《コーヒー》 “古くて新しい”抽出技法が、各地のコーヒーフェスで話題に!【カフェ&レストラン7月〜9月 の「トレンド」「予想」】

5月末の時点で、すでに各地で真夏日が報告されている今年の日本。
それを前に、気象庁は今年4月、気温40℃以上の日を「酷暑日」と命名しています。つまり気温が体温より高い40℃にもなる日が、熱帯ならぬ温帯気候のはずの日本にもあるのだろうという前提です。
今年は酷暑日が何日あるのでしょうか。気温が売上げに影響することが多いのが、カフェ・レストランのビジネス。
ここ数か月の動向を先取りしてビジネスに役立てるための、食を中心にした興味深いトレンド・予想の連載を始めます。第1回目は、コーヒーについて解説します。
“古くて新しい”抽出技法が、
各地のコーヒーフェスで話題に!
スペシャルティコーヒーが話題を集め、その個性を活かそうと、さまざまなバリスタが独自理論の抽出法を考案する今日。ある抽出法が、各地で行われるコーヒーフェスで注目されるようになってきた。
日本独自の、ネルドリップによる1杯取りのコーヒーだ。
今年2月に東京・銀座行われた「GINZA COFFEE FESTIVAL」や、5月に東京・青山で行われた「TOKYO COFFEE FESTIVAL」でもネルドリップが話題を集めた。直近では6月の岩手・盛岡の「盛岡珈琲フェスティバル」では参加店29店舗中、23を占めるネルドリップ店が大盛況だったという。
このイベント実行委員長で、盛岡コーヒープラネットサークル代表、地元で老舗の人気コーヒー店を営む関 基尋氏は、「″人の交流、コーヒーラバーの創出〞をテーマに2019年から始めて、今回で15回目です。元々、盛岡はネルドリップのお店が多い土地柄ですが、ネルドリップの魅力はコーヒーが提供されるまでの時間も豊かなものにしてくれる、その点も楽しまれているのだと思います」。

若者層にも関心の高い
抽出法
このフェスに千葉から参加された『喫茶いずみ』の伊藤拓史氏は、若者層のネルドリップへの関心と今後の抱負について、「道具、豆のポテンシャルについて興味を持たれていると感じます。同時にネルに興味があるかたは、レシピ(焙煎や抽出)やフレーバーホイール等とは別の世界観で味わいを表現する我々の考え方・感じ方についても関心があるように感じます。″ネルで表現する〞という、先達から引き継がれてきた姿勢を通して、彼らの関心に応えていきたいですね」と話す。
深煎りの豆を用いることが多いネルドリップは、濃厚な味わいとコク、それになめらかさが特徴。華やかで爽やかなスペシャルティコーヒーには無かった印象に加え、喫茶店ブームも影響してかレトロな雰囲気も魅力。時間をかけて抽出する淹れ方は職人の世界観も感じさせる。スペシャルティコーヒーの世界で育った若者層にとっては、それらが新しいコーヒー体験と感じられるのだろう。
「若者層はネルドリップコーヒーのつくり方に興味があると感じます。最初はだれでもカタチから入るものです。その世界にあるものを自分の感性で受け取って、どのようにコーヒーをつくりたいのか、どのようなコーヒーを飲んでいただきたいのか、時間をかけて自問自答を繰り返してコーヒーをつくることに長く深く興味を持ってほしいですね」(関氏)
元々は日本独自のコーヒー文化として、人気を集めてきたネルドリップ。″古くて新しい〞抽出技法は、スペシャルティコーヒーに加え、これからのもう一つのメインストリームになりつつあるようだ。

大盛況となった6月の「盛岡珈琲フェスティバル」。
⚫︎写真撮影・協力:藤澤 貢氏
※この記事は、カフェレス2026年 夏/秋号に掲載されています。
