【連載】~昭和パソコンオタク列伝~ 第16回:「タブレットPC沼」
ジャンクのWindowsタブレットと出会ってしまった私は、完全にスイッチが入ってしまった。
それまでの私は、どちらかといえば「デスクトップ至上主義」の人間だった。
パソコンとは、机の上にどっしり構え、ケースの中にCPUやグラフィックカードを詰め込み、冷却ファンが唸りを上げる——そんな“重たい機械”こそが本物だと思っていた。
だが、Windowsタブレットは違った。
小さい。
軽い。
それなのに、ちゃんとWindowsが動く。
これが衝撃だった。
タブレットといえば、当時はiPadやAndroidタブレットが主流だったが、それらはあくまで「スマホの延長」である。
しかしWindowsタブレットは違う。
完全なWindowsパソコンなのだ。
WordもExcelも動く。
ファイル管理も普通にできる。
USB機器だって接続できる。
それが、手のひらサイズの機械の中に入っている。
これはもう、昭和パソコンオタクとしてはロマンしかない。
しかも、私が手に入れたのはジャンク品である。
つまり安い。
実に安い。
この「安さ」が、あとあと大きな問題を生むことになる。
なぜなら、人はこう考えてしまうからだ。
「もう一台くらい買ってもいいんじゃないか?」
こうして、タブレット沼への第一歩が踏み出されることになる。
小さなWindowsたち
最初の1台を手に入れてからというもの、私は中古ショップやネットオークションを見かけるたびに、Windowsタブレットを探すようになった。
すると不思議なもので、次々と見つかる。
「液晶割れ」
「バッテリー弱い」
「タッチ不良」
「BIOSロック」
実にさまざまなジャンクが並んでいる。
しかし、パソコンオタクにとってそれは「欠点」ではない。
むしろ“楽しみ”である。
直せるかもしれない。
OSを入れ直せば復活するかもしれない。
分解してみたら面白いかもしれない。
そんな期待が膨らんでしまう。
そして、気がつけばポチっている。
人間とは恐ろしい生き物である。
Atomとの再会
この頃のWindowsタブレットの多くには、IntelのAtomプロセッサが搭載されていた。
Atom。
懐かしい名前だ。
かつてネットブック全盛期に大活躍した、省電力CPUである。
正直に言うと、当時のAtomは「遅い」というイメージが強かった。
実際、ネットブックで使ったときには、なかなかの“もっさり感”だった。
ところが、タブレットのAtomは少し印象が違った。
もちろん速いわけではない。
むしろ、今の基準で見ればかなり非力だ。
しかし、Windows10がちゃんと動く。64bit機ならWindows11だって動くのだ。
ブラウザも使える。
動画も見られる。
そして何より、完全ファンレスである。
静かだ。
発熱も少ない。
この「小さくて静かなWindows」に魅了されてしまった。
気がつけば増殖
最初は1台だったはずのWindowsタブレット。
しかし気がつけば、机の上に何台も並ぶようになっていた。
8インチ
10インチ
キーボード付き
2in1タイプ
メーカーもさまざまだ。
ドスパラ
HP
Lenovo
ASUS
私が収集したコレクションを少し紹介しよう。
まず、WindowsタブレットをコレクションするきっかけとなったドスパラのDiginnos DG-D08IWB、これが第1号だ。タッチ不良という触れ込みで購入したジャンク品だったが、何をどうしてもタッチ正常化できず、ついに同型の正常機を購入。ストレージをクローン化してもだめだった。3つのAIに相談しながらあれこれやってもだめで、最終的にはタッチ機能が故障しているという結論で終わった。
このことを機にドスパラDGシリーズを集めだし、以下のようにほぼコンプリート。
DG-D08IWB×2台
DG-D08IW2L
DG-D08IW2SL
DG-D09IW2
DG-D10IW2
DG-D10IW3SLI
次にドスパラDGシリーズを集めていくうちに、目に止まったのが、
HP Elite x2 1012 G1だった。実際に実機を目にしたときにあまりのカッコよさに衝撃を受け、HP Eliteシリーズのファンになった。こちらもせっせと集めて以下のとおり全機種コンプリート。
HP Elite x2 1012 G1×2台
HP Elite x2 1012 G2
HP Elite x2 1013 G3
HP Elite x2 G4
HP Elite x2 G8
HP Pro x2 612 G2


そのほか、
Lenovo Yogabook YB1-X91L×2台
ASCON AT-08
ASCON AT-11×2台
ACER Aspire P3-171
ASUS Eee Slate B121
Lenovo MIIX 320-10ICR
Surface PRO3
など、多数を収集。
ここでちょっと面白いPCを紹介。上で記載したLenovo Yogabook YB1-X91Lである。この機種はWindows 10を搭載した革新的な薄型軽量の「2-in-1タブレット」で、キーボードの代わりに「Haloキーボード」と呼ばれるタッチパネルとなっており、物理キーボードではないこと。そしてとにかく薄くて軽い。閉じた状態で厚さ約9.6mm、重量約690gしかないんです。


それぞれに個性がある。
液晶の発色が良いもの。
キーボードが打ちやすいもの。
妙に軽いもの。
そして当然ながら、クセの強いものもある。
タッチがずれている。
ドライバーが当たらない。
Windows Updateで不調になる。
しかし、それも含めて楽しい。
むしろ、トラブルがあるほうが面白い。
普通の人から見れば完全に理解不能だろうが、パソコンオタクというのはそういう生き物なのである。
小型PCのロマン
タブレットPCをいじっていて、私はあることを感じていた。
それは、
「小さいパソコンって面白い」
ということだ。
昔から、小型PCには独特の魅力がある。
たとえば
UMPC
ネットブック
小型ノート
どれも決して高性能ではない。
しかし、「こんなに小さいのにPCが動く」という驚きがある。
これは、パソコン黎明期から続くロマンなのかもしれない。
巨大なデスクトップPCを組む楽しさとは、また違う。
小ささそのものが魅力なのだ。
そして、沼は深くなる
こうして私は、Windowsタブレットを次々と集めるようになった。
中古ショップで見つける。
ネットでポチる。
ジャンクを直す。
気がつけば、完全に「タブレット沼」にハマっていた。
しかし、この頃の私はまだ知らなかった。
この沼が、さらに深い世界へと続いていることを。
Windowsタブレットだけでは終わらない。
その先には、
とんでもない小型PCとの出会い
が待っていたのである。
それは、まるで
「手のひらサイズのパソコン」。
次回、私はその存在を知ることになる。
🔔 第17回予告
「手のひらのWindows」
〜小型PCの世界は、まだまだ奥が深い〜
タブレットPCの世界に足を踏み入れた私は、さらに不思議なパソコンたちと出会うことになる。
それは、なんと手のひらサイズのパソコン。
小さな箱の中で動くWindows。
画面付きの超小型PC。
そして世界中の電子工作ファンに愛される小型コンピューター。
小型PCの世界は、まだまだ奥が深い。
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