エイリアン2は意外とシニカル?(レビュー:『エイリアン2』)
オススメ度:★★★★★
エイリアンから逃れた半世紀後、低温睡眠から目覚めたリプリーは、植民星に送られ、再びエイリアンと戦う。
毎週日曜21時のホラー映画をみんなで見る会、本日は『エイリアン2』です。https://t.co/HGbJiVDWvX
— 架神恭介/作家・ゲームデザイナー (@cagamiincage) June 28, 2025
21時集合、21時5分同時再生です。
興味がある人は、各自動画を見れる状態にしてこちらのDiscordサーバーに来てね。同時再生してチャットでワーワーします。https://t.co/duE4bRHa1y
星5以外を付ける余地のない圧倒的傑作。
本作を初めて見たのは、たぶん8歳か9歳の時だ(地上波で見た記憶がある)。当時の私からすると、かなり背伸びをして視聴した記憶がある。
私が初めてホラーで心底怖がったのは、確か『帝都大戦』で、あまりに怖すぎて途中離脱し、その晩は恐怖で悪夢にうなされ、翌日から熱が出て寝込んだ。
で、『エイリアン2』もメチャクチャ怖くて、これは最後まで見終わったし、最後はエイリアンが倒されるので、物語的にも勝利しているので大丈夫だ!と思ったのだが、結局、その晩も悪夢にうなされ、翌日から熱が出て寝込んだ。(帝都大戦とエイリアン2の視聴の時系列は逆かもしれない)
しかし、未だに不思議なのだが、怖い映画を見て悪夢を見るまでは分かる。だが、翌日から熱が出たのは病理学的にはどういうことなのだろうか? たまたま風邪を引いていた時に、たまたまメチャクチャ怖い映画を見たのだろうか? それとも心理的な恐怖が免疫力を甚だ低下させた結果なのか? よく分からない。人体は不思議である。
ところで『帝都大戦』だが、大人になってから改めて見ると、全く怖くなかった。というか、話も微妙だ。私の人生において揺るぎないインパクトを与えた作品なのに、作品自体のポテンシャルは甚だ微妙である。というわけで、私は「怖がれるうちにホラー映画を見ておいた方が良いよ」と娘に勧めている次第だ。
一方で、エイリアン2だが、こちらは何度見ても名作である。名作というしかない。記憶が確かなら、たぶん今回が五度目の視聴だ。小学生の折にテレビで見てめちゃくちゃ怖い思いをした後、図書館でたまたまノベライズ版を見つけて、その場で読み耽ったのを覚えている。エイリアン2の情報量は過大すぎて、小学生には何がなんだか分からなかったのだ。
小説により文字情報でストーリーを追うことで、ようやく細部まで分かった感じだ。例えば、中盤の海兵隊大虐殺シーンで、最初にエイリアンに襲われてフレンドリファイアしてしまうのは、衛生兵のディートリッヒである。彼女はニュートを保護した後に簡易的な医療検査を行った人物だ。だが、小学生の時分の私には「衛生兵」という概念すらなかった(ノベライズ版では確か「医療技術兵」みたいな肩書があてられていたと思う)。
というわけで、私は映画を何度も見て、小説も読んで細部も確認したわけだが、それでもなお、今回改めて視聴しても、とても面白かった。まず、アートワークだけでも見どころがたくさんある。宇宙SF映画の様々なガジェットや背景――、それらに凝らされたデザイン上の工夫を見ているだけでも目が楽しい。伏線の張り方も丁寧で、ラストバトルに登場するパワーローダーも実に二度に渡り伏線が張られていた。
作劇も、ある意味、信じがたい作りである。なんと、開始から一時間強が経過するまで、エイリアンが姿を現さないのだ。厳密に言えば試験管に入れられたフェイスハガーや、リプリーの悪夢の中でのチェストバスターなどは出てくるが、それらを除けば、2時間の映画の、実に半分が過ぎるまで、ある意味、主役不在のまま話が進んでいく。
そして何より恐ろしいのは、エイリアン登場前の、いわば前フリである前半一時間ですら、とてつもなく面白い。それは先述した通り、SF的なデザインの情報量によるところが大きいが、ミリタリーモノのニュアンスも重要だ。やはり軍隊はそれ自体が別世界であり、その世界の雰囲気ややり取りを描くだけでも十分に間が持つし、面白い。『フルメタル・ジャケット』だって前半は敵が出てこないが、それでも主人公たちの軍隊生活を描いているだけで十分に面白いのだ。
そうして、引っ張って、引っ張って、引っ張った末の、あの海兵隊大虐殺シーンである。バカでかいスマートガンを構えた海兵隊(ヴァスケスとドレイク)へ覚える頼もしさが、あのワチャワチャの中で一瞬で消し飛び、武装などの様々なSFガジェットで彩られた信頼感など蜃気楼に過ぎなかったことを思い知らされる。あの瞬間のインパクトは何度見ても絶大だ。頼れる前線指揮官のエイポーン軍曹に、フロスト、ディートリッヒ、ウィズボウスキー、クロウ、ドレイクが一瞬で死んで、戦力は半減以下となってしまう。子供の頃はここがとにかく怖くて仕方なかった。
……と、そんな感じでエイリアン2の素晴らしさはいくらでも語れそうなのだが、今回は五度目の視聴により初めて気づいた事があるので、そちらを共有したい。というのは、どうもエイリアン2のシナリオはだいぶ皮肉が強いのではないか……ということだ。われわれの胸を打つ英雄的な行動が誰かをピンチに陥れる……という事例が、数多く劇中に存在している。
一つずつ見ていこう。
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