【連載】~昭和パソコンオタク列伝~ 第20回:「AIとの出会い」〜60代、まだ進化の途中〜(最終回)
気がつけば、ずいぶん遠くまで来たものだ。
NECの8ビットパソコンに胸を躍らせ、雑誌のプログラムを一行一行打ち込んでいたあの頃。フロッピーディスクに感動し、やがてWindowsの時代が来て、インターネットに繋がり、サーバーを立て、NASを何台も並べるようになった。

振り返れば、常に「新しいもの」に惹かれてきた人生だった。
だが、正直に言うと、ここ数年は少しだけ停滞を感じていた。
新しいガジェットは相変わらず好きだ。小型PCや変態デバイスを見るとワクワクする。だが、それらはどこか“延長線上”にある進化で、かつて感じたような衝撃とは少し違っていた。
そんなとき、出会ったのが「AI」だった。
最初は半信半疑だった。
「AIが文章を書く?」「会話ができる?」
正直なところ、最初に触れたときの感想は「すごいけど、まだまだだな」だった。
だが、何度か使ううちに、その印象は一変する。
質問すれば答える。
文章を書かせれば、それなりに整ったものが出てくる。
しかも、やり取りを重ねるほど、こちらの意図を理解していく。
これはただのツールではない。
“対話できる存在”だと感じた瞬間だった。

そしてある日、ふと思った。
「これ、ブログ書けるんじゃないか?」
それが、すべての始まりだった。
最初は軽い気持ちだった。
試しに記事を書かせてみる。一瞬で文章が出来上がることに驚きと共に感動を覚えた。
以前にもブログを書いていた時期がある。そのときは1行1行考え、タイピングして苦労して投稿していた。それが、一瞬でたたき台ができてしまう。
すごい時代になったものだ。
そこからは早かった。
自分の体験をベースに、AIと一緒に文章を組み立てる。
思い出を掘り起こし、言葉にする。
構成を整え、読みやすくする。
まるで“編集者”が隣にいるような感覚だった。
いや、それ以上かもしれない。
これまで文章を書くというのは、ある意味で孤独な作業だった。
考えて、悩んで、書いて、消して、また書く。
だが今は違う。
思いついたことを投げると、AIが形にしてくれる。
そこに自分の言葉を重ねる。
さらにブラッシュアップしていく。
この「対話しながら作る」という感覚は、これまでにない体験だった。
そして気がつけば、私は「noteで連載」を始めていた。
60代になって、まさか自分が文章を書き続けることになるとは思っていなかった。
しかも、それが毎回何千文字にもなる連載だ。
昔の自分に言っても、きっと信じないだろう。
「お前、将来AIと一緒に文章書いてるぞ」
と。
この連載を書きながら、何度も思った。
「ああ、自分はやっぱりパソコンが好きなんだな」と。
ハードが好きだった。
OSが好きだった。
ネットワークが好きだった。
サーバーも、NASも、全部好きだった。
そして、新たに加わった相棒とも呼べる存在の「AI」が好きだ。
結局、やっていることはずっと同じなのかもしれない。
“新しいものに触れて、試して、楽しむ”
ただそれだけだ。
AIは、これまでのパソコンとは少し違う。
性能が上がるとか、速くなるとか、容量が増えるとか、そういう話ではない。
もっと根本的な変化だ。
「人間の作業を拡張する存在」
それがAIだと思っている。
文章を書く。
考えを整理する。
アイデアを出す。
そういった“頭の中の作業”に直接関わってくる。
これは、正直かなり衝撃的だった。
一方で、こんな声もよく聞く。
「AIに任せたら人間はダメになる」
「自分で考えなくなる」
それも一理あると思う。
だが、使い方次第だ。
丸投げすれば確かにそうなる。
だが、“一緒に作る”という使い方をすれば、むしろ逆だ。
考える量は増える。
試行錯誤も増える。
表現の幅も広がる。
少なくとも私は、AIを使うようになってからの方が、よく考えるようになった。
そして何より大きいのは、
「年齢が関係なくなる」
ということだ。
体力は落ちる。
記憶力も落ちる。
新しいことを覚えるのも、正直しんどい。
だが、AIがそれを補ってくれる。
調べる。
まとめる。
形にする。
そういった部分を支えてくれる。
だからこそ、60代でも、いや60代だからこそ、まだ新しいことに挑戦できる。
これは本当に大きい。
この連載は、「昭和パソコンオタク列伝」として始まった。
だが、最後まで書いてみて思う。
これは単なる昔話ではなかった。
過去の話をしながら、ずっと「現在」と「未来」に繋がっていた。
8ビットから始まったこの物語は、
インターネットを経て、
サーバーへ進み、
そしてAIへと辿り着いた。
すべてが一本の線で繋がっている。
そして今、私はまた“最初の頃”と同じ感覚を持っている。
「なんだこれ、面白いぞ」
あの頃と違うのは、年齢だけだ。
だが、不思議なことに、ワクワクする気持ちはまったく変わっていない。
これで連載は一区切りになる。
だが、終わりではない。
むしろ、ここからが新しいスタートだ。
AIという、これまでにない相棒を手に入れた今、
まだまだやれることは無限にある。
60代、まだ進化の途中。

そしてこれからも、おそらく私は——
新しいものに飛びつき、
試して、失敗して、また試して、
そして楽しんでいるだろう。
ここまで読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございました。
またどこかで、次の“オタク話”でお会いしましょう。
完
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