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「転勤=悪」と決めつけていませんか? ~「東京しか知らない」学生が陥る、大企業志向の矛盾と機会損失~

序章|「転勤イヤ」の大合唱。でも、その理由を言えますか?

ここ数年、学生の「転勤アレルギー」が凄まじい勢いで加速しているのを感じます。

キャリアセンターの相談ブースに来るなり、開口一番でこう聞く学生が本当に増えました。
「この会社、転勤ありますか?」
「転勤のない会社を探しています」

彼らの希望は決まって「東京勤務確約」。 まるで「東京から一歩でも出たら人生が終わる」とでも言いたげな悲壮感すら漂っています。

そんな彼らに、私はいつもこう問いかけます。 「君は、東京以外に住んだことはあるの?」

返ってくる答えは、9割以上が「NO」です。 つまり、多くの学生は「地方での生活」そのものが嫌なのではなく、単に「見たことも住んだこともない場所に行くのが怖い(現状維持バイアス)」というだけで、キャリアの選択肢を自ら狭めてしまっているのです。

偉そうなことを言っていますが、実は私自身も、典型的な「関東生まれ、関東育ち」の人間でした。 そして新卒で入った会社で言い渡された最初の配属先は、「西日本の地方都市」

名前こそ聞いたことはありましたが、行ったこともなければ、親戚がいるわけでもない。完全にアウェイの土地でした。 辞令を見た瞬間は「終わった……」と目の前が真っ暗になったのを覚えています。

しかし、結論から言えば、その場所は私にとって「第二の故郷」になりました。 「住めば都」とはよく言ったもので、知らない土地での暮らしは、東京の実家暮らしでは絶対に得られない刺激と発見、そして成長の連続だったのです。

今日は、多くの就活生が「食わず嫌い」で避けている「転勤」のリアルについて。 そして、あえてアウェイな環境に飛び込むことが、どれほどあなたの人生を豊かにするかについて、私の実体験をお話しします。

第1章|「大企業に行きたい」けど「転勤はしたくない」という巨大な矛盾

就活相談で学生の話を聞いていると、多くの人がこう言います。
「安定していて、給料が良くて、福利厚生がしっかりしている会社がいいです」
「誰も知っているような有名な会社に行きたいです」

いわゆる「大手企業」志向です。もちろん、それ自体は悪いことではありません。 しかし、その同じ口で彼らはこう続けるのです。 「でも、転勤は絶対に嫌です。東京(実家)から通える範囲がいいです」

はっきり言わせてください。
その要望は、構造的に矛盾しています。

大企業がなぜ「大企業」なのか

少しビジネスの視点で考えてみましょう。 なぜその会社は「大企業」になれたのでしょうか? なぜその会社は「有名」なのでしょうか?

それは、日本全国、あるいは世界中に顧客を持ち、ビジネスを展開しているからです。 東京という一つの都市だけで完結するビジネスであれば、通常そこまでの規模にはなりません。

全国に支社があり、工場があり、販売網がある。だからこそ、その会社は安定した収益を上げ、あなたが高い給料をもらえるのです。 その巨大な組織を運営するために、社員が全国各地に赴任し、現場を回すのは当然のことです。

「メジャーリーグでプレーしたいけど、試合会場は家の近所の市民球場限定がいいです」 と言っている選手がいたら、どう思いますか? 「それは無理だろ」と笑いますよね。

しかし、多くの就活生がやっているのは、これと同じことなのです。 「グローバルな仕事がしたい」と言いながら、「パスポートは持ちたくない(地元を出たくない)」と言っているようなものです。

「勤務地」フィルターで捨てている宝の山

「転勤あり」という条件を見た瞬間に、その企業の詳細も見ずに選択肢から外してしまう。 これは、就活において最大の「機会損失」です。

あなたがやりたい仕事、あなたの価値観に合う社風、あなたが活躍できるフィールド。 それら全てを満たしている素晴らしい企業が、「数年間の地方勤務がある」というたった一点だけで切り捨てられている現状を、私は何度も見てきました。

転勤は、定年まで一生続くわけではありません(多くの企業では、若手のうちは現場を知るために地方へ行き、数年で本社に戻るケースも多いです)。 その数年間の「食わず嫌い」のために、優良企業への切符を自らドブに捨ててしまう。

自分のキャパシティを広げるチャンスを、「現状維持」という安心感と引き換えにしてしまっていないか。 もう一度、胸に手を当てて考えてみてください。

第2章|関東育ちの私が「西日本」に飛ばされて知ったこと

偉そうなことを言っていますが、実は私自身も、典型的な「関東生まれ、関東育ち」の人間でした。 大学までずっと実家暮らし。旅行といっても、せいぜい箱根や熱海、遠出しても京都くらい。 私の世界地図は、首都圏を中心に回っていました。

そんな私が新卒で入社し、最初に言い渡された配属先は、「西日本の地方都市」

名前はもちろん知っている県庁所在地でしたが、行ったこともなければ、親戚がいるわけでもない。完全に「アウェイ」の土地でした。 辞令を見た瞬間、目の前が真っ暗になりました。 「友達もいない、土地勘もない。週末はどう過ごせばいいんだ……」 本気で「島流し」に遭った気分でした。

しかし、結論から言えば、その場所は私にとって「第二の故郷」になりました。 「住めば都」とはよく言ったもので、知らない土地での暮らしは、東京の実家暮らしでは絶対に得られない刺激と発見の連続だったのです。

「食」と「旅」の解像度が爆上がりする

まず、単純にご飯が美味しい。 東京のチェーン店で食べるのとはわけが違います。地元のスーパーに並ぶ魚の鮮度、ふらっと入った個人経営の居酒屋のレベルの高さ。 「こんなに美味しいものが、この値段で食べられるのか」という感動は、地方生活ならではの特権です。

そして、遊びの範囲が劇的に広がりました。 関東に住んでいた頃は「ちょっと遠出」といえば伊豆や軽井沢でしたが、西日本に拠点を移すと、九州や四国、中国地方が「週末のドライブ圏内」になるのです。

「今週末はうどんを食べに香川へ」「来週は広島で牡蠣を」 そんな贅沢な週末が当たり前になり、私の日本地図は一気に色鮮やかなものに変わりました。

「アウェイ」だからこそ、人は強くなる

何より大きかったのは、人間関係の変化です。 会社以外の人とも関わりたくて、現地の社会人サークルに入ってみたり、行きつけのお店を作ったり。 必死で「自分の居場所」を作ろうと動いた結果、東京にいた頃よりも濃い人間関係が築けました。

また、現地で採用された同僚たちと話す中で、「東京で出世することだけが人生じゃない」「家族との時間を一番に考える生き方もかっこいい」という、多様な価値観に触れることができました。

もし私がずっと東京の実家にいたら、恐らく「会社と家の往復」だけで20代を終えていたでしょう。 強制的に環境を変えられたことで、私は「どこに行っても生きていける自信」と「多様な幸せの物差し」を手に入れることができたのです。

知らない街は、最初は怖いかもしれません。 でも、住んでしまえば、そこはあなたの新しい「ホーム」になります。 その経験は、あなたの人生を間違いなく豊かにしてくれます。これは断言できます。

第3章|「若いうちの転勤」は、最強の自己投資である

少し説教くさい話になりますが、聞いてください。 人間は、本能的に「変化」を嫌う生き物です。 放っておけば、今の居心地の良い環境にずっと留まろうとします(現状維持バイアス)。

しかし、20代という若さで、自分の意志とは関係なく「住む場所」を強制的に変えられる経験。 これは、長い目で見れば「最強の自己投資」になります。

強制的な「リセット」があなたを強くする

見知らぬ土地で、一から人間関係を作り、生活基盤を整える。 頼れる親も、地元の友達もいない場所で、一人で生きていく覚悟を決める。 この経験は、あなたの「人間としてのキャパシティ」を確実に広げてくれます。

もしあなたが、ずっと実家から通える会社で働いていたとしたら。 何かトラブルがあった時に、すぐに親に相談したり、地元の友人に愚痴をこぼしたりして解決してしまうでしょう。 それは楽ですが、自分自身の力で乗り越える機会を失っているとも言えます。

「どこに飛ばされても、なんとかなる」 この自信を持った人間は、仕事でも強いです。どんな環境でも成果を出せるタフさが身につくからです。

視座の変化がビジネスを加速させる

また、ビジネスの視点でも大きなメリットがあります。 東京の本社から全国を見るのと、地方の支社から東京を見るのとでは、景色が全く違います。

「現場で何が起きているのか」「顧客は何を求めているのか」 肌感覚でそれを知っている人間が、将来本社に戻って企画を立てる時、その企画には「魂(リアリティ)」が宿ります。

ずっと東京の会議室にいて、数字だけを見ている同期には絶対に勝てない強みになります。 若いうちの地方経験は、将来あなたが大きな仕事をするための「武器(ネタ)」になるのです。

事情があるなら仕方ない。でも……

もちろん、介護や病気など、どうしても転勤できない事情があるなら話は別です。 しかし、単なる「食わず嫌い」や「なんとなく不安だから」という理由だけで避けているなら、本当にもったいない。

あなたの人生において、転勤はずっと続くわけではありません。 長い社会人生活のうちの、ほんの数年間。 その期間を「修行」と捉えるか、「冒険」と捉えるかで、得られるものは180度変わります。

そこには、東京のワンルームマンションでは決して得られない、刺激的でドラマチックな毎日が待っているかもしれませんよ。

第4章|「場所」ではなく「やりたいこと」で選ぶ

最後に、あなたに伝えたいことは一つです。 就職活動において、「どこに住むか」よりも「誰と、どんな仕事をしたいか」を優先してください。

もちろん、転勤が不安な気持ちは痛いほどわかります。 しかし、その不安を理由に、自分の可能性を狭めてしまうのはあまりにもったいない。

「転勤があるから」という理由だけで、あなたの夢や、本当にやりたいことができる企業を諦めていませんか? もしそうなら、それは大きな損失です。

30代、40代になった時、笑えるのはどっちだ?

想像してみてください。 ずっと東京の実家から通い続け、変化のない毎日を過ごした自分と、 全国各地を転々とし、様々な土地の人と出会い、美味しいものを食べ、トラブルも乗り越えてきた自分。

30代、40代になった時、どちらが「面白い話ができる大人」になっているでしょうか? どちらが「深みのある人間」になっているでしょうか?

私は間違いなく、後者だと確信しています。 そして、そういう経験をしてきた人間の方が、結果的にビジネスでも評価され、人生を楽しんでいることが多いのです。

自分の人生を、小さくまとめるな

若い内は、失敗してもやり直せます。 そして、体力もあります。 今しかできない挑戦を、今しか見られない景色を、自ら手放さないでください。

大企業や有名企業には行きたいけど、転勤はしたくない。 その矛盾を抱えたまま、中途半端な就活をするのではなく、覚悟を決めて広い世界へ飛び出してください。

あなたの人生は、東京という街の中に収まるほど小さくはないはずです。 もっと自由に、もっと貪欲に。 日本全国、あるいは世界を股にかけて活躍する未来を、恐れずに選び取ってください。

あなたの就職活動が、地図の上だけでなく、あなたの心の中の世界地図をも広げるきっかけになることを願っています。

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