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【債権管理|現場の判断⑨】「払えない」と言われたとき、本当に考えるべきこと


「今は払えません。」

債権管理では、よく耳にする言葉です。

その言葉を聞くと、「どうすれば支払ってもらえるか」を考えることが多いかもしれません。

もちろん、それも大切な視点です。

しかし、私は「払えない」という言葉を聞いたとき、すぐに交渉方法を考えることはありません。

まず考えるのは、「この人は、なぜ払えないのか」ということです。


「払えない」だけでは判断しない


「払えない」という言葉だけでは、その理由は分かりません。

例えば、
一時的な資金不足なのか。
収入に対して支出が多いのか。
他の支払いを優先しているのか。
返済を続けても解決が見込めない状況なのか。

同じ「払えない」でも、その背景は人によって大きく異なります。

だから私は、一つの言葉だけで判断せず、その背景を確認するようにしています。


交渉を続けることが最善とは限らない


事情を確認していくと、「返済方法を工夫すれば解決できる」と考えるケースもあります。

一方で、どう考えても返済を続けることが本人の生活再建につながらないと判断することもあります。

例えば、数千万円の債務があり、毎月支払えるのは数千円程度というケースです。

もちろん、一つの情報だけで結論を出すことはありません。

しかし、そのような状況では、「どう回収するか」だけを考えることが適切とは思えないことがあります。


必要な情報は立場に関係なく伝えるべき


そのような場合、私は法テラスや自治体の相談窓口など、公的な支援制度があることをお伝えすることがあります。

その結果として、債務整理や自己破産という選択肢を検討する人もいます。

これは、自社にとって有利な話ではありません。

場合によっては、回収できる可能性を自ら狭めることにもなります。

それでも、その人に必要だと考えた情報は、立場に関係なく伝えるようにしています。


守りたいのは「回収」だけではない


私は、債権者の立場で仕事をしています。
だからこそ、回収は重要な役割です。

一方で、回収だけを目的に判断することが、常に最善とは考えていません。

返済を続けることが本人の生活をさらに苦しくするだけなのであれば、その状況も含めて考える必要があります。

実務上は、法的整理が最善になるケースは一部に限られます。
だからこそ、その見極めは慎重に行うようにしています。


おわりに


「払えない」と言われたら、どう回収するかだけを考えることはありません。

大切なのは、「なぜ払えないのか」、そして「返済を続けることが本当に解決につながるのか」を確認することです。

債権管理は、回収だけを考える仕事ではありません。

状況によっては、その人にとって必要な情報を伝えることも判断の一つです。

それが結果として回収につながることもあれば、そうならないこともあります。

それでも私は、その場だけの結果ではなく、事実を踏まえて誠実に判断することを大切にしています。

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