#迎え火オペラ|暗|ショートショート(408字)
ちくしょう。暑すぎるな。
男は久々にこの街に戻ってきた。
そろそろ“仕事”しなければ。物価高のご時世だ。
20年前、夏の夜はもっと涼しくて網戸の家も多かったのに、いまじゃエアコンをつけて閉めきった家ばかり。
20年前の“仕事”のときは、迎え火の提灯がぶらさがった縁側から入れた。住人とのはちあわせは予定外だったが、ずいぶんと大金を置いていた家だった。
お盆なのに、ご先祖さんも入れやしねえよ。
勝手な愚痴をつぶやいていると、歌声が漏れ聞こえる家があった。何と言っているか聞き取れないが、オペラのようだった。
男は口元をゆるめると黒いマスクと黒手袋を準備して、敷地内に入っていった。
電灯の下、犬を連れたカップルがひそひそと話す。
「いま、あの空家に人影が入っていかなかった?」
「あの強盗事件があった、ぼろぼろの家?肝試しにしちゃ勇気あるなあ」
「犯人はまだつかまってないんでしょ?怖いよね」
おーーかえーりーーー。
歌声は一層大きくなった。
田原にかさんの企画に参加します。
よしまるさんの #さぶいぼ選手権 にも参加させてくださいー。
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