noteを読みながら妻を待つ夜。
師走のとある平日、私は仕事を終えて、
四歳の長女と先に帰宅した。
二人で夕食を取り、
入浴して寝かしつけまで終わらせていた。
とても疲れていたので寝室の灯りを消し、
ベッドでゴロゴロしていた。
noteの新着・おすすめ記事を読み、
気に入った記事にスキをつけていた。
読むジャンルはだいたい決まっていて、
恋愛エッセイや子育て関係などだ。
……つい、他人の夫婦生活も気になってしまう。
ときどき離婚の話も読んでしまうし、文筆家のショートショートや掌編小説も勉強になる。
妻は夜遅くに帰宅した。
「あれれ、部屋が暗いよ!?〇〇くんどこ??」お酒が多少入っているのか、やや声が大きい。
以前の記事で触れたが、妻は私のことを普段から「名字+くん」付けで呼んでいる。
寝室にいる私を発見した妻。
「いた!なんで先に寝てるの!」
「いや、疲れてたし…」
「お風呂入るの面倒くさいなあ」
そんなことを言いながら、
妻は服をそこらへんに脱ぎ捨てている。
「…さきに、風呂に入ったら?」
そう言ったが、
妻はそのままベッドにダイブしてきた。
──おいおい。
……なんとなく、妻の素肌に手を滑らせる。
妻はそれもお構いなしだ。
妻は、最近ゴルフにハマっている。
思い出したように、急に話し始めた。
「そういえばさ、今日の松山英樹のイーグルすごすぎたよね!」
「たしかにあのセカンドショットはすごかったね」
「…暑いから、あなたも脱いだら?」
妻が暑いのは、たぶんお酒が入っているからだ。私は暑くないのに、なぜか上だけ脱ぐことに。
その後も会話のテンポは変わらない。
「やっぱ松山は他の日本人よりレベル高いよね」
「彼はうますぎて参考にならないよ。もっとアプローチとかパター練習しなよ。」
スマホの時刻表示がふと、目に入った。
…このままだと、明日の朝に響く。
我に返って、妻にこう告げた。
「…いい加減、お風呂はいったら?」
「えー仕方ないな、私が風呂入ってるあいだに寝てたら怒るからね?」
…やっと、風呂に入った。
浴室からシャワーの水音が聞こえてくる。
私はとりあえず服を着て、noteにいくつも保存してある下書き記事を読み返す。
──次回は人気のある初カノの話を出そうかな?それとも、軽めのこの話を先に出すべきか…?
……妻が、風呂場から出る音がした。
──危ない危ない。
こんなことしてる場合じゃない。
今、目の前にいる人を、まず大事にしないと。
四歳の娘は全く起きる気配がない。
床には、妻の脱ぎ捨てた服が散らばっている。
──まだ、寝てはいけない。
(了)
過去作ですが、初めて珈琲次郎さんの企画に参加させていただきました。どうぞよろしくお願いします。
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