Cher Keigo, 君に託したよ ―親友ラヴェルさんからの伝言 〜務川さんのラヴェル全曲演奏会〜
務川さんのラヴェル生誕150年の演奏会について、note専用に書きたいと思いつつ日が過ぎてしまい、感動の記憶はまざまざとあるものの、直後と同じ熱量では書けないかもという気がして、以下、演奏会直後に勢いで書いたインスタグラムの文章を転載します。
タイトルは後から付けたもので、“ラヴェルからの伝言”としていますが、内容はそれに沿ったものにはなってないです。。
でも、務川さんのラヴェルは、たしかに作曲者が「まかせたよ」って言ってる気がする、今は亡きラヴェルの息吹を生き生きと伝えるものであると、そう信じられるので。。。!!
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務川慧悟さんラヴェルピアノソロ作品全曲演奏会@東京、浜離宮朝日ホール2days
なんと素晴しいラヴェル体験!!!
その演奏は、ラヴェルへの友情と愛と優しさに満ち、また作曲家への深い思索の日々を想わせる名演でありました!!!
務川さんは日頃から、演奏を聴くとその演奏家の性格なりひととなりがわかってしまう、と言っている。それをそのまま本人に援用するなら、この2日間の演奏で、務川さんの、愛情深く友に忠実で誠実な人柄、一方で知的探求心旺盛で深く内面に入り込みやすい性格などが察せられた。
実は、2日にわたった演奏は其々大変異なった印象のものだった。
1日目は、それまでの務川さんの演奏で聴いたこともないような特別感があった。夢の世界、幻影、イデアの世界、天上の音楽…そんな言葉が浮かんだ。
ラヴェルの夢の世界にただ純真な心で遊ぶ務川さん。“表現する”よりその音を、響きを演奏者自身が聴き手であるかのように味わい感動しているかのよう。“今日は一度ラヴェルの世界に惑溺してみよう、思う存分彼の夢のなかで呼吸を深くしてみよう”という…そんな務川さんの姿が感じられたのだ。いままで務川さんご自身も気づいてなかったような無意識の領域を、響きを辿りながら進んでいくような…それを詩的と言っていいか瞑想的と言うべきかむしろ逆に言葉を伴わない哲学的な(音の)思考と言えばいいのか🤔
弱音のさらに弱音が意識をさらに奥へ奥へと導き、息もできないほど美しい。一方、髪振り乱し激しく打ち鳴らされる強打にも心を鷲掴みにされた。。
2日目
Bravo!!! そして、とうとうやってきたツアーファイナル。響き、表現、緻密さと胆力、詩と深淵、音楽の歓び……すべて卓越していて、ファイナルにふさわしい圧倒的名演だった。✨️✨️✨️
この2日目のほうが、演奏としては分かりやすかった…つまり、1日目はいったいこの演奏の特別な感じは何?と、なかなか答えが出ないでいたのに対し、2日目はただただ素晴らしく、これぞ〈務川慧悟のラヴェル〉と言っていい演奏だった✨️✨️
そこで、この2日間の演奏を端的に言ってしまうと
1日目は務川さんがある意味ご自分のために弾いた、そして2日目は皆のために(聴衆のために)弾いた、過去の偉大な作品を今の世に伝える使命を担っている優れた演奏家の一人として、その使命を最大限立派に果たした、と言えるのかも。(もちろんそれだけの単純なものではない。)
day1 たしかに、大阪公演と同様愛と優しさと尊敬に満ちていたのだけど、さらになんというか…密やかな務川さんの個人的なラヴェルへの友情吐露、独り言のような親友ラヴェルへの親密さがあった。それはたしか。
しかしこれはむろん私個人の感想なのでほんとうにそういう演奏だったかわからない。プロの演奏家務川さんがご自分のためだけに弾くってことはないかもしれないけど、こんな特別感ある素晴しい演奏に接することができるなら、いくらでも聴衆を置き去りにして弾いていいと思った💕💕
day2の名演によって、少しわかったこともあった。私にとって一番難解と思われた〈鏡〉。その《鐘の谷》、いままで描写音楽のように考えていたけど違ったのだ。もっと深い思想があった。その音は皆の心の大伽藍に鳴り渡る鐘なのだと思い至った。〈高雅で感傷的なワルツ〉も“おしゃれで小粋な迷宮都市パリ” のような印象を持っていたが、それも心の迷宮を思わせる深さがある。このあたりにも務川さんの日頃の研鑽からくる音楽の深まりが感じられ、胸が熱くなった。
これから務川さんのラヴェルがどんなふうに深化していくのか、ますます楽しみだ。。。
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以下に大阪でのラヴェル全曲演奏会直後の感想も転載します。
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大阪いずみホールはとても響きの良いふホールで、おそらく務川さんの弾きたい音を余す所なく伝えることのできるホールなのではないか。。それだけにCD等の音源の1000倍!様々な音や響きや色彩、空気感、さらには音楽の香気が伝わってきて、あぁ、ラヴェルの音楽ってこんなにも豊かだったんだと改めて思った。
それだけに、ナマで聴いてしかわからない極上の響き、、音源に記録しても伝えきれないこの美しい感覚をいったいどうやって表そう。。どんな言葉でも表すことができない。
生でこそ感じ取れる雰囲気、辺りを満たす世界観、残響と静寂に込められた密な思い😭どのようにしても残すことのできないこの響きの豊かさは二度とは無い一期一会のものだ。消えていく音たちの儚さに切なくなるけれど、音の記憶、感動の痕跡は永遠✨
今回の演奏は、
髪を揺らして(務川さんのあの髪がパサッパサッとなる感じ、わかります?)の狂気的表現もあったけど、より優しく繊細に弾かれるのが印象に残り、一体これは何?? と自問した。
そしてふと、あぁ、愛なんだと✨️親友ラヴェルへの務川さんの心からの友情なんだと思い至り…
そう、
友ラヴェルへの愛と優しさと尊敬に満ちた演奏だった🥹壊れ物を慈しむような繊細さと慣れ親しんだ友への気安さが同居している💕
演奏中の務川さんは友と瞳を交えて対話するように、響きに心の耳を傾けてらした🥹 真綿のように美しい弱音、谷を渡る涼やかな風、闇の海から立ち上がる幻影、遠近法の奥深さ、〈印象派としてのラヴェル〉をまざまざと感じた。この豊かな響きの海はいずみホールのような会場あってこそかもしれない。。
いっぽうで、パリの小路を、迷路をそぞろ歩くよな都会っ子ラヴェルさんの小粋な感覚もあったな💘フランスに長く暮らす務川さんならではの洗練。そして、どんなに激烈に弾こうと、お茶目に弾こうとも隠しきれない高貴な品格。彼の、務川さんの生き方がそうなのだろうな。。これはラヴェルにも通ずるよ。。。✨️✨️✨️了
2025年7/17 住友生命いずみホール(大阪)7/24,25 浜離宮朝日ホール(東京)
