過去から未来へ〜魂の救済と生命賛歌〜務川さんの〈革新のベートーヴェン〉リサイタルツアー初日
感動が深い。。。
それは魂の救済の音楽だった。苦悩することの多かったベートーヴェンの人生、音楽を生み出す苦しみもあったかもしれないけれど、音楽は彼にとって喜びであり、書くしかない、書きたいという強い意志と衝動に突き動かされていたのだろうなぁ、と思える。曲を書くことで自らの心を慰め、救っていたに違いない。ソナタ32番は、彼の遺言のようにも言われるらしいが、死の影を感じるといった類のものではなく、むしろ苦悩を乗り越えて生きることの尊さ、生命の賛歌のように聞こえる。なんというすごい音楽だろう😭😭✨️✨️
務川さんの演奏を聴きながらベートーヴェンのことを思った。
務川さんのそれは、聴いたこともない新しいベートーヴェンだった!! おそらく、古楽科を修められ当時の楽器にも詳しい務川さんならではのアプローチ、モダンピアノを弾きながらも時代性を意識した演奏だったからだろう。今日の務川さんの演奏は、そのように過去をしっかり捉えつつ、なおかつ
ベートーヴェンの革新性からくるロマン派、現代音楽に繋がっていく音楽の歴史が脈々と息づいている、
そしてさらには、ベートーヴェンの偉大な普遍性、つまり、彼の音楽は、どんなに時代が進んでも未来永劫私たち人間の魂を救い、慰め、励まし続けるのだろうな、という胸の震えるような感動を、まざまざと感じさせる、そういう演奏であったと思うのです!!!!✨️✨️
ソナタ14番〈月光〉第1楽章は、闇の中を彷徨う心象風景、輪郭が霧のように滲んでベートーヴェンの孤独がひしひし感じられる。。一転メヌエットは生き生きと。驚いたのは第3楽章だ。音数多くドタバタしがちなこの曲を、静かなる情熱、静かなる焦燥、静かなる切迫感で弾いてみせたのである。当時の楽器だとこんな感じだったかもしれないと思える説得力。
シューマン〈花の曲〉は優しく幾分ウェットな音色、
務川さん言うところの、ロマン派、特にシューマンへの扉を開いたというソナタ28番とこのシューマン、たしかに呼応し合う。幻想的な序奏を経て第3楽章、このフーガにも生命の躍動を感じる。務川さん、素晴らしい高揚感!!✨️✨️
後半)
ラッヘンマンは一転してドライで硬質だけど残響や倍音が生きもののように空間を支配してひじょうに面白い。務川さんの音色の多彩さ!!! 音楽の三要素、リズム、メロディ、ハーモニーのうちリズムしか残ってないような曲なのだが、務川さんはこの曲にベートーヴェンからの影響を感じるそう。🤔私にはよくわからず、ここは私、もっと勉強しないとな🥲
ソナタ32番。務川さん、それまで椅子に座ったあといくらか時間をとってから演奏を始めていたのだが、これは、座るやいなや弾き始める! 厳めしく強固な意志を感じるこの第1楽章は務川さんの表情も厳しく、あのいつもの、頬の筋肉がぶるぶるするような表情もたくさん見られた💖 ここのフーガも素晴らしい重層感!!!!
一転して第2楽章アリエッタ。リズムが動き出すまでの数十小節…務川さんの弾き方がもう、泣けるのである🥹😭ベートーヴェンの心を反映してるのか、思い惑うような、逡巡するような、闇の中を彷徨うような。。
ベートーヴェンは自分の救いのためにこれを書いたのかな…などとしみじみ思ってしまい、涙止まらなくなった。。。
そしてリズムが動き出してからの高揚感!!
光が降るような天上の響きと内面の懊悩が交錯する終結部から精神の高みへと昇っていくあの神々しさよ✨️✨️✨️✨️
務川さんの地の底から聞こえてくるような深い低音と心洗われる輝かしくも静謐な高音✨️✨️ 実際の音が消えてからもそこには何か見えない美が存在していて、皆が余韻に浸りきった。。。。。
ようやく務川さんが立ち上がる。しだいに我に返った聴衆の拍手が波のように広がる。喝采とブラボー、スタンディングオベーション✨️✨️💖💖
32番のあまりの感動の深さに、もうこれ以上(アンコールで)何を加えることがあろうと思えるほど!!!
全霊を尽くしたご本人もそんな感じだった。。。🥹🥹が、拍手に応えて〈悲愴〉第2楽章を弾いてくださった。32番のあまりの偉大さ、重さを少し癒すような、この場にふさわしいアンコールだった。🥹🥹
務川さんはベートーヴェンはまだ分からない的なことを仰っているけれど今日の演奏はまるでご自分の言葉のように弾いてらした、自分の心が欲するままに自然に。。長く深くベートーヴェンに向き合ってこられたのだろうな……✨️🥹
とにかくすご過ぎて、ある意味(良い意味で)打ちのめされ、ほんとは言葉にしたくない気もするし、家に帰りたくもなく何処か彷徨いたい、とさえ思った。それほどの感動だったのだ。。。が、何かこの感動を残しておかなくてはと、ここに記すしだいです。
ブラヴォーーーーーー✨️✨️✨️✨️✨️
2025年11月13日愛知県芸術劇場コンサートホール
務川慧悟ピアノリサイタル〈革新のベートーヴェン〉
※ツアー初日、情趣的な感想ばかり書いてしまって、リサイタルのコンセプトである革新者ベートーヴェンについてはあまり書けてないのだけれど、ツアーはまだこれから。務川さん、どんな進化、深化を遂げるのか、ツアーテーマとともに考えていきたい。
当日、今回のリサイタルタイトルに込めた思いについてお話がありました。以下はその、私の意訳?🥲🙇による要約です。
「今日はお越しいただきありがとうございます。幼少の頃から憧れていたホールなので嬉しいですが、今日は、そんな個人的な思いなど取るに足らないと思えるほど偉大な曲を弾きます。
ベートーヴェンは古典派の作曲家と分類されるけれどロマン派への道を開いた革新的な作曲家でした。それまでは“依頼されて(或いは雇われて)”曲を作っていましたが、彼は個人的な感情の表現を追い求めました。
前半の28番はとりわけ、ロマン派、シューマンへの扉を開いたように思えます。
後半で弾く32番はロマン派からさらに現代曲への道筋を感じます。ベートーヴェンというと堅固な構築性を感じる人もいるかもしれませんが、むしろそういう構成の壁を打ち破った人だと思います。今日弾くラッヘンマンにも僕はべートーヴェンからの影響を感じます。
今日はこの様な、ベートーヴェンが既成の枠を壊そうと強い志を持って道を切り拓いていった曲たちをお楽しみください。」
