おせち風呂【毎週ショートショートnote】
「バ、バン、バ、バン、バンバン!♩ア~、ア、ビバノンノン♪」
いい湯だな~と、おせちの中の黒豆さんが歌い出した。
田作りの小魚君が小躍りしながら「ビーバ、ノンノン」とあいずちを拍った。
黒豆さんが言った
「私は、丹波産の最高級黒豆
お国自慢の温泉地はどこかしら」
数の子がふんぞり返って
「俺様はアラスカ生まれ、冬はオーロラを眺めながらフェオバンスク・チェナ温泉さ」
黒豆さんは、負けじと
「わたくしの街には文豪の愛した城崎温泉がありましてよ」
田作りの小魚君は
「僕は、長崎産やけん、小浜温泉たいね、人情女将の優しか温泉たい」
「クワイの兄さんはどちらのご出身?」と黒豆さんが尋ねた。
クワイさんが応えた
「埼玉だっぺ、埼玉で温泉ったら、やっぱ秩父だんベ、山ん中で空気もうんめぇーし、ちょとつかりに行ってくんベ、でちょーどよかんべさ」
おせちの仲間はクワイ兄さんの気合いにたじろぎながらも、黒豆さんが場を締めた
「私たち仲良く収まってだけど明日で終わりね、みんな元気でね」
おせちの仲間は
おしゃべりを止めた
「ゴォーーン」
その時
除夜の鐘が響き始めた。
終わり
