現場監督の頭の中にある「まだ存在しない足場」を、どう共有するか
私は普段、koharu@現場監督は3太郎の父さんの記事を、仕事のための情報収集として読んでいるわけではない。
現場監督としての日々の出来事や、職人さんとのやり取り、建築用語への独特な視点。
「建築用語、そんな由来なの?」と思わず笑ってしまうような記事もあり、いつも楽しみに読ませてもらっている。
現場のことを知らない人にも伝わるように書かれていて、専門的な内容なのに、なぜか現場の空気まで伝わってくる。
だから、普段は完全に読者として、リラックスして読んでいる。
そんな中で、今回の記事を読んだ時だけは、少し違った。
途中までいつものように「現場監督さんの視点は面白いな」と読んでいたのに、足場の出幅の話が出てきた瞬間、自分の中の仕事モードが起動した。
「あ、これはBIMや点群で事前に確認できる部分ではないか」
そう思った。
今回の記事では、基礎工事中の現場で、道路側への足場の張り出しに気づく場面が描かれている。
建物の1階部分だけを見ると敷地内に納まっているように見える。
しかし、2階や3階が道路側へ張り出している場合、その外側に設置する足場も道路側へ出る可能性がある。
しかも、その場所には横断歩道があり、人や車が通る。
現場監督は、まだ存在していない建物の姿を頭の中で描きながら、次の工程で起きる問題を探している。
これは、単純に「図面を見る」という作業ではないと思う。
今あるものだけではなく、
・これから建つ建物
・設置される足場
・周辺道路との関係
・工事中の動線
まで含めた空間を想像している。
現場監督の経験や判断力によって支えられている部分だ。
ただ、このような判断を、より多くの人で共有するための方法として、点群やBIMは役に立つのではないかと思う。
例えば、敷地周辺の点群データがあり、そこに建物のBIMモデルを重ねる。
さらに仮設足場の位置を配置すれば、
「足場は道路境界からどの程度出るのか」
「歩行者の通行に影響しないか」
「現場に入る前に確認しておくべきことは何か」
を、画面上で確認できる。
もちろん、BIMがあれば現場監督の判断が不要になるわけではない。
むしろ逆だと思う。
経験を持った人が現場で考えていることを、事前に共有するための材料になる。
図面上では一本の線でも、現場ではその先に人が歩き、車が通り、職人さんが作業する。
線の向こう側にある現実を、どれだけ共有できるか。
そこに点群やBIMの役割があると思っている。
今回の記事を読んでいて印象に残ったのは、足場の確認だけではなかった。
現場監督は、目の前の鉄筋を確認しながら、その先にある建物の完成形を見ている。
今あるものと、これから起きること。
その間をつなぐ仕事なのだと思う。
私は普段、三太郎さんの記事を建築現場の読み物として楽しんでいる。
でも今回は、読者として読んでいた記事から、技術者として考えるきっかけをもらった。
こういう偶然のつながりがあるから、技術記事を書くことも、現場の記事を読むことも面白い。
参考記事:
「鉄筋だらけの現場で、足場の出幅に気づかされた。|一棟が家になるまで‐黒羽2棟現場編‐」
koharu@現場監督は3太郎の父さんの記事
