【広告でめぐるバスと路面電車の旅 ー北海道編ー 】
北の大地を走る、動くメディアアートの饗宴
旅において「移動時間」を退屈な空間だと思っていませんか? 北海道において、その常識は通用しません。なぜなら、北の大地を走るバスや路面電車たちは、それ自体が鮮烈なメッセージを放つ「走るギャラリー」だからです。
白銀の世界に映える極彩色のラッピング。ドアを開けた瞬間に始まるエンターテインメント。今回は、広告という枠を超え、北海道の文化と誇りを乗せて走る「バスと路面電車の旅」へご案内します。
懐かしのデザインから最新のものまで。時を超える「広告の旅」へ、出発進行!
※記事内には、現在は見ることのできない過去の運行車両も登場します。幻のデザインとしてお楽しみください。
🐧 旭川:ラッピングバス&車内装飾
「旭山動物園ラッピングバス」
旭川電気軌道が運行する旭山動物園行きのバスは、もはや「動物園の別館」と言っても過言ではありません。
車体には、しろくまをはじめとした動物たちの表情豊かなイラストが描かれ、見た人の足を思わず止めてしまうほどの存在感があります。 しかし、本当の驚きはドアをくぐった瞬間に訪れます。
車内のサイネージには、園内で暮らす動物たちの可愛らしい映像が流れ、壁面にはリアルな写真やペンギンのイラストが飾られています。まるで、バスそのものが動物園の展示空間になっているかのようです。
「動物園に到着する前から、もうワクワクが始まっている。」
移動そのものを体験に変えるこの仕掛けは、行動展示で観光客に驚きを与えてきた旭山動物園らしい発想と言えるでしょう
運行:令和7年4月25日(金曜日)より3台目も順次運行
路線:JR旭川駅前から旭山動物園まで(旭川電気軌道41番線・42番線・47番線ほか市内各路線運行)
便数:旭山動物園路線では1日7往復程度
旭山動物園からの帰りのバスは「旭山どうぶつえん号」!車内天井にもペンギン泳いでて楽しい~☺️ pic.twitter.com/UJsuE5D7jN
— しろ(しろっぷ )おペン路さんฎ (@syrup_penguin) October 22, 2023
二代目どうぶつえん号完成お披露目会開催中です。本日14時まで旭山動物園正門前にて展示しております。ご来園の際は是非お立ち寄りください。 pic.twitter.com/DMxlawz9ff
— 旭川電気軌道㈱ 【公式】 (@denkikidou) August 7, 2020
ラッピングバス「旭山どうぶつえん号」車内ではビデオが流れているのですが、お嬢様が写っていました。アップで。 pic.twitter.com/yMorX8AuGJ
— ちゃり (@kanaka1221) August 26, 2020
❄️ 札幌:銀世界を駆ける雪の歌姫
「雪ミク電車(市電)」
旭川から南下し、北海道の中心・札幌へ。冬の札幌、その主役は間違いなく彼女です。さっぽろ雪まつりの時期に合わせ、都心をぐるりと走る路面電車(市電)が「雪ミク(SNOW MIKU)」仕様に変身します。
ただのラッピング車両ではありません。レトロで温かみのある市電の車体が、その年ごとのテーマ衣装を身にまとったミクによって、近未来的なアートキャンバスへと進化するのです。白銀の世界に映える鮮やかな「ミクブルー」と、雪を巻き上げながら進む力強い姿のコントラストは圧巻。
車内アナウンスがミクの声(担当声優)に切り替わる特別仕様もファンにはたまりません。交差点で信号待ちをする彼女の姿を見かけた時、「ああ、今年もこの季節が来た」というときめきは、道産子にとっても観光客にとっても、特別な冬の風物詩なのです。
#札幌 発の仮想アイドル「#初音ミク」の冬季版「#雪ミク」を車体にデザインした 札幌市の路面電車(市電)の運行が15日開始。14日に今季の車両が報道関係者に公開。今冬は「しあわせパティスリー」がテーマです。記事はこちらから▽ https://t.co/cqzH6XbIlo pic.twitter.com/WmEN8tpnjM
— 北海道新聞写真映像部 (@photo_doshin) November 15, 2025
ニッカおじさんと雪ミク電車#雪ミク2026#SNOWMIKU2026 pic.twitter.com/hbWROnwnQj
— ゴシちゃん (@3939_diva) November 15, 2025
🐎 十勝・帯広:開拓の魂を運ぶ馬たち
「ばんえい競馬ラッピングバス」
十勝平野の雄大な風景の中、一際力強いオーラを放つバスがあります。それが、世界で唯一のひき馬レース「ばんえい競馬」をPRする十勝バスです。
車体に描かれているのは、最大1トンもの鉄ソリを曳き、砂煙を上げて障害を越える「ばん馬」たちの勇姿。体重1トンを超える巨体が筋肉を躍動させる姿は、静止画でありながら、荒い鼻息まで聞こえてきそうなほどの圧倒的な迫力があります。
とかち帯広空港と市内を結ぶリムジンバスなどに施されたこのデザインは、まさに十勝開拓の魂(スピリット)そのもの。
「これから、あの熱気の中に飛び込むのだ」
バスの車窓から十勝晴れの空を見上げつつ、かつて農耕馬として北の大地を切り拓いてきた馬たちのドラマに思いを馳せる。それもまた、この地でしか味わえない、特別な経験なのです。
十勝帯広といえばばんえい競馬
— KMB (@brand_new_kmb) May 10, 2019
リムジンバスの経路に帯広競馬場があるってんで広告も出てるわけですねぇ。曜日が合えば見てみたい。
んでもってWB長めのセレガにWifi搭載とは・・・。 pic.twitter.com/WWzCeaC0dz
♨️ 登別:湯けむりの誘惑
温泉地へ誘う極上のプロローグ
札幌から高速バスに揺られて向かう先は、北海道屈指の名湯・登別温泉。
移動しているのは身体だけではなく、「癒やしへ向かう気持ち」も同じです。車窓から見える雪山の白さが深まるほど、旅の実感が静かに満ちていきます。
温泉街に入るとまず目に留まるのが、赤鬼と青鬼をイメージした低速電動バス「オニスロ」。
力強さの中にどこか愛嬌を感じるその姿は、登別らしさを体現した“動くランドマーク”のような存在です。ゆっくりと観光客を運ぶそのスピードもまた、旅人の心を落ち着かせてくれます。
それはまるで、鬼たちがこう告げているかのよう。
――「ここからは、非日常。思う存分くつろいでいって。」
バスに乗った瞬間から始まる温泉旅。
その序章はすでに、湯けむりの気配とともに進んでいます。
らくらく便利に #登別 を楽しもう🎶
— 北海道登別市@ふるさと魅力発見隊【公式】 (@noboribetsu_fu) August 10, 2023
グリーンスローモビリティ「オニスロ」🚍
環境に優しい低速電動バスが #北海道 登別温泉地区を運行中💕区間内で手を挙げれば停まってくれて、降りたいところで運転手さんに声をかければ降車できるよ!#観光 やショッピングにも🙆♀️
▶https://t.co/IiaVTiB7RW pic.twitter.com/XC2PCJ8luu
🦑 函館:冬の情景と食欲が交差する街
朝市の誘惑が紡ぐ、函館ロマン
旅の終着点は、函館。ここでは、「食欲」を刺激するバス広告が、フィナーレを飾ります。
視覚で味わう「函館グルメ」
イカ、 カニ、イクラ、ウニ……。函館のバスや市電の広告は、地元の海鮮やジンギスカンなどの広告が多く、見るだけでお腹が鳴る「飯テロ」広告がいくつも存在します。
朝市で新鮮な海鮮を心ゆくまで味わい、松前漬けに箸を伸ばす。
夜は市内でジンギスカンに舌鼓を打ち、旅の余韻に浸ります。
そして締めくくりには、函館名物の「いかようかん」をお土産に選ぶ——。
バス広告が誘う“次の一皿”は、旅の楽しみを最後まで途切れさせません。
2025.9.29
— 鱈子船長 (@tarako15_14H) September 29, 2025
函館市電 教習車
716号(駒場ー十字街ー函館どっく前)
719号(駒場ー十字街ー谷地頭) pic.twitter.com/vQtHAM5ANs
【函館バス】函館200か・983(S4489)、日デRA+西工96MC・B-Ⅱ
— ホッケ@別館【交通系アカウント】 (@guranburu_go) December 8, 2025
2024.05撮影 pic.twitter.com/PDEi93vtr2
函館バスは「いかようかん」に侵食されてる! https://t.co/61dPfO9fEA pic.twitter.com/szArEvJbRk
— H1196駒形花火のうっちゃり (@taka83548990) July 28, 2025
さらに函館バスの一部車両の車内にはイカや五稜郭のモチーフがあしらわれたシートも存在し、函館観光がさらに盛り上がります。
さっき乗った函館バスの車両がとてもよかったのでメモ…!長距離路線で運用されることもあるからか、路線バスなのにコンセントがついているし、背もたれにも降車ボタンがあって、手を伸ばずともボタンが押せるし、シートモケットもかわいいし〜🫶このまま乗って遠くに行きたいなぁと思える車両だった🥹 pic.twitter.com/4XdWmtwIer
— 堀 若菜 (@hori__wakana) November 24, 2025
旅の終わりに
北海道のバス旅は、単にA地点からB地点へ移動するための時間ではありません。
動物たちとの出会いに心が和み、雪ミクに胸が躍り、温泉で旅の疲れを癒やし、函館グルメを味わいながら、冬の北海道ならではの美しい景色や貴重な光景を体験していく——。
そのすべてが、雪のように静かに積み重なり、気が付けばかけがえのない経験へと変わっていきます。
次に北海道を訪れる際は、ぜひ街を走る市電やバス、そしてそこに掲げられた広告にも目を向けてみてください。
そこには、ガイドブックには載っていない、生き生きとした北海道の表情が、今日も走り続けています。

