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生活と、道具としての服。第3回「『使われること』を待っている形」

CAPE COD CLOTHING STORE の店主、榊です。
洋服屋を開業して30年。57歳になった今、自分が店に並べているもの、そして日々身に纏っているものについて、改めて言葉にしてみたいと思いました。

これは、ファッションというより、僕自身の「生活と仕事」の記録のようなものです。
全5回に分けてお届けしています。

第3回は、僕が仕入れに迷った時に手に取る「ある本」と、そこから考える「服の形」について。少しの間、お付き合いいただければ幸いです。


仕入れに悩んだときは、本棚にある『TooLs』を時折めくる。 「衣食住を創造する道具」を掲げたあの本には、流行や消費に流されない、作り手の思想が宿ったものが並んでいる。眺めていると、道具というのは使われることで初めて、その人の「生活」の一部になるのだと再確認させられる。

僕にとっての服も、まさにそれと同じだ。 飾っておくための美しさではなく、使われて、汚れて、洗われて、ようやくその人のものになる。そのプロセスに嘘がないことが、今の僕には心地いい。

街のハズレにある海外のホームセンターに置かれているような、作業用のカバーオールや、なんてことのない1ポケットのロンTに心惹かれる。 先日駅ビルを訪れたときも、大手セレクトショップより、むしろ「無印良品」や「ユニクロ」「GU」の棚に並んだ商品のほうが好ましく見えた。無印の生活雑貨と地続きにある服の佇まいや、ユニクロたちが持つ、大量生産されたプロダクトとしての潔さ。

ホームセンターに転がっているような服は、「見せるための服」じゃない。「今日という一日を無事に終えるための形」をしている。ポケットの位置、生地の厚み、動きを邪魔しないゆとり。それらはすべて切実な目的から生まれている。

僕が店に置いている WORKERS や JACKMAN、HANDROOM といったブランドも、どこかそれに近い匂いがする。語らずとも、毎日手に取ってしまう。そんな「道具」としての信頼感がある。

(第4回「意識の外にある心地よさ」へ続く)



廃刊になったHUgE(ヒュージ)など、ファッションが主でない雑誌が好きです。

Today’s Book

  • TooLs (2011)

  • TooLs (2012)

  • TooLs (2019)


Supplement|TooLsについて

編集者である柴田隆寛氏を中心に構成された、暮らしを豊かにする「道具」のカタログ。単なる製品紹介ではなく、実際に使う人の視点や、道具が持つ背景、機能美を丁寧に掬い上げています。2011年の創刊以来、僕にとっても「本当に良いものとは何か」を立ち返らせてくれる大切なバイブルです。


SHOP INFORMATION

鹿児島市加治屋町1-9 第二柿本寺ビル

Cape Cod Clothing Store
14:00 – 19:00
Instagram:@capecodstore

Backyard Bar
14:00 – 1:00
Instagram:@backyardbarkagoshima

#workersjapan #jackman #handroom #cmf

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