見出し画像

【創作大賞2026】先生、ぼく宇宙人です。|放課後の小さな課外授業

先生、ぼく宇宙人です。


「先生、ぼく宇宙人です。」
……って言ったら、
先生はどんな顔をするんだろう。
言わなかったけど。
授業中、
僕はよく旅に出る。
周りから見れば、
ただの居眠り。
でも違う。
僕には、
教室より先に見える、
不思議な世界がある。
ある時は、
壮大な宇宙戦争。
もちろん、
僕は敵の宇宙人。
ある時は、
恐竜が生きていた時代。
もちろん、
僕は大きな恐竜。
ある時は、
なぜか現代社会。
不思議なのは、
その夢の中で、
ちゃんと意識があることだ。
ある日、
サッカーワールドカップ決勝戦で、
ゴールを決めた。
「よっしゃーー!!」
気がついたら、
机と椅子を思いきり蹴飛ばしてけとばしていた。
教室中が静まり返る。
……あれ?
僕だけ、
まだスタジアムの中。
先生は、
すごく困った顔。
「ごめんなさい。」
思わず謝るあやまる
でも、
心のどこかで、
少しだけ思っていた。
あのゴール、
取り消しにならなくてよかった。


夏休みの宿題


毎年、
先生が変わっても、
なぜか通知表だけは、
同じでした。
「もう少し落ち着きましょう。」
「授業に集中しましょう。」
いつも、
そんなことが書かれていました。
親は苦笑い。
でも、
自分の中では優等生。
学年が上がっても、
先生が変わっても、
コメントは変わりません。
六年生になって、
「あれ、 僕って落ち着きがない子なの?」
そうなのかな?
でも、治らない。
夏休み前になると、
毎年こう思うんです。
「今年こそ宿題を早く終わらせるぞ!」
やる気だけは、
誰にも負けません。
でも、
終わってみれば、
毎日全力で遊ぶ。
そして迎える、
夏休み最終日。
宿題は、
ほぼ真っ白です。
しかも、
教科書は、
教室に置きっぱなし。
提出日の朝。
友達に、
「お願い、見せて!」
そう言って、
宿題を借りて、
必死に丸写ししていました。
今なら怒られます。
でも当時の僕には、
通常運転。
そんな僕にとって、
夏休み最大の敵がいました。
読書感想文です。
僕は子どもの頃から、
本を読むのも苦手でした。
正確に言うと、
文字ばかりの本が苦手。
でも図鑑は好きでした。
昆虫図鑑こんちゅうずかん
動物図鑑。
宇宙図鑑。
図鑑なら、
何時間でも見ていられる。
でも物語になるとダメ。
途中で飽きる。
読書感想文と言いながら、
本はほとんど読んでいません。
あらすじだけ読む。
感想を書く。
……いや。
感想すら書いていませんでした。
小学生生活最後の夏休み。
ついには、
本をめくることすら面倒になりました。
「だったら最初から創作しちゃえばいいんだ!」
3スリー
2ツー
1ワン
0ゼロ
ドカーン!
ロケット発射。
僕は押し入れという宇宙船に乗って、
銀河への旅に出ました。
そんな非現実的な冒頭ぼうとうだったと記憶しています。
もちろん、
本には一切書かれていません。
完全オリジナルの空想話です。
それから、
ここがミソ!
最後に、
本のあらすじを少しだけつけ足すのです。
一応、
本を読んだフリです。
結果。
先生に褒められました。
学年の優秀作品にも選ばれました。
冊子にも載りました。
ちなみに、
ほぼ創作です。
最後に、
本のあらすじを付け足しただけ。
これが本当に読書感想文だったのか。
今でも僕には分かりません。


給食の時間


キーン。
コーン。
カーン。
コーン。
教室中が少しだけソワソワし始めます。
みんなが待ちに待った、
給食の時間です。
でも、
僕だけは違います。
「今日の献立、何だっけ……。」
それが毎日の心配事。
子どもの頃。
好き嫌いは、
いけないこと。
そう教わってきました。
でも、
現実はそう甘くありません。
僕は、
好き嫌いが、
とにかく激しかったのです。
まず、
好きなおかずから真っ先に食べ始める。
次は、
二番目に好きなおかずへ。
白いご飯だけでは、
絶対に食べない。
嫌いなおかずと、
白いご飯だけが、
毎回最後まで残る。
今思えば、
かなり面倒な子どもです。
給食の時間。
嫌いな食べ物を残すと、
食べ終わるまで席を立てません。
先生は監視かんし
「勘弁してよ。」
「無理なものは、無理。」
逃げ出したいくらい、
地獄じごくの時間。
給食の後は、
楽しい昼休み。
みんなが校庭へ走って行く中、
僕だけ、
冷たくなった給食と、
にらめっこ。
「こんなの食べられないよ。」
「いや、絶対無理。」
「先生、諦めて。」
「お願い、許して。」
頭の中は、
その繰り返し。
食べ切るのが先か。
先生が諦めるのが先か。
対戦結果は、
引き分けかな。
翌週、
キーン。
コーン。
カーン。
コーン。
「やった!」
今日は、
パンの日だ。
ところが、
「あっ!」
豆パン。
こんなの、
無理。
無理。
無理ーーー。
先生に見つからないように、
こっそり、
豆だけティッシュに包み、
ランドセルへ忍ばせる。
……
あー。
豆の味がしみ込んだパン。
これも無理ーーー。
好き嫌いは、
学校の給食だけでは終わりません。
家でも、
同じ。
海老が、
一番嫌い。
そもそも、
食感がゴムみたい。
味も、
微妙。
母の作る、
海老えびグラタン。
海老フライ。
海老は全部、
強制的に弟のお皿いき。
即解決です。
母は、
全く気づきません。
でも、
人生って時には不思議な事が起こります。
大人になって、
友達四人で旅行へ行った時のこと。
昼食は、
お寿司屋さんのランチ。
店員さんが、
注文を聞きに来ました。
「海老抜き、できますか?」一人目。
「私も!」二人目。
「僕も!」三人目。
「私も!」四人目。
「すみません。全員、海老抜きでお願いします。」
……
まさか、
海老嫌い四人で、
お寿司を食べる日が来るなんて。


遠足の日


小学生の頃。
楽しみの一つが、
遠足でした。
先生が、前日に言いました。
「おやつは500円まで。」
みんなは、
ポテトチップス。
チョコレート。
キャラメル。
バナナ。
そんな中、
僕は一人、
近所の駄菓子屋だがしやコーナーで真剣に考えます。
「500円で、一番欲しいものは何だろう。」
延々30分・・・
ずっと一点集中!!
周りの友達は、
とっくに買い終わっています。
でも、
僕だけ動きません。
そして、
ようやく動き出す。
ターゲットは、
おまけつきガム。
本当の狙いねらいは、
おまけのスーパーカー。
出るかな。
出るかな。
出るかな。
決して、
ガムが欲しかったんじゃありません。
欲しかったのは、
おまけだけです。
今でいう、
「ガチャ」
「カード」
と同じ感覚。
分かりますよね、
この気持ち。
僕が狙った一台のスーパーカー。
その場で、
ガムそっちのけで、
おまけの確認作業。
「あっ、違う。」
「これも違う。」
「あっ・・・また違う。」
気がつくと、
500円は、
全部おまけつきガムに変わっていました。
でも、
僕の中では、
完璧な遠足のおやつです。
……と、
遠足当日までは思っていました。
そして、
出発前のあいさつ。
先生が口を開く。
「ガムは禁止です。」
……え?
僕は思わず・・・
口の中では、
すでにガムを噛んでかんでいる。
ゴックン。
証拠隠滅しょうこいんめつです。
「助かった。」
でも、
カバンの中には、
大量のおまけつきガム。
「バレずに済んだ。」
ほっとしたのも束の間つかのま
結局、
こっそり噛んでかんでいたこともバレて、
全部没収ぜんぶぼっしゅう
僕だけ・・・
おやつゼロ。
友達は、
ポテチを食べる。
チョコを食べる。
バナナを食べる。
僕だけ、
……
何もない。
あの日の僕は、まだぼくの中にいます。
結局、ぼくは変わりません。


校長せんせい


体育館。
かべいっぱいに、
絵。
絵。
絵。
全校生徒、
二千五百人分。
僕は、
これを見るのが、大好きでした。
みんな、
うまい。
「すごいなぁ。」
「こんな絵、描けないかけないよ。」
僕は、絵を描くかくのも苦手。
だから、
賞なんて、
最初から関係ありません。
ただ、
みんなの絵を見るのが、楽しかったんです。
その日、
一枚の絵の前で、足が止まりました。
一つ上の先輩せんぱいの絵。
写真みたい。
「これ、絶対に金賞だ。」
そう思いました。
でも、
札を見ると、
銀賞。
……
あれ?
なんで?
そのまま、
校長先生のところへ行きました。
「校長先生。」
「なんで、この絵が銀賞なの?」
校長先生は、
少し笑って、
こう言いました。
「上手に描くかくことより、描きたいものを描きなさい。」
……
その時は、
意味が、
よく分かりません。
翌年。
僕は、
神社を描くことにしました。
木も。
……
違う。
鳥居とりいも。
……
違う。
狛犬こまいぬも。
……
違う。
僕が描きたかったのは、
|社殿《しゃでん。
もっと。
もっと。
もっと。
気づけば、
画用紙には、入りきりません。
木も。
鳥居も。
狛犬も。
全部、途中で切れていました。
でも、
それでよかった。
結果。
人生初めての入選。
校内写生大会、
銅賞。
……
めちゃくちゃ、
うれしかった。

美術の時間。
校長先生は、
よく教室へ来ます。
「鉛筆じゃない。」
割り箸わりばし削るけずる
すみで下書き。
「原色は、そのまま使わない。」
僕は、
色を混ぜる。
また混ぜる。
塗ってみる。
違う。
また混ぜる。
納得するまで、
筆は動きません。
だから、
いつも時間切れ。
「先生。」
「放課後、続きを描いてもいいですか?」
担任の先生は、
いつも、
笑って、
うなずいてくれました。
誰もいない教室。
僕と先生だけ。
夕日が、
少しずつ、
見えなくなっていく。
僕は、
いつまでも、
絵を描いていました。
その後。
県緑化運動ポスター。
金賞。
……
今でも、
何の絵で、
金賞をもらったのか、
覚えていません。
だから、
僕に、
絵の才能があったのかも、
分かりません。
……
僕は、
あの頃から、
色々なことが、混ざり始めていたのだと思う。
絵の具も。
考え方も。
性別も。
年齢も。
白か黒じゃない。
混ぜてみる。
すると、
思ってもみなかった色になる。
……
きっと、
僕は、
ぼくになり始めていた。


先生、お願いします。


ガラッ。
職員室のとびらを開ける。
一番奥には、
学校で一番怖いこわい先生。
片手には、
いつも竹刀。
心臓しんぞうは、バクバク。
嫌だな。
でも、
ここまで来たら、
もう後には引けません。
「先生。」
「お願いします。」
先生が、
ゆっくり顔を上げます。
「……何だ?」
「学校に、サッカーチームを作りたいです。」
……シーン。
先生は、
一言。
「いいぞ。」
……えっ?
まさかの一発OK。
本当に拍子抜けひょうしぬけ
でも、
ここまで勇気を振り絞ったしぼった理由がありました。
学校には、サッカーチームがありません。
サッカーがしたくても、
できません。
その頃、流行っていた言葉。
「ボールは友達。」
あの一言だけは、ずっと頭に残っていました。
「ないなら、作ればいい。」
そう思ったんです。
次の日から、仲間集め。
「サッカーしたい人!」
一人。
また一人。
また一人。
気づけば、
三学年が集まる、
学校のサッカーチームになっていました。
毎日、
校庭でボールを蹴るける
ただ、それだけ。
でも、最高に楽しかった。
あの日、
勇気を出して、
職員室の扉を開けて、
本当に良かった。
……その後、
先生とは、
仲良くなり過ぎました。
竹刀しない叩かれるたたかれるくらいに。
……ご愛嬌ごあいきょうです。


告白


小学6年生。
好きな女の子がいました。
問題は、
好きな子が、
一人じゃなかったことです。
えっ!?
ですよね。
じゃじゃーん。
一人目。
「長い髪が、お人形さんみたい。」
めちゃかわいい。
「あんな長い髪に、なってみたい。」
でも、
男の子だから、
恥ずかしい。
二人目。
運動ができて、明るく活発。
男の子とも、普通に遊んでいる。
「こんなふうに男女関係なく、自由に笑えたらいいな。」
うらやましい。
三人目。
ピアノが弾けて、勉強もできる。
先生にも、生徒にも人気者。
「なんで、そんなに何でもできるんだろう。」
……結局、
誰にも、告白しませんでした。
そして、
卒業文集。
将来の夢を書くページ。
みんなは、
野球選手。
サッカー選手。
先生。
社長。
そんな夢を書いていました。
僕が書いた夢は、
「大きなコアラのぬいぐるみになって、
好きな子のそばにいたい。」
……
僕は、
人間をやめました。


卒業式


小学校生活も、
やっと終わったー。
長かったなあ。
今日は、いよいよ卒業式。
先生の話も長いし、
早く終わらないかな。
そんなことばかり考えていました。
卒業式が始まる。
周りを見れば、
泣いている子もいる。
先生も、
泣いている。
でも、
僕だけは違いました。
なんだか、
うれしくて。
ずっと、笑っていたんです。
だって、卒業だよ。
もう明日から、
学校へ行かなくていい。
それしか、頭にありませんでした。
卒業式が終わり、
教室へ戻る。
すると、
担任の先生が、
僕を含めて、四人の名前を呼びました。
「前に来なさい。」
……えっ?
教壇きょうだんの前へ並ぶ。
褒められるほめられるのかな。」
一瞬、
そう思いました。
ちょっとだけ、
照れます。
でも、
次の瞬間しゅんかん
先生の顔が、
急に変わりました。
「お前たち!」
……えっ!?
公開説教、スタートです。
もう、
何が起きているのか、さっぱり分かりません。
先生が言いました。
「卒業式で、笑っていただろ。」
どうやら、
それが理由でした。
先生は、
卒業が悲しくて、泣いていた。
僕は、
卒業がうれしくて、笑っていた。
同じ卒業式。
同じ教室。
同じ時間。
でも、
感じ方は、こんなにも違う。
僕は、
ただ、うれしかっただけ。
それなのに、怒られる。
その時、初めて思いました。
「なんで?」
泣くのが普通?
笑うのはダメ?
同じ出来事でも、
感じ方は、人それぞれじゃないの?
今思えば、
あの日が、
「普通って何?」
そう考え始めた、最初の日だったのかもしれません。


五分刈り


僕は、
転勤族の家庭で育ちました。
小学校3回。
中学校2回。
最初は、
転校するたび、
大泣き。
でも、
何度も繰り返すうちに、
慣れました。
友達との別れも。
新しい学校も。
……
問題は、中学校。
転校前、学校へ行くと、
先生から事前説明。
「男子は、五分刈りごぶがりです。」
……えっ?
五分刈り?
つまり、
坊主。
……
終わった。
転校より、
友達との別れより、
五分刈り。
「先生、スポーツ刈りじゃダメですか?」
最後の抵抗も、
あっさり却下。
完全に、
終わった。
本当は、
女の子みたいな、
少し長い髪に、憧れていたからです。
そして、
坊主になった日。
どんなに嫌でも、校則には逆らえません。
その日から、
僕の中にいたコアラが、少しずつ目覚めはじめました。
坊主頭に、
スカート。
……
今なら、完全に変人です。
いや、
今でもか。
親に内緒で買った、
お気に入りのスカート。
誰もいない時間を見計らって、
こっそり履くはく
そして、近所の公園を歩く。
本人は、
大満足。
でも、
幸せは、数日で終わりました。
ある日。
勉強机の引き出し。
ない。
ない。
何度探しても、
ない。
母が、
一言。
「あれ、捨てたよ。」
……
人生、
終わった。
13歳。
僕は、
スカートを失いました。
……
そして、
きづけば、
何度も、さよならでした。
友達に。
街に。
思い出に。
そして、
本当の気持ちに。


合唱コンクール


中学2年生。
体育館ステージ壇上だんじょう
僕は、
誰よりも元気よく、歌っていました。
本人は、大満足。
結果は……
学年ビリ。
教室へ戻ると、女子たちに囲まれました。
「お前が下手だから、負けたんだよ。」
……えっ?
この日、
僕の心は、
見事にへし折られました。
でも、
音楽の先生は、
毎回、こう言います。
「いいテナーの声だね。」
えっ?
下手なの?
上手いの?
どっち?
カラオケみたいに、
気持ちを込めて歌うと、
音程がズレる。
オペラみたいに歌うと、先生は喜ぶ。
中学生の僕には、
何が正解なのか、さっぱり分かりませんでした。
そういえば、
小学2年生の頃。
一つ年上の幼なじみ、
みつる君。
お泊まり会では、二人で歌ばかり歌っていました。
みつる君は、
沢田研二さんの『ダーリング』を、
子どもとは思えない、
甘い歌声で熱唱。
僕が最初に、憧れた人です。
一方の僕は。
ハンバーグを食べながら、
なぜか毎回、
オリジナルソング
♪う〇ちーぐ♪
……
今思えば、アホでした。
みつる君は、
ピアノも、エレクトーンも習っていました。
そのエレクトーンが、
我が家へやってきます。
僕も、ピアノを習い始めました。
……半年で終了。
人生初の挫折です。
そして、
十数年後。
みつる君は、
ミリオンヒットを出し、
紅白歌合戦にも、出場しました。
……
そりゃ、勝てんわ。


バレンタインデー


中学校入学。
僕は、彼女に一目惚れをしました。
隣のクラスの女の子。
今でも顔を思い出せるくらい、
本当に好きでした。
当時は、スマホなんてありません。
LINEもありません。
メールもありません。
連絡手段は、
ラブレターか、家の固定電話。
好きな子を見かけるだけで嬉しい。
話せた日は、一日幸せ。
そんな毎日を過ごしていました。
そして、
忘れもしない、
二年生の冬。
2月14日。
バレンタインデー。
リーン。
リーン。
リーン。
家の電話が鳴りました。
「もしもし?」
相手は、
ずっと好きだった、
あの子。
たぶん、
人生で一番ドキドキした電話です。
今でも覚えています。
「チョコ、渡したいんだけど。」
頭の中は、お祭り騒ぎ。
もしかして。
もしかすると。
春が来るのかもしれない。
未だに、
あの頃の甘酸っぱいあまずっぱい気持ちは、
忘れていません。
……こからが問題です。
新学期。
席替え。
僕の隣になったのは、
クラスで一番嫌いだった子。
毎日話して、
毎日笑って。
気づけば、
一番嫌いだったはずなのに、
一番話す相手になっていました。
そして、
付き合うことに。
好きな子は、
どうした。
チョコは、
どうした。
電話は、
どうした。
全部、
置いてきました。
……えっ?
ですよね。
僕も、意味が分かりません。
好きな人は、
見ているだけで幸せ。
付き合う人は、
なぜか別。
……
僕の将来の夢。
「大きなコアラのぬいぐるみになって、
好きな子のそばにいたい。」


エピソード0


春。
両親と、お花見に行きました。
「あれ、男だよ。」
母が口を開きます。
目の前には、女の子の格好をした男の子。
そして一言。
「変。」
……
僕は、何も言えませんでした。
僕も、
髪を伸ばし、
うっすらメイクをして、
女の子みたいな格好をしていたから。
でも、
母は今日も、
目の前の僕には、
気づきません。
「髪を切りなさい。」
「男なんだから。」
しっかりしなさい。」
全部、
母の口ぐせ。
……
給食。
遠足。
校長せんせい。
卒業式。
告白。
五分刈り。
坊主頭に、
スカート。
卒業文集では、
人間をやめました。
思い返すと、
変な子ども。
でも、
あの頃の僕は、
いつだって、一生懸命。
全部、本気でした。
だから今でも、
あの頃の僕を、嫌いになれません。
普通って、何だったんだろう。

ねぇ、
せんせい。
聞いてよ。
あの頃、
ずっと、言えなかったんだ。

ぼく宇宙人だよ♡


いいなと思ったら応援しよう!

きゃんコアラ🐨| 放課後の小さな課外授業 よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!