見出し画像

音綴り #14:Voodoo

14~5年前、私が中学生の頃、ヒップホップだR&Bのジャンルに沼っていて、寝ても覚めても聴き浸っている時期があった。ある日、いつものようにネットをディグっていると、キン肉マンのようなルックスのアルバムジャケットの横に、オールドフォントで「VOODOO」の文字。
間違いない。これは名盤だと確信して早速聴いてみたら、
んっ?
1曲目 Playa Playa の途中で、聴くのを辞めてしまった。
いや、だって、アルバムジャケットからは想像できない声の正体に戸惑ったのだ。もっとこう、野太くて低音が利いているイメージのルックスだったのに、すごいか細い声質の上、歌っているのかハミングをしているのかといった歌い方、そして何より捉えようのないリズム感。
ジャンルはR&B・ソウルジャンルで間違いないのだが、今まで聴いてきたアルバム・アーティストたちとのそれとはまるで違うものだった。
だが、必ず上記ジャンルで彼の名前とアルバムなしには、語れないということを今では声を大にして言いたい。
理解するまでにかなり時間がかかった(過去一だと思う。おそらく6,7年かかっただろうか。ビートルズのサージェント・ペパーズ・・・のアルバム級に良さを理解するまでにそれぐらい時間がかかった。)このアルバム。
D'Angelo の Voodoo を紹介していきたい。

さて、彼のこのアルバムだが、決してリスナーに優しい(聴き易さの局面で)・リスナーフレンドリーな曲・アルバムでは決して(まるで)ない。
一曲一曲が、約6分(それ以上のものも存在する。)という構成になっているという点をスタートに、流行なんてのは、どこにくれてやったのだか歌詞にメリハリもない。それでいて、リズムもかなりローダウンだ。
スムーズなネオソウルを代表するであろう、90'sマクスウェルのアルバムなんかを期待して聴くと、想像と全く違って残念だと感じるだろう。ネオソウルと名乗るクセしてまるで違うディープな世界に誘われる。
アルバムクレジットには、数多くのアーティスト陣により構成されているが、the Roots のメンバーであるクエストラブ、ドラム・ジェームズポイザーがキーボードを担当している。ホルンには巨匠であるロイハーグローブ、RHファクターのメインメンバー兼ジョンメイヤートリオでの名脇役として活躍しているベースのピノパラディーノ。ギターはスパンキーアルフォードと、マイクキャンベルというぶっ飛んだサイドバイサイド体制(F1???)になっている。皆各分野において、実力者達である。
前作、Brown Suger リリース後、5年という歳月を、上のアーティスト、スタジオプロデューサー達と一緒に(引きこもるというか、暇さえあればずっとセッションをし、そのセッション録音を分析、アルバムテイクにする曲が決まれば、一つ一つの音に気を付けて)録音をしたと言う。また、録音する上で音の生感を重視した彼は、ワンカットレコーディングをしていた時代の楽器や、アンプを使用するといったアナログを大切にする姿勢をこのアルバムの一つ一つのトラック・インストフレーズから感じ取れるであろう。

もう、正直なところどの曲がいいというレベルではなく、
映画を一本見るという感覚で、好きな食べ物と飲み物とをテーブルに出して、音に集中してアルバムを通して聴いてほしい。
このアルバム全体の長さは、79分で、これが意味するのは、CDで録音できる一番マックスの長さであることを指す。一度もスキップを押さず、プレイヤーの再生の▶ボタンを押して、スタジオでの空気感、みんなで確かめ合い、まるで真剣にゆっくりと対話をしているように一つ一つの音を詰め合わせている感覚にどっぷりと浸かってほしい。
恐らく、☆track1 Playa Playa ~  track6 Chicken Grease までと、
◇track8 Spanish Joint ~ track10 Feel like makin' love まで、クライマックスに 〇track12 Untiltled (How Does It Fell) の構成になっており、その隙間隙間がアルバムを作る中で生まれた、ギークやイントロ・アウトロのような羽休め区間になっている構成になっているのではないかと考える。
個人的に、◇の区間の技巧、特にさりげなく散らばっている鬼畜なリズム配置がすごい好きである。様々なジャンルがこの曲たちに凝縮されたのだなと感じるのも、この区間を選択した理由である。捨て曲がないのがすごい。

アルバムリリースと同時に、多くのアーティストからリスペクトを掲げられ、リリース3週間後には全米チャートトップ・プラチナディスク(殿堂入り)獲得・ビルボード2部門での受賞という輝かしいタイトルを得ることとなり、今なお廃れることのない存在感を放っているアルバムである。

どれだけ説明してもし足りないだろう。このアルバム紹介をする上で何度も書いて消してを繰り返したせいか、主観をかなり排除したレビューになってしまった感が否めないが、それぐらい言及するには恐れ多い…。
また、一度の試聴でハマる人は多くはないだろうかと思う。
私自身も、理解し今日に至るまで、時間がかかったため、それぐらい好き嫌いが分かれるアルバムであろう。
是非を皆様に問う意味でも、一度試聴するのを強く勧めたい。

p.s.
アルバムビジュアルに騙されないで下さい…。
そのか細い声が、ディアンジェロです…。大丈夫…。
ブラウザバックしないで…。

百聞は一聴にしかず。 052025


いいなと思ったら応援しよう!