推しだった人と繋がった話③【終】
微かに鼻を啜る音がした。
泣かせた。
やばい。
泣かせた。
流石に少し焦った。
年上の男アイドルを泣かせてしまった。
どうしよう。
でも。
とりあえず気付かないふりをした。
大人の対応である。
いや。
ただの逃避かもしれない。
少し間が空いた。
それから彼がゆっくり話し始める。
「ありがとう」
そして。
「ごめんね」
私は。
とりあえず返事をした。
「うん」
すると。
彼が笑った。
「適当じゃん」
「何に対してか分かってないでしょ」
図星だった。
流石である。
私は昔からそうだ。
とりあえず相槌を打つ。
そして後で怒られる。
彼は続けた。
「ちゃんと応援してくれてありがとう」
少し意外だった。
怒られるかと思っていた。
面倒くさいオタクだと思われたかと。
でも違ったらしい。
「いつもステージとか曲の話しかしないから」
「何考えてるのか分からなかった」
確かにそうだった。
私は彼自身の話をあまり聞かなかった。
プライベートも。
恋愛観も。
好きなタイプも。
そんなものには興味がなかった。
ステージが好きだった。
曲が好きだった。
だから。
話題も自然とそうなった。
すると彼が言う。
「でも」
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