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「ノーマークの子ほど要注意」──自傷行為・希死念慮に気づくための3つのキーワード


以前、ある学校で「自傷行為、希死念慮」というテーマでミニレクチャーを行いました。
その時の原稿をご紹介します。


〜ここから〜
「自傷行為、希死念慮に関わることとして、今日は3つの言葉を覚えていただきたいです。
それは①正常性バイアス、②ハインリッヒの法則、③ノーマークの生徒ほど要注意、という言葉です。

①正常性バイアスについて。
正常性バイアスとは、何か危ないことが起きても、『まあ、これくらい大丈夫だろう』と出来事を軽く考えてしまうことです。
これは一概に悪いこととは言えず、これがあるからこそ、私たちは心配し過ぎず、安心して過ごせます。

学校は正常性バイアスが起こりやすいです。
なぜなら日々多くの問題が起こりますが、一つひとつ心配し過ぎては、組織が回らなくなるためです。
基本的にはそれで良いですが、自傷行為や希死念慮に関しては、正常性バイアスが起こると危ないです。
念のため、重く捉え、杞憂であればそれに越したことはありません。
正常性バイアスで『大丈夫だろう』と油断している矢先に重大なことが起こると、非常に危険です。

車の運転でも『だろう運転』よりも『かもしれない運転』が推奨されています。
それと同じで、『この生徒は大丈夫だろう』と思うよりも『ひょっとしたら危ないかもしれない』と思ったほうが、生徒の命は助かります。
だから自傷行為や希死念慮に関しては、『今、正常性バイアスが起こってないか?』と自問することが大切です。

②ハインリッヒの法則について。
ハインリッヒの法則とは、『1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハットが隠れている』というものです。

これは実は具体的な数字はどうでも良くて、ようするに『重大事故を防ぐためには、軽微な事故を防ぎましょう。軽微な事故を防ぐためには、ヒヤリハットにきちんと対応しましょう』ということが大事です。

私たちは人間なので、毎日ヒヤリハットはたくさんあります。
それを特に自傷行為や希死念慮に関しては、正常性バイアス『まあ、大丈夫だろう』で捉えるのではなく、『かもしれない運転』できちんと対応することが大事です。
それが軽微な事故を防ぐことになり、ひいては重大事故を防ぐことにつながります。

とすると『リストカットを防ぐ』と禁止したくなってしまうかもしれませんが、リストカットは原則的には禁止はしません。
なぜならその生徒はどうにもならない気持ちをリストカットで解消していることが多いので、その解消手段を禁止すると、もっと危ない手段をとる恐れがあるからです。

なので『リストカットにきちんと対応する』というのは、『今しんどくて切ってしまうのは仕方ないけど、そのうち切らずに済むようになれるといいよね』と生徒を認めた上で、前向きな未来を一緒に見ようとすることです。
リストカットしたくなるほどのストレスはそのままで、『とりあえずリストカットという行為を禁止しておけば良い』というものではありません。
まずストレスに対処する必要があります。

希死念慮も同様です。
『死にたくなる気持ちはあってもいい。それだけ一生懸命生きているのだから、つらくなるのは当たり前。ただ何とか死なないで済む方法を一緒に考えたい』という姿勢を見せることが大切です。
最近私は希死念慮がある生徒には、『死なないでね。ホントお願いしますよ』とお願いすることが多いです。

最後に③『ノーマークの生徒ほど要注意』について。
これも正常性バイアスやハインリッヒの法則につながります。
普段は問題が見えている生徒への対応が中心になります。
もちろんそれは大事です。

ただもう一方で、『この生徒は大丈夫だろう』という生徒に対しても、『本当に大丈夫だろうか』と思いを馳せてほしいです。
本当に大丈夫な生徒は多いし、全員を心配したら先生方の仕事が際限なくなってしまうので、ほんの少しだけで良いです。

『ノーマークだけど、ひょっとしたら何かあるかもしれないな』と捉えるだけで、ずいぶん見え方が変わってきます。
抱えている問題が見えやすくなります。
それが自傷行為や希死念慮と向き合い、生徒の命を守ることにつながります」


〜ここまで〜
こんな感じです。
様々な考え方はあると思いますが、こちらもよろしければ、参考にしてください。

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