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~私の過去の物語⑤~甘えと覚醒のはざまで〜自分のわがままに気づき、介護に出会った大学3年の春〜

大学生活も3年目に差し掛かった頃、生活はある種の“安定”を見せていた。
レポートにもある程度慣れ、効率的なこなし方も身についてきた。
アルバイトも、最初は何もできなかった自分が、いつしか店の中心メンバーのひとりになっていた。

けれど、そこでまた「悪い自分」が顔を出していた。
学校には飽きが出始め、バイトでも少し天狗になっていた。
そして、何より最悪だったのは「親への甘え」だった。

大学の学費も、家賃も、光熱費も、食費も…すべて親が出してくれていた。
自分がバイト代で賄っていたのは、ほんの娯楽や雑費だけだったにもかかわらず、
「やってもらうのが当たり前」
「自分の思い通りにならないと不機嫌になる」
そんな、どうしようもなくわがままで、自分本位な態度をとっていた。

思い出すたびに、情けなくなる。

そんなタイミングで、大学のカリキュラムの一環として「訪問介護員2級(現在の初任者研修)」の資格取得に向けた実習が始まった。
実習先は、ある老人保健施設だった。

最初は、正直気が重かった。
自分にできるのか。
あまり知らない世界に踏み込むことへの不安。

しかし、その体験は自分にとって衝撃だった

寝たきりで言葉を発せない方、
認知症で昼夜が逆転している方、
突如暴れ出す方、
ずっと窓の外を見ながら独り言を言い続けている方…。

自分の「日常」や「当たり前」からは、かけ離れた世界。
だけど、その中には**確かな“人の営み”**があった。

その実習で、自分はある利用者の方の担当になった。
その方は穏やかで、繰り返し同じ話をされることが多かった。
でも、その話の一つひとつには、その人の人生の断片が刻まれていた。

前年、最愛の祖母を亡くしていたこともあってか、
「この人のために、何かできることをしたい」
心の底から、そう思った。

それは、今までの自分にはなかった感情だった。

「介護の仕事って、もしかしたら自分に向いているかもしれない」
そんな芽生えが、自分の中に静かに、でも確かに生まれた。

“甘えていた自分”が、“誰かのために役に立ちたい自分”に変わっていく。
その第一歩だった。

あの実習がなければ、今の自分はいない。
そして、あのとき「このままじゃダメだ」と自分を省みなければ、今の道を選ぶこともなかった。

これが、介護という仕事に興味を持った、最初のきっかけ
そして、自分自身と向き合い始めた、人生の分岐点だった。

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