京都一周トレイル踏破・1日目|伏見桃山~伏見稲荷〜大岩山~東山~大文字山〜爪生山(24km・10時間の洗礼)
「京都にこんなトレイルがあったのか!」
ただの登山だと思っていたこの道は、私の先入観を裏切りました。
京都の街と山が織りなす、不思議な道のりが始まります。
「京都一周トレイル1日目(伏見桃山〜大文字山〜瓜生山)」のリアルな体験をお届けします。
💡 1日目の行程データ(サマリー)
ルート: 伏見桃山~伏見稲荷〜大岩山~東山~大文字山〜爪生山(東山コース全域、京北東部コースの一部)
歩行距離: 約 29.4 km
所要時間: 9時間59分(休憩含む)
難易度: ★★★☆☆(観光地から本格的な登山道への変化が激しい区間)
2日目の記事はこちら
※シリーズ全3回で京都一周トレイルを一筆書きした記録です。
伏見桃山〜大岩山|街と山の境界が崩れる

朝5:47、まだ静けさが残る伏見桃山駅を出発。
歩き出からしばらくすると、伏見桃山城に向けてトレイルの入口が現れる。

街と山の境界線を行ったり、来たりする。
ついさっきまで、生活の音がしていた場所。
それなのに、一歩踏み込むと、空気が変わる。土の匂いに切り替わる。

うまく言えない違和感があった。
山に入ったはずなのに、まだ街の延長にいるような感覚。
このトレイルは、山の中だけじゃない。
街と山のあいだを、何度も行き来する。

そのたびに、自分の感覚が、少しずつズレていく。
どっちが日常で、どっちが非日常なのか。
その境界が、最初から曖昧だった。
大岩神社|空気が変わる場所

大岩山の展望台で、視界が一気に抜けた。

風が通る。
体の奥に溜まっていたものが、すっと流れていく。
いい場所だな、と心から思った。
——その数分後だった。
直下の大岩神社に足を踏み入れた瞬間、空気が変わる。

湿った土の匂い。
木々に遮られて光が届かない。
音すら消え去る。
不気味なほどの静寂が辺りを包みこむ。

同じ山の中なのに、ここまで違うのかと思う。
「あ、ここは長居しないほうがいい」
理由はわからない。
でも、身体がそう判断していた。

さっきまでの開放感が、嘘みたいに閉じていく。
その落差が、このトレイルの性質をはっきり示していた。
伏見稲荷〜東山|人の波と身体のリズム

そのまま進むと、伏見稲荷に入る。
一転して、人の波に飲み込まる。
世界中から観光客が集まる伏見稲荷大社。

進めない。
自分のリズムで歩けない。
さっきまで“自分の身体”に向いていた意識が、強制的に外へ引き戻される。

静けさと、喧騒。
このトレイルは、その両方を容赦なくぶつけてくる。
四辻から喧騒を離れて進むと、清水寺裏手の清水山へつづいていく。



人の気配は、少しずつ薄れていく。
けれど、身体には小さな疲れが溜まりはじめていた。
急な登りに、呼吸が上がる。
ようやく東山へ。

まだ序盤のはずなのに、脚を使わされている感覚がある。
この先の長さが、少しずつ現実として迫ってくる。
蹴上・インクライン〜大文字山|距離よりきつい区間

東山を下り、蹴上の市街地に。
ねじりまんぽを抜け、インクラインへ出る。


山の気配が遠のき、
ここで一度、気が抜けた。

でも、ここからが長かった。
インクラインから大文字山まで。
地図で見るより、この区間は確実に長い。
距離の問題じゃない。
積み重なった疲労が、じわじわと効いてくる。
「まだ着かないのか」
その感覚だけが、何度も頭をよぎる。
疲労困憊の身体には果てしなく遠く感じられた。

💡 トレイルTips: 蹴上・インラインを過ぎると、本格的にトレイルに入ります。自動販売機が減ります。ここまでに水分を十分に確保しておくのが正解です。
大文字山|境界はどこにあるのか

ようやく辿り着いた大文字山。
目の前に広がるのは、京都市街の大きな広がりだった。

さっきまで、その中を歩いていたはずなのに、
こうして上から見ると、まるで別の場所のように感じる。
街もまた、ひとつの地形のように見える。

ここで、はっきりと気づく。
境界は、場所にあるんじゃない。
自分の“見方”の中にある。
山と街は、分かれているようで、つながっている。
ただ、自分がどこに立っているかで、そう見えているだけだった。
その景色の中で、ようやく足を止める。
風が抜ける。
張りつめていたものが、少しずつほどけていく。
ここまでで、前半は終わり。
そう思えるくらいには、身体も一度リセットされていた。
——でも、地図を見れば、1日目のゴールが、やっと現実の距離として見えてきた。
哲学の道〜瓜生山|疲労と判断の鈍り
大文字山を下る。
気を抜けば持っていかれる斜面。
一歩ずつ、雑に置かないように足を運ぶ。

山を降りきると、桜が美しい哲学の道へ出た。
銀閣寺の方向へ、人の流れに乗る。

さっきまでの緊張がほどけるような道。
けれど現実は、観光客で溢れている。
静けさはない。
整えたはずのリズムが、また崩れる。
それでも、進む。
このトレイルは、こちらの都合では歩かせてくれない。
哲学の道を抜け、爪生山の登山口へ。
後半に入ると、疲労で脚の進みが鈍くなってきた。
距離が効いてくる。
判断も、少しずつ鈍る。

そして最後、瓜生山への登り。
きつい。
関節が軋む。
もう余裕はない。
それでも、足は止まらなかった。
一歩、また一歩。
雑に置けば崩れる。
だから、丁寧に踏み込む。
進もうとしているんじゃない。
気づけば、前に進んでいる。

京都一周トレイルは「ただの登山」ではなかった

この日、歩いたのは29.4km。約10時間。
長かったはずなのに、記憶は断片的だった。
ただひとつ、はっきりしていることがある。
京都一周トレイルは、ただの登山じゃない。
街と山。
静けさと喧騒。
人の営みと、自然の濃さ。
を味わえる旅を楽しめる。
自分の感覚が変わってくるのがよくわかる。

日常と非日常を行き来しながら生きている、
すべての人に起きていることなんだと思う。
その境界は、どこにあるのか。
もし少しでも迷っているなら、
一度、歩いてみると面白い。
境界は、外にはない。
きっと、自分の中にあるのかも。
明日は、比叡山。
このトレイルの核心に入る。
正直、どこまで行けるのかはわからない。
でも、ひとつだけ残っている感覚がある。
「まだ行ける」
——続きも書きます。
京都一周トレイルを歩く中で、自分の感覚がどう変わっていくのか。
その記録を、残していこうと思う。
【1日目】伏見桃山駅〜大岩山〜東山〜大文字山〜哲学の道〜爪生山⛺️
• スタート:5:47
• ゴール:15:46
•区間タイム:9時間59分
• 歩行距離 累積/区間:29.4 km/ 29.4km
• 45,874歩
• 自動販売機が数多くあるので助かる。

京都一周トレイル、旅はまだ始まったばかり。 明日の2日目は、比叡山から大原、鞍馬を越えて向山へ向かいます。 装備は軽くなるはずなのに、脚はどんどん重くなっていく。そんな「ロングトレイルのリアル」を綴った2日目の記事も、ぜひ併せてご覧ください。
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▶2日目の記事はコチラ To Be Continued⤵︎
▶3日目の記事はコチラ⤵︎
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