冷凍庫【シロクマ文芸部】
冷凍庫というよりは、冷凍室というべきであろう。
この家の主
怪盗ナールは美術館の絵画や宝石には見向きもしない怪盗である。
ナールの心を唯一掴むものは、
薔薇色の頬をした美しい年若い女の手に口づけをする行為。
とんだエロ爺の怪盗である。
馬車道通りの片隅に潜み、並木の銀杏葉を舞い上がらせ、女が目をつぶりショールを飛ばされないようにかがみ込んだ瞬間、手に素早く口づけをするのだ。女は風がいたずらをしたのかと勘違いして何食わぬ顔で歩きだす。
そんなチキン野郎の怪盗ナールだが
恋いこがれる天使のような可憐な女の子、カトリーナには手をいや口を出せないでいた。
思いはつのりとうとう常軌を逸した行動に出た。自宅に冷凍室を作り、等身大の水槽を置き、その中に永遠のカトリーナを冷凍保存しようと考えた。
もはやエロ爺にとどまらず、猟奇なドS級エロ爺に変貌していた。
いよいよ実行の時が来た。
怪盗ナールはカトリーナの飼うスコッチテリアに目をつけた。
美味しい干し肉の匂いで屋敷内の犬を誘い出すことにした。
カトリーナと犬が戯れている庭の柵の陰から干し肉の匂いをおくり、それにつられてまんまと犬は門の外へと飛び出して来たのだ。それを追うカトリーナ
「待ちなさい、メロ外に出ちゃだめ!」
メロを追うカトリーナ、屋敷の角で待ち受けていた怪盗ナール
黒いマントを広げカトリーナをつつみ、口にはクロロホルムの液を含ませたハンカチを押しつけた。
怪盗ナールは水槽にカトリーナを寝かせ蛇口をひねった、
とその時、激しくドアをたたき割る音がした。
「だ、だっ誰だー!」
その男は、カトリーナの家の書生アルベルトであった。2階の窓から一部始終を見ていたのだ。
急いで階段を駆け降り屋敷を飛び出してとうとうナールの部屋を探し当てた。
アルベルトは一目散にカトリーナに近づき水槽に身を投げた。
「何をするのだ!最高の芸術品に手を出すな!」
アルベルトは密かにカトリーナに恋をしていた。命を賭けても救いだそうと、カトリーナの口に自らの口を押しつけ息を吹き込んだ。
それに仰天した怪盗ナール
「止めろ!止めてくれぇー!
私のカトリーナーになんてことを!」
ナールは水槽に手を突っ込み男を剥がそうとした。
アルベルトはこの時とばかりナールを引き寄せ水槽に引きずり込んだ。
「お前のようなドSに大事なカトリーナを取られてたまるか」
アルベルトは水槽からカトリーナをすくい上げ、ナールを突き落とした。
そして思いっ切り水道の蛇口をひねった。
「アチ!アチチチーー!」
余りにも勢いよく蛇口をひねったので熱湯が吹き出たのだ。
まもなくして、警察がナールの部屋に押し寄せた。
引き上げられたナールのひと言は、
「押すなよ、絶対押すなよっていったのにー!」
おしまい😅
怖ーいお話を考えていたのに、頭の中で怪盗ナールは志村けん
熱湯風呂は上島竜兵に変わってしまった。
一体、クリ純の脳内はどうなっているのか…、本人も分かりません。コメントあったらお願いします😔
