#108. 雨の有松絞りまつり。
今日は6月7日日曜日の夜です。
昨日の夕方、ニュース番組で「有松絞りまつり」の様子が流れていました。
有松絞りといえば、以前から憧れていた素敵な浴衣の産地です。実は一昨年にお祭りの「レンタル浴衣」で水色の絞りの浴衣を着付けていただいたことがあって、あの時の嬉しさが今でもずっと大切な思い出として心に残っていました。
「いつかまた行きたいな」「インターネットで見かけた絞り染め体験も、いつかやってみたい…」と、ずっと思いを募らせていたところ、たまたま今日は時間に余裕ができたので、思い切ってお祭りへ足を運んでみることにしました。
愛知県の有松駅の隣は中京競馬場前駅なのですが、そちらから向かいます。今年でなんと42回目を迎える歴史あるお祭りだそうです。
1時間ほどで現地に到着したのですが、想像以上の人混みの多さにちょっぴりびっくりしてしまいました。でも、それ以上に驚いたのは、歩いている女性の半分ほどが浴衣姿だったことです。
私も事前に調べて準備していたので、今回は蓮の花が描かれた紫と水色の浴衣に、黒とピンクのリバーシブルの半幅帯を合わせてお出かけしました。周りの皆さんの浴衣をそっと拝見していると、ほとんどの方が本物の絞りの浴衣を愛用されていて、その着こなしが本当に素敵で……。「やっぱり、自分だけの有松絞りがいつか欲しいな」という気持ちが、胸いっぱいに膨らんでいきました。
ワクワクしながら老舗の呉服店さんをいくつか覗かせていただいたのですが、反物だけでお値段が約70,000円、少し傷のあるB級品と言われるものでも約50,000円ほど。絞り染めが高いものだとは知っていましたが、実際に目の当たりにすると、やっぱり「わぁ、こんなにするんだな…」というのが正直な本音でした。
側でじっくり見せていただくと、ベーシックな紺色だけでなく、緑からピンクへ綺麗にグラデーションしているものや、藤色に星柄をあしらった今風の可愛い柄もたくさんあって、職人さんの手仕事の幅広さに感動してしまいました。今回はお財布と相談して購入を断念しましたが、いつか一生ものとして、手元に大切に残せるお気に入りをお迎えできたらいいなと思います。
今回はせめて何か記念になるものを、と探したのですが、なかなか実用的なものが見つけられず……悩んだ末に、日常でも大切に使える巾着袋を購入しました。それから、路面店のそばで素敵に並べられていた正絹の半襟も。これから大切に使わせていただこうと思います。

町並みを歩いて感じた、あたたかいおもてなし
道のりは、まず西側から歩き始めて「花絞り体験」ができる端のところまで行き、そこからまた有松東海道の中央まで戻って、今度は東側へと向かいました。肌感覚なのですが、東側通りの方が少し賑わっていたように感じます。東側にはトイレや休憩所がしっかり設置されていて、無料の案内所もありました。訪れた人たちが困らないように、そしてお祭りを心から楽しんでもらえるようにという、地域の方々の温かい気配りと積極的なおもてなしの心が伝わってきました。お昼ご飯には、郷土の味である「たまり飯」をいただきました。
〈たまり飯と有松〉
たまり飯とは、たまり醤油を使った具だくさんの混ぜご飯のことです。鶏肉と椎茸の旨味がご飯にたっぷり染み込んでいて、にんじんやごぼうといった根菜類のいい香り、蒟蒻、油揚げ、ちくわが加える食感のアクセントが絶妙で歩き疲れた体に優しく染み渡ります。かつて「知多郡有松村」だったこの地域は、知多との繋がりがとても深く原材料となる知多木綿の調達や、くくり加工の依頼など、多くの知多の人々が有松絞りを支えてこられました。たまり飯も元々は知多でお祭りの時に食べられていたもので、有松でも祭礼の時には必ず振る舞われる大切な伝統の味だそうです。
本当は、楽しみにしていた絞り染めの体験や、産地の職人さんによる手作業の実演を生で拝見したかったのですが、残念ながら朝から雨が降っていたこともあり、そこまで思いっきり体験することはできませんでした。
それでも、浴衣や着物を愛するたくさんの人たちの賑わいの中に身を置いて、同じ「和の装いが好き」という温かい雰囲気や一体感を肌で味わえたことが、何よりも嬉しかったです。

西側と東側、どちらの通りも丁寧に回って中心地まで戻ってくると、だいたい1時間半ほどで周り終えることができました。もし次回、体験をしたりお仕立ての相談をしたりするなら、もう少し時間に余裕を見て計画を立てると良さそうですね。
由緒ある大切な伝統工芸だからこそ、もっと多くの人に知ってもらいたい、守っていきたい。そんな地域の方々の深い思い入れが、お祭りの端々から伝わってくる、雨の日の景色と、これまでの歴史と楽しみを味わった一日でした。
2026.6.7
