうが、照れくさくない。
靴に言い訳しながら、 実は自分を許してる、みたいな。
山道具を丁寧に扱う人は、 自分のこともちゃんと扱える人な気がする。
根拠はないけど、 なんとなく、そう思っている。
最後まで読んでくれて、ありがとう。
山ではひとりだったのに、歩いて気づいたことが誰かに届く。それだけのことが、こんなに嬉しいとは思っていませんでした。だから、また歩きに行ける。次もここで、会いましょう。
▶ 作者プロフィールはこちら
▶登山靴のメンテ、どのタイミングでやっていますか。帰宅後すぐ派/翌日派/気づいたとき派など、みなさんの習慣も知りたいです。
▶装備が歩き方を変える話に興味がある方は、「守るから、使える。グローブが変えた歩き方」も続けてどうぞ。
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