各党の憲法改正草案、確認しましたか?
参院選の争点の1つに「憲法改正」がありますが、消費税や移民問題と比べるとあまり注目されていないように感じます。9条だけでなく、国民の権利や自由にも関わる問題です。投票前に、必ず公開されている各党の草案や考えを見る必要があると思います。今、もし憲法改正の国民投票になったら、選挙にさえ関心がない国民がきちんと判断できるでしょうか。
もし国会で改正案が通ったら・・・
埋め込みがうまくできなかったのですが、以下、NHKのサイトから転載です。
憲法改正の場合の手続きは - みんなとわたしの憲法 NHK より

【参議院選挙の争点 詳しく】憲法改正【7月20日投票】 | NHK | 参議院選挙 2025年7月1日

憲法改正を発議するには、改正原案を国会に提出し、衆議院と参議院それぞれのすべての議員のうち3分の2以上の賛成が必要です。

そのうえで改正案を国民にはかり、投票した人の過半数の賛成が必要になります。投票する人が少なければ、その中での過半数の賛成で決まってしまうということです。これはとても怖いことだと思います。
選挙の投票率さえ50%に届くかどうかという関心のなさで、国民投票(18歳以上)を行って決められてしまう可能性があるということです。
憲法は「国が守らなければならないルール」
憲法と法律は違います。以下、朝日新聞(2018年4月29日)より。
「国の最高法規」と言われる憲法は、「だれもが生まれながらに持っている、人間が人間らしく生きる権利」、つまり基本的人権を守るための原則や、国会(立法)、内閣(行政)、裁判所(司法)などによって国を運営する仕組みを定めていますが、法律とは大きく違う点があります。
例えば刑法では人を傷つけたり、人から物を盗んだりしてはいけないと決められていて、違反すれば罰せられます。このように国民が守るべきルールが定められているのが法律です。
これに対して憲法は、国が守らなければならないルールです。国は憲法に違反する法律をつくることはできません。
最高法規である憲法を簡単に変えることができると、国の運営が不安定になったり、国民の人権が十分に保障されなくなったりしてしまう心配が出てきます。そのため、ほとんどの国では憲法を改正するには、法律の制定や改正よりも厳しい条件を課しています。
憲法は、権力者が暴走しないために、国が守らなければならないルールなのです。
けれども、どの党の改憲草案も、国が国民を思い通りにしたいために書き換えようとしているように思えます。
<参考>




自民党の日本国憲法改正草案
例えば自民党の改正草案は、9条以外もあちこちいじられています。

↓

「天皇は日本国の元首」であると、入れなければならない理由は何なのでしょうか。
Q&には、下記のように書かれています。

この説明で、納得できますか?
「象徴」のままではどんな不都合があるのか、きちんと説明してほしいです。

↓

「いかなる奴隷的拘束も受けない」を「社会的又は経済的関係において身体を拘束されない」に変える必要はどこにあるのでしょうか。

意味が変わらないなら、なぜ変える必要があるのでしょうか。「身売りのようなことを想定している」と言っていますが、「のようなこと」にどこまで含まれるのかわかりません。


公益及び公の秩序については、以前の記事で取り上げました。

↓

97条はまるごと削除です。

国会機能維持条項(緊急事態条項)
さらに、注目しなければならないのが新設される98条です。



長いので、続きはPDFでご確認ください。
“選挙困難な緊急時は国会議員任期を延長” 自民党 日本維新の会 国民民主党 公明党など改憲骨子案 | NHK | 憲法 NHK 2025年6月12日 より
憲法改正をめぐり自民党などは、大規模災害などで選挙を行うことが困難な事態に国会の機能を維持するため、国会議員の任期を延長できるようにする条項の骨子案を衆議院憲法審査会の幹事会で示しました。
12日開かれた衆議院憲法審査会の幹事会では自民党、日本維新の会、国民民主党、公明党などが「国会機能維持条項」の骨子案を示しました。
それによりますと自然災害や感染症のまん延、武力攻撃、テロや内乱などが起き、広範な地域で国政選挙を実施することが相当程度、長期間にわたって困難だと認められる場合、議員が不在になるのを避け国会の機能を維持するため、国会議員の任期を延長するとしています。
緊急事態の定義や終了時期の判断は、どうするのでしょうか。新型コロナのパンデミックも、WHOの事務局長がパンデミックだと言ったら、パンデミックということになりました。明確な定義などなかったのです(下記参照)。
自分たちがずっと議員でいたいからと、権力を濫用する人たちが出てくる懸念もあります。
選挙停止案は国民の権利・自由を奪う!?
多くの弁護士会が、選挙を停止して国会議員の任期を延長する憲法改正案に反対しています。選挙停止案には、国民の権利・自由が失われる危険があるからです。
憲法改正の何が問題なの?


自然災害等で選挙ができない地域が出る場合は、「繰延投票」(公職選挙法57条)や「参議院の緊急集会」(憲法54条2項)で対応したり、それでも対応できない事態であれば公職選挙法の改正で対応することもできるのに、憲法を改正しようとしています。
公職選挙法
日本国憲法
弁護士会の声明
緊急事態時に国会議員の任期延長を認める憲法改正に反対する会 千葉弁護士会 会長声明
反対意見は、探せばもっとでてきます。
以下、一例として、山口県弁護士会 会長声明(2024/03/28)から一部引用。
4、選挙停止案は重大な危険性を含む改正案であること
選挙停止案には国民の権利・自由が失われる危険がある。すなわち、内閣及びこれを支える与党議員が国政選挙を実施できないような「緊急事態」であると認定しさえすれば、事実上、いつまでも「緊急事態」を延期して国政選挙を回避し、選挙による国民の審判を恐れることなく政権を運営できることになる。
歴史的な事実として、例えば、わが国では1941年(昭和16年)2月に衆議院議員の任期を延長した後に対英米戦争を開戦し、1942年の衆議院議員総選挙では、政府の戦争遂行政策を支持する候補者を翼賛政治体制協議会が推薦し、非推薦候補には激しい選挙干渉が加えられるという翼賛選挙が実施され、その間、国民は、戦争や国家総動員法の大幅改正のような国民の権利を制約する個別立法に対して選挙による審判を下すことができなかった。ナチスドイツの独裁も、議事堂放火事件という「緊急事態」をきっかけとしたものである。
選挙が停止されるということは、国民の権利を制約する個別立法に対して審判を下す機会を奪われ、また、独裁につながる危険があるということである。
さらに、仮に選挙を停止できる条項があった場合、例えば、このたびのコロナウイルス禍の際に、内閣が「感染がおさまっておらず選挙できる状況にない」と認定する限り、選挙を回避し続けることができたことになる。
しかも「緊急事態」か否かの判断権者は内閣・国会とされており、内閣・国会には選挙の停止によって国民からの審判を回避できる利益があるから、その判断の客観性は保障されない。また、司法権は事後的な判断であって、適時に判断できるものではないから、国民の権利に対する制限を適時に排除することはできない。
2023.03.30 国民民主党のサイトより
国民民主党・日本維新の会・有志の会は30日、院内にて共同で記者会見を行い、国民民主党からは玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)、礒﨑哲史憲法調査会事務局長(参議院議員/全国比例)が出席した。
冒頭、二党一会派でとりまとめた議員任期延長に関する憲法改正条文案を発表し、説明を行った。条文案では、「いかなる緊急事態においても国会機能を維持し、権力を統制・分立すること」を基本に、緊急事態における議員任期延長の実体要件、その認定手続き、効果等を定めている。具体的には、➀武力攻撃、②内乱・テロ、③自然災害、④感染症のまん延、⑤その他これらに匹敵する事態の発生を前提に「広範な地域において国政選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明らか」な場合には、内閣の発議と3分の2の国会議決を経ることを条件に、6ヶ月を上限に任期延長を認めること等を定めている。
国民民主党も日本維新の会も、選挙停止には賛成ということです。

参政党は2022年から積み重ねてきたという、新憲法の草案を公開しています。
現行憲法とはまったく別もので、国民の自由や権利を守るためというより、「しなければならないこと」や「そうあるべき」ということが書かれているもののような印象です。
憲法は「国が守らなければならないルール」なのに、「国は、主権を有し」と書かれていて、「国民主権」と書かれていないことも気になりました。また、「国民の生活は、社会の公益が確保されることによって成り立つものであり」など、「公益」が強調されているようにも感じます。
これは憲法といえるのでしょうか。これで基本的人権や言論の自由などが、今までのように守られるとは思えないのですが・・・。
立憲民主党は「論憲」というスタンスを取っているとのことで、潮目を見てどちらにも行く可能性があるということだと思います。
例えば、2021年の国民投票法改正。
参議院本会議は6月11日、改憲手続きを定める国民投票法改正案を自民党、立憲民主党などの賛成多数で可決した。
菅首相(当時)がこの国民投票法改正を「改憲への第一歩」と発言したとのことですが、それに立憲民主党は賛成していたのです。
参院選の結果次第では、自公に国民民主(27議席)や維新(38議席)が加わる「連立拡大」や、自民・立憲の「大連立」などの可能性も指摘されています。
街頭演説などを聞いて投票しようと決めた党があるなら、改憲についての考えもしっかりと確認しましょう。それでもその人やその党に投票したいと思うならよいですが、調べずに投票して後悔することになっても遅いのです。憲法は一度変えたら、簡単には戻せないでしょう。
私たちが投じる1票には、その「重み」があることも忘れてはいけないと思います。
新しくできた党や無所属の候補者についても、改憲に関する意見を必ず確認しましょう!
<参考>
