【★3.0】MOTHER マザー ケアマネがレビュー:怒りを超えて
★:3.0(……見てられん(でも見なきゃ))
作品の概要……
・2020年公開の映画。
・監督:大森立嗣(まほろ駅前多田便利軒、星の子etc…)
・出演:長澤まさみ 奥平大兼
その作品の存在は知っていました。というのも、今作の題材になっている、ある悲しい事件について関心があり、確かノンフィクションの本も読んで、何かのお話の参考にしたことがあったから。
知っていて、見たいとも思っていたけど、なかなか勇気を出せませんでした。知っているから、こそ。
・秋子はシングルマザー。息子の周平を連れ、両親や妹からお金を借りてその日暮らし。当然、借りたお金は返さず、家族とは絶縁状態。
・秋子は持って生まれた美貌でホストと事実婚状態になったり、ラブホの経営者、建築会社の社長等……世話になった男と肉体関係を繰り返す。
・やがてホストの娘・冬華を出産した秋子は、相変わらず周平を使ってお金を工面するのだがそれにも限界が来て……。
うげっ、て、なったでしょ?
なるんです。そして最も耐え難いのが、これがほぼ実話であるということ……。
秋子は自分が働かずにいるため、そしててっとり早く快感を引き寄せるために、周平を使い倒します。
物語の冒頭、周平は多分小学一年生くらい。
小一・7歳になる年、そんな息子を使って両親や妹に金の無心をする(周平を彼らの自宅に向かわせて、「お母さんが就職するから引っ越し代が必要」などと嘘をつかせてお金をせしめる)……。
そして最悪なのは、周平が健気でいい子であること。物語の最終盤、周平は言います。
「一人じゃ生きていけないですよ、お母さん」
恐らく周平は幼い頃からそう感じて、理解していたのだと思います。
だから助ける、だって、お母さんだから……。
終始、秋子の毒親ぶりに苛立ち、周平の過酷な幼少・少年時代に心を痛め続けることになります。
そのエグさは、画面から顔を背けてしまうほど……。
でも、秋子に腹を立てるだけではだめなんだと思います。
この物語の根幹が事実であるということを踏まえれば、新たな周平を生み出さないためにはどうすべきか、ということを一人一人が考えなきゃ……。
このトンデモ・激烈胸糞映画がこの世に存在してくれている唯一無二の価値は、そのことにあると思います。
正直、耐えぬく自信がない方は見なくてもいいです。
縁があって見た方は、秋子に……今もこの世に、一般社会に存在しているだろう秋子に……唾棄したくなる気持ちを抑え、周平に、周平のような子供達に思いを馳せましょう。
それが、私達が周平にできる唯一の罪滅ぼしなのです、きっと。
★ケアマネとして
共依存、という言葉が今作の中でも使われています。
まさに秋子は周平に依存しています。
いや、秋子が依存しているのは、周平個人ではなく、自分を生かし、楽をさせてくれる男達。
秋子は、とっても分かりやすい人物です。
いわば、快楽に従順、ということ。
そして、最悪と前述したのが、周平の健気さ。
周平は結果的に秋子を助け続けます。そして最悪の事態に至るのですが……。
精神保健福祉分野において、周平のような存在をイネーブラーと言います。
イネーブラーとは……
・個人のある種の問題の解決を手助けすることで、実際には当人の問題行動を継続させ悪化させるという、問題行動を指す。
共依存とイネーブラーがよく指摘されるのはアルコール依存症のケース。
イネーブラーがいる共依存のケースは最も対応が困難なものの一つだと思います。
そしてその解決方法もまた過酷で、ご本人、イネーブラー、支援者、場合によっては周囲の人々も巻き込んでしまいかねず……。
あの時こうしていれば、というのは簡単です。そして無意味かもしれません。
でも、そういう思考・検討の一つが、別の周平の支援に繋がるのであれば……。
そう願わずにはいられません。
★今作について、もう少し詳細にレビューしています。
・あらすじ
・共依存の事例を前に進めるためには(事例を交えて)
・筆者が考える、唯一無二だった周平を救い出せたタイミングとそれが実現できなかった背景についての考察
気になる方はぜひ!
MOTHER マザー を見てみたい方へ
※本記事はAmazonプライム・ビデオの紹介(PR)を含んでおり、最新の配信状況は公式サイトにてご確認ください。
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます、嬉しいです!