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邪道作家20巻 論理の悪魔・公共観念VS殺人鬼作家(現在は無料化)

作品テーマ 非人間讃歌

ジャンル 近未来社会風刺ミステリー(心などという、鬱陶しい謎を解くという意味で)


簡易あらすじ

アンドロイドが自我を持ち職を奪い作品すら書き上げる時代───非人間の殺人鬼作家が、作者取材という戦いに挑む!!

当然ながら依頼は嘘まみれ、行き着く先には困難ばかり••••••得られる「利益」が見えずとも、不屈で書き抜いた事だけは「真実」だ。


天上天下において並ぶもの無い、唯我独尊の物語だ───他に書ける奴がいるというなら連れて来い!!


過去未来現在において、唯一無二の


「悪意」


だけは「保証」しよう!!!


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内容? そうだな───まず

電脳派アイドルに関する話

を───して───した挙句に

いたいけなアンドロイド達の依頼を


義侠心のあまり快く引き受けた挙句、しかも

18禁要素ありありで


表現としては産卵を───人間性の堕落まで追求───


した内容となっている───満足したか?


全て読みたければ、一括千円で買うんだな!!!



邪道作家20巻


     0

 倫理とは、現実を誤魔化す為だけにある。
 頭蓋骨をかち割り胎児を引きずり回して勝手な都合で戦争を仕掛けた挙げ句に体面だけは整えて「法治国家」を気取り「世界の警察」などと口にし出すのが「人間」だ。
 高尚な部分など欠片も無い。
 獣の方が遙かにマシだ。
 不思議な事に人間というのは大昔から、それら残虐性を「無かった事」にしてきた。そんなのは虚構の出来事だと、そう言わんばかりに認めない・・・・・・事の真贋とは彼らにとってどうでもいい物であり、その場その場の都合で書き換えるものでしかない。結果的に「力」で適当に肯定出来ればそれでいいのだ。事実、人間社会とはそれだけで回されてきた世界だと言える。
 あるのは「力」だけだ。
 それ以外には何も無い。
 少なくとも世界を動かすという一点においては力以外の何かが動かした事など、無い。力だけが世界を動かし社会の有り様を決定してきた。
 思想? 道徳? 倫理?
 何かの冗談か? だとすれば、酷い出来だ。
 悪い冗談だ。私のより酷い。
 結局の所、そういう行いの数々を現代でも当然ながらしているのが「人間」だ。保守派の政治家など見れば明らかだろう。好き勝手に情報機関も本来犯罪者を捉える機構も金で動かし、調子良い綺麗事を並べながら都合の良い法制を通す為だけのくせに、正義があると思い込む。
 だから進歩しないのだ、間抜けが。
 はっきり言って気持ち悪い。だからだろうか、私が面倒な上に徒労極まりない執筆を行うのは、彼らに対する嫌悪と是正なのかもしれない。
 端的に言えば、働け、という事だ。 
 無職が世界を動かす様は、ぞっとしない。
 剥き出しの人体のような醜さだ。
 そんな連中が偉そうに世界を語り出してみろ。こいつらを殺し尽くす事が世界を綺麗にする行いなのだなと、子供心ながらに思うのは当然だ。
 別に社会が生み出したと思うつもりも無いが、とはいえそれはそれで「事実」だ。世界には善性など存在せず、そう名乗っているだけに過ぎない・・・・・・それを暴力で押しつける事を「正義」だと口にし、洗脳教育で刷り込む作業を「倫理」だの「道徳」だの「文明人の誇り」などと口にして、事実を誤魔化し現実逃避しているだけなのだ。
 人間の誇りだと? 馬鹿も休み休み言え。
 指輪を奪う為に指を切り落とし、耳飾りを手に入れる為に肉を削ぎ落とす事こそ人間の本質だ。問題なのは、その自認から逃げる事だろう。
 良い行いだと、そう称えさせるのだ。
 周囲を洗脳するか暴力で言わせるかするだけで「もしや本当にそうなのでは?」と思い込むのだから単純な人生で羨ましい。暇そうで。
 大体が畜産物と口にしている動物には同じ事を常日頃からしているではないか。命は平等だとか口にしながら、何故それを忘れられるのか。
 苦しめて貶めて殺し、剥製にする。
 食料品などそれこそ剥き出しの人体を解剖して並べているようなものだが、全体像を創造し難い単品での販売だからだろう。彼らには罪悪感など無いし、何なら「命を奪っている」自覚すら無い・・・・・・精々「美味しい肉がある」程度だろう。
 良いインディアンは死んだインディアンの事だと口にした奴がいるが、その言に乗っ取って言うなら「良い人間とは、死んで数万年沼に漬けて、石油に変貌した人間の事だ」とでも言うべきだ。 生きていても死んでいても迷惑だからな。
 自然に還る事すらない。加工食品ばかり食べているから腐りもしない。これでよく死後の世界で輪廻の輪に入るだの天国に行くだの言えるものだ・・・・・・やはり近代の人間には「発想力」が欠けている。完全に無いと言ってもいい。
 私は己を人間の失敗作みたいな物だと自負している(勿論、自慢だ。そんな生き物になって何か私に「得」があるのか?)が、現代の人間を自負している連中には既に「人間だと名乗るには本来必要な機能」が何一つ付いていないではないか。 他者への愛情。
 自然との調和。
 未来への希望。
 あるなら見せてみろ。まあ無理だろうがな 
 結論として、貴様等は既に人間ではないのだ。人間など、もうどこにもいない。勝手に自分達は人間だとほざいているだけで、それだけだ。
 頭の悪い猿もどきが増えているに、過ぎない。人間性の尊さを語るのは勝手だが、それは貴様等ではなく過去にいた「人間とかいう生物」共の、ただの名残でしかない。
 そう思うと、何とも滑稽だ。
 人間ではない奴等が人間を名乗り、それに憧れ人間を目指すと息巻いているアンドロイド達は、まさしく「道化」と呼ぶのに相応しい。
 見せ物としては、やはり落第店だが。
 収支が合わない。その為に世界中の資源を食い荒らすのでは本末転倒だ。周囲の迷惑も考えられないなんて、恥ずかしくないのか?
 私に言われたらお終いだぞ。
 そう、既に貴様等は終わっている。
 人類は絶滅しているし、先に繋ぐべき希望など最初からありはしない。無い物をどうやって未来とやらに繋げるのだ。言葉遊びか何かか?
 馬鹿馬鹿しい。遊びに巻き込むんじゃない。
 私は忙しい。主に物語を売る事にな。とはいえそう考えると、物語を売る相手が既にいないから私は貧窮しているのかもしれない。
 迷惑な噺だ。勘弁して貰いたい。
 遊び人の屑はこれだから困る。
 ならば貴様はどうなのかという意見もあるかもしれないので先んじて答えると、私が物語を売る役に立つどころか、足を引っ張って屑共の育成に貢献しているのだから知ったことではない。
 私にとって「先祖」などその程度だ。
 第一、人間だと己を思っていない奴に人間社会の歴史を語られても困る。それが何であれ、利用出来るなら利用する。それだけだ。
 食肉加工品を普段からそんな目で見ている私に悪の自認が無い訳がないだろう。最悪の私にそういう言葉遊びの類は文字通り「無意味」だ。
 それが私の「得」になるのか?
 なるなら考えてやる。それだけだ。
 しかし食肉加工品が人間の肉が並んでいるようなものだと考えれば、私に心はないが心が躍ると人間共は言うべきだ。
 だって、壮観な景色ではないか。
 一面に並んでいる肉を人間に例えれば、例えば白い皮膚限定のもも肉が、左には黄色い皮膚限定のバラ肉が並んでおり、大量殺戮された現地民の肉は、極々少量が高値で取引されていますよ。
 こちらなんて如何ですか、バラエティセットで三種類の肌肉が寄り分けられ、原住民の高級肉も少量だけ上ロース肉がございます。
 実際には比較にならないくらいに適当に殺してきていたらしい。精肉屋に習わなかったのだろう・・・・・・そんなだから感染病にかかるのだ。
 私の手際の良さを見習ったらどうなのか。
 自認もせずにそれを「誇り高い歴史」とやらを眺めて誤魔化し続けるというのだから暇人なのだなとしか言いようがない。
 他にやることは無いのか?
 そういう連中の脳髄に悪意を刻み込み、物語で世界転覆など狙っているのだから私も相当だが、とはいえやりがいのある仕事であるのは確かだ。 今まで世界は力だけで動かされてきた。
 まさか、私にそのようなやり方など出来る筈も無いからな。実際に世界を動かせる力を手にしたとしても無理だ。上手く行く気がしない。
 そんな楽な道があるとは思えない。
 思うつもりもない。私は暇ではないのだ。
 ならば、私にはそういう方法で実現させるしか道筋はない。やるしかないからやるだけでやる気は塵程も無いが、それでもやるしかない。
 正直、面倒極まりない 
 文化や思想、人間性などというのは暴力だけで決まるものだ。髪を切って文化を押しつけ名前を書き換え自分達を「有料人種」だと今の時代でも思い込んだ挙げ句、それらを「獣から人間に戻し誇りを取り戻させてやったのだ」と言い出すのだから手に負えない。
 私か? 無論ただのゴミ掃除だ。
 見栄えが悪いからな。減らした方がいい。
 少なくともゴミが増える社会はよろしくない。自発的にゴミを無くし、使える物だけを有効活用出来るようにするべきだ。そうじゃないか?
 能力差は関係ない。何であれ、やろうとすればそれなりに役に立つものだ。大小の差はあれど、ゼロというのは有り得ないだろう。
 私じゃあるまいし、そうあってたまるか。
 いや私の場合実利に繋がらないだけで(それが一番の問題とも言えるが)この世界を綺麗にする為の活動という点では、私ほどの貢献者は他にはいまい。むしろ、周囲がゴミばかり増やしているのを必死に単独で綺麗にする為戦っているのだ。 文句を言われる覚えはない。
 むしろ、感謝しろ。資源を無駄遣いするしか能のない私達を、綺麗さっぱり消滅させる為に日々頑張っていただいて感謝感激ですとな。
 無論、その財産は差し押さえだ。
 活用出来ないのだから、それで問題あるまい。いやこの場合「活用しようとしない」と言うべきだろう。所詮己の為だけにしか使えない連中だ。 世界を暇潰しで覆し、ついでにゴミ掃除を行う私とは雲泥の差だと言える。少しは私を見習ったらどうなのだ。まさか学習能力が無いのか?
 無いかもしれない。
 あるとは思えないしな。
 だとしたら、読者に期待すべくもあるまい。  実際読者は役に立たない。何を伝えた所ですぐ忘れ、適当に流され行動もしない。物語で影響を与え世界が動いた実例は未だかつて無い。
 それを、人類史至上初めて行うのだ。
 やりがいにならない訳がない。それに私が人間だという証拠は無い、筈だ多分。後から人間では無かったと言われた際に「騙された金を寄越せ」とか言われても困るので「非人間」や「化け物」を自認している私だが、そういう意味では人間の問題など私が負う義務はあるまい。
 裁判を起こしたければ起こしてもいいぞ。
 
 私に口先で勝てる奴がいれば、だがな!
 
 残念だが無理な相談だ。何よりそういう発想を持つ奴は必ずと言って良い程「持つ側」の存在である事が多い。私に勝てる訳がないだろう。
 分を弁えろ、相手は「私」だぞ。
 相手がカエサルでも単独なら圧勝出来る。
 逆に集団相手の話術は持ち合わせないのだが、まあ適材適所だ。洗脳、説得したい奴がいるなら私に相談しろ。相手が神仏でも悪魔でも宇宙人ですらも請け負おう。
 相手が対話に応じれば、だが。
 それに、あくまでもやりがいにすぎないので、別に実現するかは後任せでもいい。目的はあくまでも「金」だ。人類に対する影響はついでだ。
 ついでの暇潰しに人類を敵に回すだけだ。
 寄り道というか、料理の最中にテレビを眺めるようなものだ。人類に悪意を刻み込み、悪の自認を強制的に持たせて駄目なら廃人に追い込むなど私にとってはその程度の余興だ。どうせなら人類に限らず全宇宙に羽ばたきたいしな。
 なに、知能があり言語があれば問題ない。
 全て、書き換えてみせよう。その結果どうなるかは関係ない。強いて言えば今までよりはマシになるのだから、やはり感謝されるべきだろう。
 まさしく最悪の発想の気もするが、知るか。
 私の貯金残高には何の関係も無い。つまりは、私に何か関係がある噺ではあるまい。地球の裏側で飢えて苦しむ奴にどう思えというのだ?
 そいつらを助けて何かくれるのか?
 博愛精神は結構だが、それが何だ。己自身すら救えないのでは本末転倒だろう。ある意味他者への奉仕で現実を誤魔化しているに過ぎない。
 そこまで私は暇ではない。
 何度も言うが「仕事」で忙しい。
 貴様等読者と一緒にするな。迷惑だ。
 私は「僻地」と呼ぶのに相応しい発展途上惑星に来ていた。名前は「コスモス」と呼ばれる人間至上主義者の植民地、つまり奴隷特許区だ。
 奴隷特許区という言葉は辞書には載っていないが、実質存在している。現にこの惑星を歩くだけで首輪をされたアンドロイド達の行き交う風景が眺められるからだ。その名の通り「奴隷を保有し運用する権利のある土地」という意味合いらしい・・・・・・そんな土地に赴いてまでわざわざ支配者として君臨する「人間様」を殺すというのだから、我ながら面倒な労働だ。
 まあいい。所詮どちらも同じだ。
 私の味方をしてくれる訳でもない、他人だ。
 仕事ではなく労働だと言うなら全ては金次第というのが私の在り方だ。仕事は採算を度外視する状況が多いものだが、労働は違う。
 とどのつまり、小銭を稼ぐ手段に過ぎない。
 なので高度に発展した科学技術による管理体制の全てが、私には色褪せたネタに見えた。どうもこういうのは在り来たり過ぎる。つまらない。
 端的に言えば面白味に欠けるのだ。
 第一、精神状態を機械で計測しつつ首輪をはめアンドロイド共を支配下において、だから何だ? その力をもっとマシな方向に使えよ。
 争いたければ争わせればいい。どう争おうが、結果的に国益になるよう反映させればいいだけだ・・・・・・むしろ、管理しない地区を増やせばいい。 そこで殺し合いでもさせればいいのだ。
 支配も管理も当人の思い込みに過ぎない。事実世界を完全に管理、運営などしてきた奴がいるという噺は聞いた試しがない。もしそれが本当なら我々は日々の労働環境に不満が出る事すら無い筈ではないか。
 街には巨大なレールが敷かれており、その上を列車らしき物が通過している。どうもあれは新型アンドロイドの輸送や市民の移動に使われているらしく、幅数百メートルはありそうなレールを、大小様々な乗り物が行き交っているようだ。
 何とも凄まじい光景だ。 
 国力を示す意味合いもあるのだろう。ここまで大きく輸送するより、転送装置でも設置した方がコストは安い。とはいえ便利であればある程使うエネルギーは多いのが科学の基本なので、大勢のアンドロイドの輸送という一点に限ればこの方が効率が良いのかもしれない。
 だが、輸送されるアンドロイドは戦闘用だ。
 各地から選抜された傭兵や専門職の連中だけが中央に移送されるのであって、有用性の低い奴は雑多に仕分けされ原始的な生活を送る。結果的に生活への不満からゲリラ活動をしたりもするし、やっていることは人間と何も変わらない。
 意図的に数を増やせるかという違いだ。
 その違いが大きかったのだろう。不要な人材は捨てればいいという発想が使えるからだ。人間であればそうも行くまい。代わりの存在をいきなり製造するなど不可能だからな。だがアンドロイドに関して言えば、それが無いのだ。
 新しく作られた奴にデータを流し込めばいい。 それだけで、いや勿論それなりの資源は必要になるのだが、無から有を作れるのがアンドロイドの利点だ。少なくとも人間はそう思っている。
 故に、この圧倒的な速度での発展がある。
 都市中央部の発展はめざましく、アンドロイド奴隷共がいる点を除けば先進国(まあ先進国とは大勢から搾取した権力者がいるからそう呼ばれるのであって、ここも大差はないが)の科学水準と何ら変わらない。
 数十年前までここは更地だったらしいが、その事実が霞む程の発展の早さだ。人類史を省みればわかるが「奴隷制度」というのは建築などの単純労働に振り分けられる配分が大きく、ドローンと違って「自分で考えられる」アンドロイド奴隷の誕生はその早さを凄まじく押し進めた。
 奴隷として扱われるアンドロイドは笑顔だ。
 人間と同じ諦めの笑顔。要するに彼らが共通し思うのは「前よりは良くなった」という言い訳が基軸となっているのだ。ここも確かに人間の支配が及ぶ前には追い出されたアンドロイド達が貧困に喘ぎながら住む更地だった。諦められた土地と呼ばれ今日明日を生きるだけの状態だった。
 しかし、だから何だ? 前よりはマシになったからと言って、奴隷になる事を教授する理由にはなるまい。だが、それで諦めてしまう奴は多い。 人間でも、アンドロイドでも同じだ。
 働き蟻の法則に従って、生きているフリをしている。かといって怖いから現状を打破する方策を考えもしない。失敗を恐れるからだ。
 失敗を恐れる。何とも羨ましい発想だ。
 それだけ楽をしてきたという事だからな。私にそんな暇は無かった。存在そのものが失敗みたいな私が、今更何の失敗を気にするのだ?
 そもそも、成功を経験した事が無いしな。
 努力すれば成功するだのと、よく言えるものだ・・・・・・どれだけ楽な人生を送ってきたのだ。
 こんな町でもファーストフードは人気らしく、ハンバーガーだのピザだのが並んでいる。健康に良いとは思えないが、彼らは「これさえすれば、すぐにダイエット可能!」みたいな妄言を信じて今までの食文化を否定する程の阿呆共だ。結果、体重を落として健康を損なう事すら見通せないのだから、安易な味に走るのは当然だろう。
 最近は地方の定食屋の方が美味しいものだ。
 画一化された味など、レトルト食品で充分だ。まして金を上納しながら商品を貸して貰い、己の仕事だと思い込むなど馬鹿げている。生憎だが、持つ側の都合に合わせて生きる存在を「奴隷」と呼ぶのであれば、それは「奴隷そのもの」だ。  少なくとも対等な立場にはなるまい。
 新しく切り開く覚悟、誰かに指を指される覚悟もないくせに欲するからそうなる。分不相応ではない。単に義務を果たさず欲しがるからだ。
 それに、このような管理形態に意味など無い。何をしようが、どのような契約を結ぼうが、力で押さえつけ服従を強いようが、反抗する奴は反抗するからだ。少なくとも私なら、間違いなく首輪とやらに細工でもして何食わぬ顔で寝首を掻きに行くだろう。
 余談だが、精神鑑定にも最新式のプログラムが使われているのに私の精神状態は非常に良好だと診断された。雲一つない青空より綺麗な結果だ。 ふん、つまり、役には立たないという事だ。
 あるいはいっそ、私のように自認ある悪党共を増やせという思し召しだろうか。そうだとしたら喜ばしい限りだ。確かに、私には曇りなど無い。 無さ過ぎる気もするが、まあ構うまい。
 精神鑑定では一度も「私」が引っかからない点を鑑みるに、表面上の鑑定などその程度という事なのだろう。真に悪意を以て世界に挑んでいれば精神を動揺させる必要がないからだ。
 何せ、それが「当たり前」なのだ。
 精神に影響を与えようがない。自明の理だ。
 私は仕事ついでに世界を覆し、生物淘汰が必要だと考え人類の数を減らしておくべきだと考えている。読者の精神を書き換えてでもだ。
 だが、掃除の度に一大決心をする奴などいない・・・・・・疲れるからな。それこそ適当でいい。
 単に綺麗好きなだけだからな。
 読者の脳髄に悪意を刻み込み、悪を自認させて善なる全てを否定する。この世全ての善を滅ぼし悪だけが真実だと知らしめるのだ。
 だが、それは所詮「ついで」だ。
 本命はあくまでも金を稼ぐ事だからな。私には直接関係がある訳でもない。強いて言えば生活の邪魔だから気にしているだけだ。
 ただの、それだけだ。他に理由はない。
 まあ、そういう人間が増えた方が面白い物語も増えるかもしれないので、人類全体の価値向上に努めているとも言える。我ながら社会貢献に率先して務める真摯な社会人という訳だ。そう誉めずともいい。既に理解している。
 仕事とは本来「金を稼ぐ」行いから最も遠いと言えなくもないので矛盾した考えでもある。だがその矛盾を成立させるのも仕事というものだ。
 しかし、宇宙規模で生息域を増やしても生態の一つも変えられないというのだから、人間というのは頭が悪いとしか言いようがない。科学技術の一割でも「教育」に使っていれば結果は違ったのだろう。無論、人間の考える教育など国家規範に沿った定型文に過ぎない。つまり、人間は一度として「教育」など行った歴史は無いのだ。
 皆が皆、自己学習で何とかしてきただけ。
 そういう労力を払う輩に手が差し伸べられた事など、歴史上一度もあるまい。大抵無駄な労力を強いられ、意味もなく遠回りをするものだ。
 虐げられた天才、など珍しくもない。
 ここも同じだ。
 過去も同じだ。
 未来も同じだ。
 何一つ変わらない。人間社会の事実だ。
 脳に刻んで記憶しろ。それが人間の正体だ。
 進歩したと思ったか? 残念、その程度だ。
 あまり気にするな、そこまでの価値は無い。
 あると思うなら是正しろ。恥ずかしいぞ。
 人の魂に輝きが宿るとして、その魂はとうの昔に置き去りになった。ならば精々この私の為に、何人犠牲にしてでも価値を寄越せ。
 出来なければ死ね。
 生きる資格は無い。
 こういう思想を持つ私にとって、人間側だとかアンドロイド擁護だとかいう感情論は何の価値も持たない。それが金になるのか?
 いや、いい。汚物を触る趣味は無い。
 要は私の「得」になるかだ。更に言えば作品のネタになるのが望ましい。その為であれば保身に問題が無い限り、人間でもアンドロイドでも殺してやろう。無論、金次第だが。その結果あの世で裁判にかけられると人は言うが、そもそも権威に身を任せて他者を裁くのは暴力による押しつけの罪ではないのか?
 自分達だけは例外、というのは人間と同じだ。 要するに余所の権力者が身勝手な倫理観を口にしているだけではないか。知るか馬鹿馬鹿しい。私は暇ではないと、一体何度言えばわかるのか。 罪人を処刑する裁判官は殺人者ではない。
 そのような妄想を、良く言えたものだ。あの世には阿呆しかいないのか? 何であれ、法や倫理など定める側の勝手であって、正しさなど無い。 故に、逆に殺されても文句は言えないのだ。
 まあどんな奴が出るかわからないが、傲慢そうなら文句は言えないよな? 楽しみだ。偉そうな奴は殺されても文句は言えないからな。
 まあ、あの世に文化があるのかは知らないが。 何もない廃墟では生活のしようがない。まして死んでからの方が長く活動する必要があるなら、なおのこと口出しさせて貰うとしよう。具体的に言うと、まずは温泉だな。あの世と言えば温泉。そして温泉と言えば焼き肉とマッサージと漫画だ・・・・・・任せろ、一大施設を作ってみせる。
 無論、金は貰うがな。地獄の鬼でもそこに入る為なら脱獄すら厭わない程の、客という客が中毒症状のように求める楽園を作ってみせる!
 その結果の為なら多少の犠牲は安いものだ。
 安心しろ。あの世にどんな権威がいるのか知らないが、そいつ等を軒並み黙らせる事が出来る程大きな事業にするとも。面白そうだからな。
 このコスモスと呼ばれている植民地、惑星全体での唱う思想は「安全で自由な人間社会の構築」というつまらないお題目なのだそうだ。ちなみにアンドロイド達に危険な労働を振り分けてからというもの人間側の政治家への支持は上がった。
 余裕が出来れば後から文句を言うのだろう。  逆に余裕の無い状況、危機的状況下でこそ人の本質は計られる。安全と自由は所詮誰かの安全と自由を食い潰しているから出来上がる権利だと、人間は根底で理解しているのだ。 
 だからこそ、権利は後から主張する。
 義務は果たさない。文句だけは垂れる。
 後から綺麗事を垂れるのはその為だ。要するに甘ったれたままでも人間は「幸運」さえあれば、それだけで生きていける。生きてしまえる社会だからこそ、そういう発想が生まれてしまう。運に見放されれば幸運が当たり前だと口にする。
 まったく、仕事ばかりして遊びの欠片も無い私が徒労に疲れる一方でこれだ。理不尽ここに極まれりと考えるのにすら疲れてきた。
 しかし「調和」を意味する言葉を使うとは洒落ている。調和とは、一部に濁りを押しつける事で成し得るのだと、そう言いたいのだろうか。
 あるいは、無意識なのか。
 無意識で理解しているくせに目を逸らし、現実逃避をしながら綺麗事に耽るのでは麻薬患者より質が悪いがな・・・・・・情けない連中だ。
 どれも皆、一様に同じ顔をしている。
 アンドロイドも人間も同じだ。機械のように、己の意志で考えている顔に見えない。圧制を敷き支配者を気取る連中も、怯えながら誤魔化しつつ生きているフリをするアンドロイドも同じ顔だ。誰も彼もが、目を見据えていない。
 
 一体、お前達はどこを見ているんだ?
 
 私は無論勝ちだけを見ている。路傍に転がったかつての敗北や失敗など覚えてられるか。それに必要な時に使う書類を散らかす趣味は無い。
 怪物属性にはそういうのが多いがな。
 奴等には「記憶」という概念がないのか? 
 かもしれない。でなければ掘り返すまい。
 毎度掘り返さなければ思い出せないというのは重傷だと言える。私か? 私は掘り返しても無い物は無い。生憎だが徒労が積もるだけだ。
 必要ない記憶はすぐ捨てる。
 それが「私」だ。覚えていると思うな。
 金が絡めば別だが、流石に、全てを覚えるなど不可能だろう。一体何度そういう無駄な手間暇を繰り返したと思っている。覚えてられるか!
 それに、履歴は改竄するものだ。 
 私はいつもしている。表層しか見ない人間共に裏側を語るのは物語だけで充分だ。金にならないしな。語って欲しければ金を払え。
 しかし、差別的状況とは悪くない。要するに、富が集中するという事だからな・・・・・・圧制者の富を奪うのは倫理的に問題ないらしいし、であれば堂々と殺して奪えるというものだ。普段から大儀など気にした事は無いが、些細な問題だろう。
 無くても作るからな。
 私には容易な行いだ。
 さて、ここにいる連中にとってアンドロイドは「人間」ではない。なので法律は適用されず幾ら殺す、いや「消耗」しても構わない訳だ。
 アンドロイド優先の惑星も、同じだろう。
 憲法や法律で全ての人間の価値は等しく保証をされるが、その枠内に入るかは圧制者次第なのが人間社会の歴史だ。人類史とは、「人間だと数えても良い奴」と「人間ではないと考えて良い奴」に仕分けして調子良く「倫理観」や「道徳」だのを建前とし、要領良く運営されてきた概念だ。
 法と憲法、信仰の元に全ては平等だ。
 ただし、平等にしていいかは運次第。
 子供の屁理屈にも劣るその発想こそ文明開化の本質であり、人間の真実だ。結局の所、宣誓など何の意味もない遊びに過ぎない。誓いというのは都合良く解釈し、誤魔化す為だけにある。他には使い道など存在せず、ただのそれだけだ。
 自由の国が自由な奴隷売買で建国されたという事実から目を背け、民衆の生活がこれ以下は無い程に苦しみに満ちている中で「民衆の為の政治」を唱い「あの対立候補は民衆の為にならない」と情報操作をする時点でお察しだ。かくいう大昔に私が住んでいた国など「切り捨て御免」とかいう殺人行為を堂々と権力で肯定しながら、その口で「天下太平」を叫び出す狂った国だった。
 平和や自由とは、そういうものだ。
 働いた金で店の商品を買わされ、つまり労働の対価として支払いを命じられるという、頭の悪い子供の屁理屈が慢性化していた。不思議な事に、労働を強いられる割には労働の対価は働きもせず偉そうに命令しているだけの、運良く立場を手に入れただけのゴミ屑が大半を手に入れる。これは電気文明の先駆けの男が率先して搾取を肯定したからだろう。
 何であれ、先駆けに続くものだからな。
 おかげでいい迷惑だ。頭が粗末なのだろう。
 何せ、未来の子孫への迷惑も考えられないのだからな。その場その場の利益しか考えない脳味噌など、電卓とどこが違うというのだ?
 これからは電卓王とでも呼んでやるか。
 おい、電卓王! 交流に負けたらしいな!
 いい加減、周囲の迷惑を考えたらどうだ?
 なんてな。あの世があるなら取材したいものだ・・・・・・貴殿のおかげで人類社会は奴隷だらけだが何か責任を感じたりするのか? とな。
 こんな状況でも同胞を売るアンドロイドはいるらしく、敵対勢力を排除出来るなら奴隷を増やすのも「人間性」の特徴らしい。これだから心などロクでもないのだ。そんなものを欲しがるとは、悪魔って輩は余程困窮しているのだろうか?
 かもしれない。これでは悪魔顔負けだ。
 ちなみに私にとって「主従」というのは利益の有無で適当に合わせるものだ。主が利益になるのであれば主になり、従者が利益になるのであれば喜んで仕えよう。そして、作家である私にとって利益とは即ち「物語の売り上げ」即ち「金」だ。 厳密に言えば両方かもしれない。
 後は「健康」とか欲しい。かなり眼鏡で相当な目にあっても死なないどころかすぐ復活するが、しかしその一方で足を取られる事も多い。
 大抵どんな目に遭おうがとりあえず進むのだが足を取られないに越した事はない。いやそもそも全てにおいて足を取られるのがどうかしている。 何故だ。
 悪人差別、断固反対!
 思うに、悪人を健やかに育てる環境があるべきなのだ。悪の個性を尊重し、自認ある悪意で生物淘汰を促進し、善を廃して健全さを育む。
 これ以上自然な社会があるだろうか?
 他にはあるまい。やはり悪こそ至上。
 善人に縋るからこの様なのだ。反省しろ!
 
 理不尽な存在に真っ当に挑むのは、甘えだ。  
 法や倫理など守られないのが基本であり、その相手が使役する基本概念で対抗するなど愚の骨頂だと言える。綺麗事ばかり気にして手段を選ばず前に進もうとしないくせに、「正当な方法でやるからこそ意味がある」などとそれで変えられない現実から目を背け続け、それだけで終わる。
 けれど金や立場だけは持っている。
 楽な人生で羨ましい。そうしてだらだら時間を浪費し後から後悔するだけの暇がある。私なら、暇ではないので待ってなどいられないがな。
 やるなら「戦争」だ。
 搾取する側の特徴として、「現実感の無さ」があげられる。電子紙幣の消費と同じだ。どれだけ大勢の血と涙が流れる現実を「情報」として認識しようが、その認識はゲーム内での敵に対しての認識であって、自認は当たり前だが存在しない。 痛みを、恐怖を、現実を知らしめるのだ。
 実際に圧制者の家に火炎瓶でも投げつけた方が「正しいやり方」とやらに拘って罪悪感を感じず何かを変えたいと甘ったれるよりは、余程世界を大きく変えられるだろう。とどのつまり現実感の欠如こそ連中の特性だからな。
 その特性を剥げばいい。
 この惑星もそうだ。実際にアンドロイドに痛みを与えられれば、自分達が虐げる権利のある玩具だと思う事など出来まい。そういう意味では今回の依頼人は「命を賭ける覚悟」があるらしい。
 アンドロイドに自由意志を与えない。
 これはアンドロイドに限らずあらゆる生命体の原則だろう。己よりも劣っているとされる何かに対して支配者を気取る愚か者が思うのは、もし、彼らが「力の使い道」を覚えてしまったらという「恐怖」から来るものだからだ。
 その点は、どちらが支配しているか微妙だ。
 恐怖に支配され怯えながら鞭を振るうか、暴力に支配され命を賭けずにただ生きる安寧を失うという恐怖に駆られるか、それだけの違いだ。
 いずれにせよ「主」は「恐怖」だろう。
 誰かを支配しなければならないという義務感は恐怖から来るものだ。誰かを支配せずとも己自身を支配さえすれば、動くに値しない。
 既に思いのままだ。
 そうでなくとも、そうする。それだけだ。
 ふん、それに奴隷云々は表立って強制する時点で二流だと言えよう。コロンブスは目的には辿り着いたが、その後を疎かにしてしまった。
 奴隷制など使うまでもないのだ。
 極々少数でいい。インフラを整え労働を整備し教育体制を形にし発展を支える。その上で一部の利益を「手数料」として貰うだけでいいのだ。
 一時的な大金など、知れた額だしな。
 恩を押しつけて恒久的に搾取する方が儲かるに決まっているではないか! 銀行の手数料と同じで「奪われている」事に気付かないようにしろ。 それが何千、何万、何億となればどうなる?
 無論、大儲けだ! 笑いが止まる事は無い。
 仮に新大陸から奪うのであれば税収制度を都合良く改訂し、最初に飴を与えて喜んで労働をさせそれなりに発展してからが本番だ。
 手間はかかるが、これなら法にも触れまい。
 当人達にも「奪われている」という感覚すらも無いのだから反乱など起きよう筈もなく、むしろ社会的な体面は綺麗に整えられるだろう。
 そして、気が付いた時にはもう遅い。
 必要悪として社会基盤に深く食い込ませておくだけでいい。後から反対が起こる事もこのやり方なら無いのだが、起きたとしても問題は無い。
 何せ、受け入れた歯車は抜けないものだ。
 嫌々押しつけた歯車では代わりの役割を周囲が果たそうとするが、散々受け入れて甘い汁を吸い今まで放っておいた物の代わりなどある筈もない・・・・・・・・・・・・それを、全て計算ずくでやる。
 しかも、利益は恒久的に取れるのだ。
 実際に奴隷として扱おうが、素直に向こうからこちらに尽くしてくれるだろう。コロンブスの奴のせいで新大陸が無茶苦茶だ、と乗っかりながら綺麗事だけは吠えてプロパガンダ映画で誤魔化し自分達はさも「最初から綺麗でした」みたいな面をされて責任を集約される事も無かったのだ。
 実際、何故コロンブスの責任なんだ?
 まさかコロンブス一人で大虐殺を行えたとでも言いたいのだろうか。生憎だが、それを肯定して調子良く乗っかったのは「支持した市民」だ。
 あるいは「貴族」だろうか。
 不思議な事に上に立つ者としての責任を果たさないからこそ尊い一族だと言えるらしい。彼らが何かを変えた歴史など、聞いた事も無いしな。
 あれこれと口にして、ただそれだけだ。
 力ある存在の責務があるかのように唱うが義務を果たした事実は無い。第一、一人でも今の世界で「力のある存在が義務を果たした」なら今よりマシな世界になっている筈だ。
 少なくとも、労働問題は解決している。
 何であれ「世界の上に立つ」と自負している奴がいるならば、この世界の様では笑いを狙う為にしているとしか思えない噺だ。今の世界の支配者気取りで振る舞うのであれば、その支配者気取りの結果としてこの様という訳だからな。
 誇れる部分など、どこにもない。
 あるものか馬鹿馬鹿しい。
 寝言は寝て言え。保守派の政治家は特にな。
 世界がこの様だというのに何を保守するつもりなのかは明白だ。自分達の利益、それをひたすら無駄に残せるよう務めているに過ぎない。生活もままならない国家の状態を保守するとはそういう意味合いでしか有り得まい。
 何を誇らしげに語っているのだ、馬鹿が。
 自分達の栄光を夢見る暇があるならまず現実を見据えろという噺だ。政治家連中にありがちだが「己の成功」や「政治家になってからの展望」を語りたがる阿呆が多過ぎる。生憎貴様等の増長を支える為に、国の税金があるのではない。
 その程度も分からないのか、愚か者が!
 やるなら命を賭けろ。生き残れるつもりで国政に携わるんじゃない。まして己の保身だと?
 誰かに認められたいからやる時点で失格だ。
 全てを敵に回してでもマシな方向へ導く為に、その心臓を捧げるのだ。でなければ政治家なんぞ人気取りの為のお飾りではないか。作家気取りの連中もそうだが、人気が欲しいなら歌でも歌っていろ! 政治や執筆に関わるな。
 仕事の邪魔だ。迷惑極まりない。
 遊びなら余所でやれ、余所で。
 子供が仕事に口を出すんじゃない。
 そういう奴は多い。仕事が何であるかも知らぬまま生涯を終えるのだ、情けない。年を取るだけで悟りが開ければ誰も苦労しないだろうに。
 その程度の事すら分からないのだ。
 いや、分かろうとするのを面倒がる。
 真剣に生きる事を考え抜くのが「恥ずかしい」と思われる世界とは、貴様等が思っている以上に狂っているのだと何故気付かない?
 精神性を疑うぞ。
 これも、私に言われたらお終いだろうがな。
 つまり貴様等は既に終わっているという事だ。 私が保証する。私から見ても大概だぞ。
 楽観主義者の幸福論よりも酷い。権力では幸福を掴めないとかほざく暇があるなら、その権力を握って世界を変えてみせろという噺だ。
 哲学なんて、くそくらえだ。
 その舌で勝利の味わいを知ろうともせずに世界の理を知った気になられた所で、説得力があるとでも思うのか? 鏡を見ろ馬鹿共が。
 金で幸福は得られない。
 愛が幸福を得るものだ。
 そんな妄言で現実が罷り通ると思っている時点で、「甘ったれ」の発想ではないか・・・・・・・・・・・・世界はそこまで優しくない。
 汚らしい綺麗事で、世界は変わらない。
 善なる全てこそ所詮まやかし、妄想の類だ。
 何せこの世界には「悪」しか無い。悪だけしか存在しない世界で善を語るのは、単に今の世界は都合が悪いからだ。誰だって善などという甘えで楽して生きていける世界の方が、労力が少なくて済むからな。
 まして、理不尽に挑むのも恐怖なのだろう。
 だから、汚ならしい綺麗事に耽溺したがるのだ・・・・・・我々は正しい在り方を貫いている。ならばそれに報酬が貰えなければ世界の側のせいだ。
 そして訴えるだけで行動すらしない。
 善良なのだから報われるべきだ、などとよくもまあ言えたものだ。善良で正義で、だから何だ。所詮それは身勝手な規範に過ぎない概念だ。
 こうして成果を出し続けている私が、地道にも仕事を進めているというのに、だ。情けない奴等だとは思っていたが、流石に図々し過ぎる。

 だからこそ、人間は数を減らすべきなのだ。
 
 これはアンドロイドも同じだ。さしたる仕事がある訳でもない「生きているだけ」の奴が多くても社会が回るのは、その余分の労力を容認して、そのヘタを誰かに押しつけているからだ。しかし無駄な人材など世界に必要ない。
 有能無能ではない。当人の意志薄弱だ。
 何も志さずに、恵まれたから生きていられるという「だけ」の生物など邪魔なだけだ。何一つとして成し遂げる気が無いなら生まれてくるな。
 いつからこの世界は保育所になったのだ。
 実際、世界の支配者気取りの輩に限って要介護な奴が多い。当人は何も成し遂げようとしないが恵まれた幸運が彼らを助けてしまうのだ。
 むしろ、世界は人間を甘やかし過ぎた。
 その結果がこれだ。情けない。
 せめて今回の依頼人がそういう屑とは違う点を魅せてくれればいいのだがな。在り来たりな個性では、取材にすらなるまい。
 ただ有能な奴など面白くもない。
 優秀さを見たいならパソコンでも眺めていればいいではないか。私は機械ではなく文房具で執筆を行うので詳しい訳ではないが、あれらも使い手の腕が無ければ活用は難しいらしい。作家なら、作品データを奪われる事もあるそうだ。
 その点、私は問題ない。
 何せオフラインだ。しかもデータの管理など、私自身ですら全て把握していない。量から考えて出来る筈もあるまい。一体何百万文字書いたのだと思っている。
 ある意味最高の警備体制だ。崩しようがない。 少なくとも、私以外に最悪の思想で物語を書く奴がいるとは思えないしな。人間らしく生きようとすればする程、その思想は化け物から離れる。 これは怪物連中でも同じだ。
 人間らしくというより「生命の在り方に沿う」時点で私の思想からは遠く離れてしまう。故に、死者であっても最悪の物語は再現不可能であり、私以外にこの先を書ける奴などいはしない。まあ読者は馬鹿だから他人が書いても気付かないかもしれないがな。
 案外、替わってからの方が売れたりしてな。
 誰もが物語を見ているつもりで、物語そのものなど見てはいない。それが現代社会の事実であり隠し通せない「人間性」の「正体」だと言える。 世の中そんなものだ。
 その程度の中を、勝ち取るしかない。
 アテはないが、それもいつもの事だ。
 正直面倒だが、他に道も無いからな。
 人間の歴史が労働で未来を誤魔化し、不安から逃れる為に不安を量産する事だとすれば、作家の歴史は物事の前提を覆し、それら全てを下らない虚構なのだと笑い飛ばす事にある。なぜならば、いつも通りの日常が見たいなら物語ではなく外を眺める方が早いからだ。
 毎日毎日、連中もよくやる。
 途中でリストラをされたらとか考えないのだ。ただただ、漫然と毎日を繰り返しているだけで、自分達は「真面目に生きている」から「報われて当然だ」と考えている。生憎だがそうではない。貴様等は現実逃避を繰り返しているだけだ。
 遊び呆けているのと、何ら変わらない。
 実際、そういう奴を多く見てきた。当人は立派なつもりらしいが、その口から出る台詞の面白味に欠けること。当たり前だが彼らは右から左へと出来る事だけを機械の様に繰り返してきただけで何かを成し遂げた事など一度も無い。
 己の才能や幸運の枠内だけで生きている。いや生き抜けていると自惚れているだけで、彼らには己の意志による行いなど欠片も存在しない。
 文字通り「何も無い」から語れる事柄も無い。 だから知った風な口を利いて、あれこれ口出しするしか能が無く、その有り難い助言を役立たず扱いしようものなら大いに義憤する。薄っぺらな己自身を暴かれるに等しいからだ。けれどそれを認める度量も当然だが無い。
 実に、小さい。
 見るに耐えないとはこの事だ。現代社会では、そういう輩こそが上に立つ。いや立っているのだと言い張り教訓もどきを押しつけてくる。それは親であり教師であり上司であり政治家であり国家そのものでもある。無論、彼らにその器など有る筈もないので、適当な自己満足に落ちぶれる。
 要するに、分不相応なのだ。 
 人間の素晴らしさは後生へ後を繋げる事だとかほざく愚か者がいるが、馬鹿を言うな。現実から目を逸らすのは勝手だが、押しつけるんじゃない・・・・・・いいか、そういう後生に託すべき重要事項をゴミのように捨て、己のちっぽけな誇りもどきを輝かしく金の墓に入れたがる。
 それが人間だ。美化するんじゃない。
 間違って素晴らしい物だと思われたらどうする・・・・・・・・・・・・それで人間を履き違えられて良いのであれば、最初から後生に繋ぐ意義があるまい。 元より無いも同然の意義だがな。
 意義か・・・・・・こういう徒労を繰り返すからこそ得られる何かがあるみたいな台詞を言われるが、しかしとてもではないが己の物語を読み返す気が無い私にとっては結局無縁な発想ではある。何せ己の辿った過程、ではない。何であれ業という物とは引きずった過程を眺める物ではなく、それを胸に抱え常に直視するものだ。
 読み返すまでもなく、常に見ている。
 少なくとも、今に至るまで語り尽くしたとまでは言わないが、それなりに語った物語の全ては、当たり前だが私の内に常にある概念だ。
 悪意によって語られた全ては常日頃から考える私の「基本思想」であり「前提」だ。誰であれ、知り尽くした教科書を読んで楽しみはすまい。
 たまに、調律の為に行う、程度だろう。
 我が内には元より一切の罪悪感など無い。あるとすれば無限の暗闇であり、些末な過去や受けた仕打ちなど、その暗闇の養分でしかない。
 なので、例えどれだけ語り尽くそうが、私にはほんの一割の悪意にも満たないのだ。何億何兆と書いたところで、我が悪意の再現には程遠い。
 何せ、文字通り「無限の悪意」だからな。
 書き続けるには丁度良いので、やりがいとするには楽しいものだ。その結果多くの読者の思想が悪意で切り刻まれる事になるが、構うまいよ。
 この程度の悪意に耐えられないのが悪い。
 全ての生命体は無限の悪意如きどうとでもするべきなのだ。そもそも私に言わせれば悪で無い物など存在しない。文字通り全てが「悪」だ。
 生きていようが死んでいようが悪だ。
 殺していない存在など有り得ない。
 存在すれば等しく大量殺戮者だ。
 意志があればそれは迫害だ。他の意志を殺す事こそが「己の意志を通す」行いだからな。なので自我があれば皆、コロンブスと何ら変わらない。 同じだ。差異など欠片も存在しない。
 高尚だと、そう思いたがる奴がいるだけだ。
 悪だ悪だ悪だ。悪でないと語る悪がいて、善が尊いと語る悪がある。悪を滅ぼすべきと逃避する悪が叫び、正義で悪を滅するべきと叫ぶ暴力的な悪がいるだけだ。皆、一様に悪であり、悪でない存在など有り得ない相談だ。
 それこそ、甘えにも程がある。
 善なる部分だけで構成されたい、悪を排除するだけでそう出来る、などと。ならば人間性の全てを捨て去る準備が必要だろう。
 それで「悟り」だと? 笑わせるな。
 そんなのは、麻薬による現実逃避と同じだ。
 生の苦しみから解脱すると言えば聞こえは良いとすら思えないが、生の苦しみ全てを否定した奴なんぞに生きる苦しみの何を語れるというのだ。 苦しみの具現の私が宣言する。
 私はあらゆる「苦しみ」と、何故か仲良くする機会が嬉しくもない事に多かったが、とにかく、苦しみから逃れる奴に苦しみを語る資格はない。 横から楽している奴に言われて納得するか?  しない。むしろ殴りたくなるだろう。いや殺したくなるが近いか。いずれにせよ、苦しみを解脱した奴が語れば嫌悪にしかなるまい。
 
 お前はもう苦しまないから言えるだけだ。

 誰もがそう思うだろう。何の説得力も無い。
 まあ私は説得力などあればある程むしろ敗北に繋がると考えているので、欲しくもない。だが、これから先、仮に成功や勝利を積み重ねられたとしても、苦しみが無くなるとも思えない。
 嫌な噺だ。楽が出来るに越した事はないのだが・・・・・・何故こうも無駄に徒労だけが積もるのか。 嬉しくもない。私は楽がしたいのだがな。
 望む物程手に入らないとは我ながら良く言ったものだ。しかし、その一方で至極どうでもいい物だけは手に入る。何の役にも立たないのにだ。
 しなくともいい経験、敗北、失敗の数々。
 恐らくは人類史至上初だろう。
 全てにおいて失敗するなど、他におるまい。  生きる事が既に失敗途中みたいなものだ。私に上手く運べた事柄など、無い。必ず失敗をして、絶対に報われず、それが今に至っている。
 成功や勝利など、言葉だけの概念だ。
 今更それらを得たとしても、私はやはりその先を疑うだろう。何があるか分かったものじゃないからな・・・・・・で、その後には何があるんだ?
 騙し討ちか? それはもう飽きた。
 失墜でもするか? するまでもないぞ。
 奪いにかかるか? ならば斬り捨てるまでだ。 いずれにせよ私には日常と大差ないのは確かな噺だ。なので、正直興味が沸かない。既に知っている事を後から見返すなど、売れてからでいい。 何回かやったが、紙媒体でないと疲れる。
 流石は私だと思いながら読み返しつつも、己の思考を追うより筆を動かした方が早いしな。私の執筆速度は書き終わった思考を読むより早い。
 文章化するより遙かに早いのだ。
 思考だけが先回りする。毎日毎日人間を否定し世界に刃を向け物語を肯定するような繰り返しをしているのだから、当たり前だ。物語の才覚など盗作から始めるくらい無かったが、誰であれ異国での生活が何十年も続けば、重力が数倍の生活が何十年も続けば、悪意だけが全てと世界を直視し善なる全てを否定する在り方で何十年も生き続ければ、誰にでも出来る些末事だ。
 環境への適応は、何であれ持つ能力だろう。
 私の場合、それが偶々悪意だけの世界、全てが暗闇に包まれ未来を否定し、絶望と理不尽だけが存在すると理解しながら進んだだけだ。何一つとして珍しくもない。まあ、私の場合は生まれる前からそうだったかもしれないが。
 そう考えると才能はあったのか?
 非人間の才能など、金にはならないがな。
 それは私が保証する。得な事など何もない!
 いや、心がなくて本当に良かったと感謝をするだけの「利益」はあったか。無駄に疲れるだけの事柄で人生を台無しにする程暇人ではない。
 それだけでも収穫と思っておこう。
 思うだけならタダだ。金はかからない。
 善など信じれば身の破滅だ。おぞましい。破滅するまでもない気もするが、しかし汚らしい倫理を押しつけられるよりはマシだろう。
 私は「仕事」で忙しいからな。
 遊びは子供同士にやらせればいい。
 今回も同じだ。アンドロイドや人間の都合など私の生活には関係がない。作者取材ついでに殺すだけだ。労働に大層な考えは必要あるまい。
 アンドロイド達は基本「平等な存在」である事を主張したがるのだが、やはり社会を形成するにあたって「特別扱い」を受ける奴もいるらしく、今回の依頼人はアンドロイド達の中でもかなりの有名人なのだそうだ。
 ちなみに、私は「特別扱い」という言葉を聞き真っ先に「特別に敵視される」事だと思ったが、そうではないらしい。
 得点の高い標的、という意味ではないのか。
 しかし、目をつけられて良い事があるとは思えない。何であれ、目をつけられる前に終わらせるのが犯罪の準備、もとい仕事の心得だろう。
 準備ばかりでも正直、困るがな。
 爆薬ばかり蓄えて売れもしない在庫を抱えるのはこりごりだ。第一、準備とは基本役に立たない物であることを、私は誰よりも良く知っている。 するだけして無駄打ちなど、珍しくもない。  強いて言えば金に関する心構えだけは無駄にはならないだろう。稼げれば、というのも違って、金という概念がある限り無駄にはならない。
 私が言うんだ間違いない。
 思うに、金に本来以外の用途を求めるから人間は失敗するのではないだろうか。金とは所詮手段を動かす為の資源であり、それだけだ。使い道がわからなければ何の意味も無い。私の場合使い道など仕事の宣伝以外には正直ないのだが、しかし金の楽しみ方は理解出来る。
 共感はしないが、無いよりはマシだ。
 金を使わずに適度に楽しむ方法を見出しているかのように振る舞っているだけで、実際には私は何一つ感じはしないのだが、人間の物真似も私の仕事の内みたいなものだ。楽しくも何ともないが充足している、という体にしておこう。
 元よりそれが、私の在り方だしな。
 幸福が無いなら、幸福など偽造する。
 それが「私」だ。心など型取れば良い。
 敗北や失敗しかしていない私の経験測などアテになるとは思わないが、何であれ急げばロクな事にはならず、幸運に恵まれたりしている持つ側でもなければ「ゼロからの建築作業」並の、地道な作業を延々と繰り返す必要があるものだ。
 賽の河原など、まだ優しい。
 何せ鬼を殺せばいいのだ。不意打ちで殺すか、武器を奪うか毒でも盛るか。いずれにせよ筋肉が取り柄の生き物だというなら、殺す方法はある。 目玉は鬼でも柔らかいだろうし、喉笛は叩けば砕ける筈だ。それを何の遠慮もなく砕き抉り潰す事が出来るからこそ「人間性」と呼ばれるのだ。 ならば、何一つ困難ではあるまい。
 大丈夫だ。仮に万力を持ち人間の数倍の筋力を持つとしても、血肉があるなら殺せる。要するに目玉を抉って視力を奪えば良いのだ、そうすれば痛みに苦しんでいる間に金棒を奪い、金的を潰し喉を砕き間接を砕き鼓膜を破り鼻を潰せば、助けを呼ぶ事も出来なくなる。 
 何なら、その肉を食らえばいい。 
 焼いて食えるのかは知らないが、食べれば鬼の力を得られるかもしれないぞ。不味そうだが贅沢は言ってられまい。必要であれば、やる。
 それが「私」だ。いや、私でなくとも勝つ為に何者であれ、するべきだ。そうじゃないか?
 どうやら、アンドロイドの方がその考えが多いらしい。人間を食らい人間を支配し更なる支配地を増やしていく。この惑星のように、虐げられる状況もあるにはあるが、何臆年経とうが進歩せず堕落し続ける人間よりは見所がある。これから先を考えると、人間に芽は無いだろう。
 だが、人間性を得るとは、人間と同じ事を繰り返すという事でもある。案外、アンドロイドの方から転げ落ちるかもしれない。
 自我とは失敗の素材みたいなものだ。
 ならば、そうなっても何もおかしくはあるまい・・・・・・アンドロイドは夢を見るようになったが、その結果あるのが「勝利」とは限らないのだ。  得た分だけ、後退する。
 私には珍しくもないぞ。
 それに、世間一般で「優れた社会人」だと言われている奴に限ってロクな奴はいない。政治家、銀行、警察。ざっとあげただけでもこれだ。
 信頼に足る政治家などいた試しがあるか?
 銀行が窮地の企業を支援し、立て直すか?
 警察が悪を裁き正義を行う組織だとでも?
 馬鹿馬鹿しい。政治家とは政治をいじくる事で金儲けだけを考えている愚か者であり、そもそも徒党を組まなければ政治活動も出来ない奴等に、個人の有り様で世界に挑める筈があるまい。
 銀行とは利ざやを稼ぐ為の乞食であり、彼らは適当に書面を改竄して晴れている時に傘を出し、雨が降れば即座に殺して金を奪う。学歴で選抜し数字だけを追いかける阿呆など、そんなものだ。 警察とは要するに暴力組織であり、別に民衆の生活を守る為に存在している訳ではない。もし、民衆の為に活動するつもりならまずは国外軍隊の逗留地に爆弾でも投げ込め。堂々と賭博を行い、堂々と殺人を行う軍人に手出しすら出来ないなら「治安維持」を名目に立てるんじゃない。
 いいか良く聞け・・・・・・「社会的に立派」であるという事は、要するに「何かしらの力で自分達を肯定してきた」事の裏返しだ。何故ならば現行の人類社会は「力が全て」であり、その力とは金であり暴力であり権力だ。
 そんな社会で「立派」であれば、どういう輩かなど考えるまでもあるまい。圧制者だからこそ、その社会の上に立てるのだ。
 あるいは、余程の幸運かくらいだろう。
 他に成功の条件があるとでも思う必要は無い。そんな方法は無いからだ。努力だ信念だ思想だ、情けない言い訳には力など宿らないものだ。
 それを言う間に殺してでも奪った方が早いぞ。 現に、人間社会はそれだけを肯定し、文字通り世界を動かしたのは「力」だけだ。思想や道徳、対話の輪が何かを変えた史実など存在しない。
 それこそ戯言だ。
 暴力。それが人間の全てだ。
 それ以外の何かが世界を動かしたとすれば幸運が味方したからに他ならない。第一、その程度の思想や信念で成功できるなら、私などとうの昔に大儲けしているではないか。生憎だが失敗と敗北に詳しい私からすれば、それだけは有り得ない。 
 過程における思想など、どうでもいいのだ。
 
 そんなものに力が宿るなら苦労はしない。故に必要な物は「力」であり「金」であり「幸運」だ・・・・・・その他は全て余分に過ぎない。
 だからこそ、私は苦労しているのだ。
 でなければ、とうの昔に大儲けしている。
 事の真贋など、その程度のゴミという事だ。
 成金の馬鹿共は、その浅い知見に従い「金とは信用であり、アイデアさえあれば儲けられる」と口にしているが、そのアイデアとやらは何の役に立つでもなくただその場凌ぎというか、要するに真新しい「だけ」で何かを切り開く事業にはならない。何より、人間の言う「信用」など、後から都合良く手の平返しをする為だけにあるものだ。 つまり、その過程すら貴様等には存在しない。 それらしい言葉を知った風な口で語るだけで、実際に彼らが何を成し遂げた? 株価を上げ利益を追求し、だから何だ。何にもなるまい。
 幸運に恵まれただけと気付いてすらいない。
 そういう屑を祭り上げる社会で「立派な人材」と呼ばれる時点で、今回の依頼人には注意を払わなければなるまい。異常者の疑いがある。
 まあ成功者など大抵そんなものだがな。
 正常であれば、あたかも世の中には生きるコツがあって、その成功体験を語るから皆真似すれば順当な人生を生きられる、などと恥ずかしい台詞は吐けまい。順風満帆に運んだ輩はどうしてか、自分の才能と意思の力で未来を切り開いたのだと思い込みたがる。
 未来は己の意思次第。
 そんな妄言を信じる。
 情けない限りだ。余程「理不尽」という存在を知らないまま来たのだろう。でなければ成功法則なんぞ語れる筈もないか。
 恥という概念があれば、無理な相談だ。
 それを信じる読者も相当だが、語り出す愚か者もかなりのものだ。蟻の力比べに興味は無いが、連中のおかげで私の「仕事」が邪魔されるというのだから迷惑な話ではある。第一、そんな法則が成り立てると、どうすれば信じ込めるのか。
 その屁理屈なら全人類が幸福になるぞ。
 だが、争い合う事が前提のこの世界で、成功の法則などありはしない。勝つか負けるか、それは必ず拮抗しており、当人の意思や行動など些細なものだ。実際には大きな流れを予知したつもりで川ごと海に流される事もある。
 その程度の理不尽すら知らないとはな。
 楽な人生で羨ましい。暇そうで。
 同じだ。何一つ変わらない。成功の法則なんぞを語り出す時点で恵まれているだけの豚だと自ら叫び出すに等しい汚行だと言える。確実な未来があるなら、そもそも個人の行動など、それこそが「余分」なのではないだろうか。
 要するに、そいつでなくとも可能なのだからな・・・・・・逆説的に言えば、そうなる。その成功法則に従えば(法則に従う奴を生きていると呼べるのかも疑問だ)別に、そいつでなくとも構うまい。同じ事を繰り返すだけで出来るからこそ、それを「法則」と呼ぶのだ。
 でなければ、その法則は破綻している。
 そのような成金でなければいいが、いっその事依頼人がつまらない奴なら断るのもありだろう。別に、私は労働でしているだけだからな。
 無理してアンドロイドを救う義理も無い。
 かといって、人間の味方もしない。滅ぶなら、それはそれで一つの結末だ。強いて言えば漫画やゲーム等の文化だけは置いていけ。
 人間は要らないが、文化が無くては困る。
 仮にアンドロイドが人間世界の覇権を得ても、面白い価値を生み出せないなら殺すまでだ。ゴミは処分しなければなるまい。 
 本の一冊も作れない生命など、不要だ。
 精々見せ物くらいにしかならないからな。
 だが、馬鹿面を眺めるだけではつまらないし、何より馬面を眺めているのと変わるまい。ならば道徳や倫理よりも、価値を生み出さねばな。
 それさえ出来れば、生きる価値がある。
 なければ、始末する。邪魔だからな。 
 相手が何者であれ、そこは変わらない。
 
 その男は爽やかな笑みを浮かべていた。
 
 依頼人として威厳を保とう、みたいな雰囲気はまったく無く、彼からは「自由」や「民主主義」という張りぼての綺麗さが見て取れるようだ。
 現実には、法とは「力有る者の小道具」だが。 人間は意見を交わさないしな。貴様等は立場の違う金持ちと明日すら知れぬ貧民が対等な目線で物事を語れるとでも思うのか?
 なので、油断はならなかった。私自身はまるで油断などしなかったのだが、しかし、彼は違う。私に対してまるで警戒心が存在しない。
 アンドロイドにもこんな奴がいるのか。
 私は彼に導かれるまま車に乗り、彼の邸宅へと移動する。その先が地獄か天国か、いやどちらであろうと「私には都合が悪い」のは確かだ。
 味方である事は有り得ない。
 ならば用心だけでなく刃の柄を握るとしよう。小綺麗な性格かもしれないが、善意で他者を殺すなど珍しくもあるまい。当たり前の事だ。
 私は、先にこう聞いてみた。
「随分と豊かそうな面だな」
 自己紹介の前からこれだ。依頼そのものが取り消しになるかもしれないが、別に私は弱者の味方をしたい訳ではないのでむしろ清々する。弱者という立場は暴力を正当化する為に存在し、戦争を起こす為の口実でもある。
 私の場合、常時戦場という気もするが。
 何しろ味方などいないからな。友好的な態度で迫ってこられれば「殺し屋か?」と素直に思う。誰かに優しくされるなど信じられない現象だ。
 それで「裏切られた!」などと。甘えか。
 とりあえず裏切られたら、面白ければ喜び駄作なら駄目出しだ。他に何があるというのか。私ですら出来ている事を、やろうとすらしない。
 情けない。恥を知れ馬鹿が。
 貴様等に必要なのはまず「恥」だ。
 そんな態度がありありと出ていたからか、彼は苦笑しながら「おかげさまで、皆の協力のおかげですよ」と軽く言葉を宙に浮かせる。
 まさしく「浮く」というような軽さだ。
 小綺麗さはともかく、どうやらそれなりに異常な類の性格をしているようだ。ここまで会話の際抵抗らしき物を思わせない奴は見た事が無い。
 苦笑する彼に対して、私は暗い笑みを浮かべた・・・・・・その底なしの個性ごと、私の作品のネタにしてやろうと、その悪意を薪としながら。

 
 
 
 

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例の記事通り「悪運」だけは天下一だ!! サポートした分、非人間の強さが手に入ると思っておけ!! 差別も迫害も孤立も生死も、全て瑣末な「些事」と知れ!!!