【短編小説】こんな「野党」だったらいいな
《あらすじ》
とある星の、とある国の、売れないライター。打つ手打つ手が裏目に出て
衰退の一途をたどる野党がこっそり公募したのが、生き残りをかけた変身策だった。生活苦にあえぐ、売れないライターはさっそく応募したが、見事、落選した。
《本文》
「それにしてもさ、『こっそり、公募』って何だよ」
「うん、そのへんはおいらにもわかんないけどさ、支持者の人から聞いたんだよ」
「どうせ落選したんだしな、細かいことは関係ないか」
「問題は、また家賃払えないってことだ」
「とりあえず、ここの飲み代は、おごるよ」
「わるいな」
売れないライターは、友人が手にしたビール瓶の前に、やや控えめにグラスを差し向けた。
「でもさ、あの野党、人気ないよな」
「応援してる奴って、ほとんどいないもん」
「心では応援してても、こう人気がないと恥ずかして言えないだろうしな」
「だから、人気がない理由から分析してみたんだ」
「で、分析結果はどうなった?」
「国のために活動してるのか、党のためかがわかんないってことだった」
「ああ、それあるかも。いい線突いてると思うけど、落選かぁ」
「読んでみる?」
長い間、単一民族と信じてきたわが国民は、ほとんどがわが国の発展を願っている。歴史をみても、乙巳の変や明治維新、一揆などがあったが、いずれも時の為政者への反乱。国家の転覆や崩壊を願うものではなかったように思う。
それなのに現在の政争、とりわけ野党の行動を見ていると、国家への想いが見えにくい。
例えば、外交。この国とこういう関係を持つことが、わが国にどんな幸福があるかが見えない。わが国が、そんな不利益を被ることが、わが国にそんな幸福をもたらすかが見えにくい。
国民から見ると、単に与党を困らせているだけであり、野党を存在を誇示しているだけにしか映らない。
聞くところによれば、野党は与党を批判するのが役目であるらしい。与党に不備があれば、そこを指摘し、代案を提示するのは大事な役目だと思う。
問題なのは「不備」の範囲である。
不備追及のために法案審議をストップさせる。その場合は、法案審議以上の利益を、わが国にもたらすことを明示する必要があると考える。でなければ、単なる与党への嫌がらせであり、イジメとしか国民には映らない。
仮に、議員さん同士で嫌がらせやイジメをしている分にはまだいいとして、その価値観が国民生活にも汚染したら、社会の崩壊であり、国家崩壊をもたらす。国民からすれば、これが直近、怖いのである。おそろしく怖いのである。
……
考えるに、野党は与党の批判勢力にとどまらず、与党とともに国家を守り繁栄させる存在ではないだろうか。グローバル化が進み、外からの国家破壊勢力も否定できない昨今である。
野党が生き残る道は、与党のサポート勢力になることだと考える。そのうえで、主役を食う脇役、サポートになれることをめざしていけばいいという結論に至ったしだいである。
「なかなかいいじゃん」
「ありがとう。なぐさめてくれて」
「なぐさめだけでもないさ。代案のない反対は控える、審議の邪魔は控える。これって、社会人としての最低限のマナーだと思うもん」
「でも、落選したよ」
「そうだった。その昔、なんとかいう総理大臣が、『これからは野党を育てる』ってらしいが、わが国が伸び悩んできた理由の一つは、そこかもしれないな」
「かもな」
