政令改正により長崎大学でエボラウイルス研究が可能に! パブコメ締め切り間近(12/14 23時59分)
エボラウイルスなど致死率の高い病原体を使った実験をするために、長崎大学が稼働を目指すバイオセーフティーレベル(BSL)4施設について、審査していた厚労省が「合格」の判断をしました。必要な政令を改正して厚労相が指定すると、最も危険な病原体を研究目的で扱える国内初の施設が住宅密集地で稼働してしまいます。福島の原発も「安全」と言われていたのに、「想定外」のことが起きました。これは、他人事ではありません。政令の改正前に、パブコメを募集しています。12月14日23時59分までに、ぜひ意見を送りましょう!
政令の改正
エボラウイルスなどは感染症法で「1種病原体」に規定されており、所持するには厚労相から指定されなければなりません。現行では所持者を国や独立行政法人に限定していますが、政令を改正して長崎大学を追加しようとしています。12月14日23時59分まで募集しているのが、それに関する意見です。
※住所や氏名は任意です。書かなくても意見は送れます。
2.改正の概要
○ 感染症法施行令に、感染症法第 56 条の3第2項の政令で定める法人として新たに国立大学法人長崎大学を定める。
改正前の感染症法第 56 条の3第2項


(平成十年法律第114号)
長崎大学がエボラウイルスなどの「一種病原体」を所持できるように、この部分を改正するということだと思います。
問題点については、虹雲猫さんが詳しく書いてくださっています。
近隣住民が思いを語った動画なども紹介しているので、パブコメを書く前にぜひご覧になってください。
長崎大学とエボラ出血熱の関係
「国又は独立行政法人」に限定されていたのに、「長崎大学」が加わるというのはとても唐突に感じます。なぜ長崎大学を加えることになったのか気になったので、長崎大学のプレスリリースなどを掘り起こしてみました。
2024 年 9 月30 日付のリリースで、長崎大学はロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)元学長の Peter Piot(ピーター・ピオット)博士へ、「長崎大学名誉博士」の称号を授与することを決定したと発表しました。
Peter Piot 博士へ「長崎大学名誉博士」の称号を授与(2024年9月30日)
PeterPiot 博士は、1976 年ザイールにてエボラウイルスを共同発見したことで世界的に知られているそうです。長崎大学では熱帯医学・グローバルヘルス研究科(TMGH)の重要な連携機関の一つとして、PeterPiot 博士が学長を務めた LSHTM と緊密な関係を築いているとのことですが、PeterPiot 博士の経歴で下記の部分が気になりました。
Peter Piot 博士(1949 年生まれ・75 歳)は、ベルギー出身。臨床医であるとともに微生物学者でもあり、1976 年ザイールにてエボラウイルスを共同発見したことで世界的に知られています。1995 年から 2008 年まで国連合同エイズ計画(UNAIDS)初代事務局長、国際連合事務次長を務めたほか、アフリカにおける HIV/AIDS、女性の健康と感染症に関する先駆的研究を主導。欧米、アフリカの研究機関で教鞭をとる傍ら、2009 年にビル&メリンダ・ゲイツ財団シニアフェローに就任。
2009 年にビル&メリンダ・ゲイツ財団シニアフェローに就任
ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、「Gaviワクチンアライアンス」やワクチン「100日ミッション」を推し進める「CEPI」に多額の資金提供をしています。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団と長崎大学との関係を知るために、さらに掘り起こしました。
2015年11月20日
子どもに対する肺炎球菌ワクチンの効果を調査 ベトナム拠点活用し来年から実施
熱帯医学研究所は来年1月から約12億円を投じ、ベトナム拠点を活用して途上国における子どもを対象とする肺炎球菌ワクチンの効果についての調査を行います。これは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて実施されるもので、途上国などでの肺炎球菌による子どもの感染/死亡の大幅な抑制を狙ったものです。日本の大学または研究所がビル&メリンダ・ゲイツ財団より数百万ドルの研究資金を獲得するのは、これが初めてとなります。
【研究期間】
4年 研究開始日:2016年1月1日 研究終了日:2019年12月31日
【資金提供機関】
ビル&メリンダ・ゲイツ財団
資金タイプ:グローバルヘルス、肺炎 Global Health, Pneumonia
総資金:9,998,388米ドル(Project ID: OPP1139859)
「日本の大学または研究所がビル&メリンダ・ゲイツ財団より数百万ドルの研究資金を獲得するのは、これが初めてとなります」とのことで、ここからビル&メリンダ・ゲイツ財団との関係が深まっていったのかもしれません。
熱帯医学研究所は、1942年に長崎医科大学付属東亜風土病研究所として開設され、その後1967年に長崎大学附置熱帯医学研究所となったそうです。『熱帯・新興ウイルス感染症研究に関するWHO研究協力センター』として指定を受けて当該分野での国際的な協力を行っており、WHOの倫理コースの開催、WHO/GOARNメンバーとしてグローバルな新興感染症対応への協力、JICA国際協力事業や緊急援助隊への参画などを通じて貢献しているとのこと。
「WHO/GOARN」とは、“Global Outbreak Alert and Response Network”の略で、エボラ出血熱等の国際感染症の危機発生時に世界屈指の感染症対策チームを迅速に派遣・運営する国際的な枠組みとして、世界保健機関(WHO)や全世界のパートナー機関により2000年に設立されたそうです。
長崎大学はWHOが進めようとしていることに賛同し、そのメンバーに入っているということのようで、2023年には下記のリリースも出していました。
G7 ⻑崎保健⼤⾂会合に向けた
顧みられない熱帯病(NTDs)制圧に関する声明
「⻑崎アウトカム・ステートメント」を策定(2023年5月16日)
⻑崎⼤学の河野茂学⻑は「新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策に多くの資源が割かれ、対策や研究などが⼤きく後退した顧みられない熱帯病(NTDs)に対して、世界保健機関(WHO)による緊急事態宣⾔の終了が発表されたこの時期に、NTDs 対策と研究開発の再活性化の必要性をG7 議⻑国である⽇本から発信できた意義は⼤きいと思います。⽇本を代表する熱帯医学研究施設を持つ本学は、学術界のみならず、産官学⺠を繋ぎ、世界の NTDs 対策に貢献してまいります」と述
べています。
長崎アウトカム・ステートメント「顧みられない熱帯病(NTDs)」コミュニティ⼀同(順不同)
公益社団法⼈グローバルヘルス技術振興基⾦(GHIT Fund)、国⽴⼤学法⼈⻑崎⼤学、Uniting to Combat NTDs、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ(DNDi)、The END Fund、The Global Health Innovation Alliance Accelerator (GHIAA)、Global Institute for Disease Elimination (GLIDE)、⽇本顧みられない熱帯病アライアンス (JAGntd )、⽇本製薬⼯業協会(JPMA )、Medicines Development for Global Health、Merck KGaA、MSF Access Campaign (国境なき医師団)、⼩児⽤プラジカンテル・コンソーシアム、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)、世界保健機関(WHO)グローバル NTD プログラム及びアフリカ地域事務所(AFRO)、ベイラー医科⼤学、the Special Programme for Research and Training in Tropical Diseases (TDR)、国連開発計画-アクセス&デリバリーパートナーシップ
長崎大学高度感染症研究センター長は、テレビでおなじみの森内浩幸氏です。
国立感染症研究所の村山庁舎(東京都武蔵村山市)
日本には、すでにエボラウイルスなどをマウスに感染させる動物実験を開始した施設があります。
その前に、長崎大学のBSL-4がある場所を確認しておきます。

住宅地や浦上教会、小学校などがすぐ近くにあります。
この「設置の経緯」のページには、国立感染症研究所の村山庁舎のことも書かれていました。
一方、日本では1981年に、国立感染症研究所の村山庁舎(武蔵村山市)に、BSL-4病原体に対応できる施設を建設しましたが、住民の中に反対があることを踏まえ、BSL-4施設としての使用を見合わせていましたが、2015年8月感染症法に基づき、感染症の診断を主な目的として、厚生労働省よりBSL-4施設(法令用語では「特定一種病原体等所持施設」)として指定され、現在稼動しています。
下記の記事(2024年3月27日付)には、「エボラ出血熱の原因となるエボラウイルスなどをマウスに感染させる動物実験を開始した」と書かれています。
村山庁舎は、処置が必要な感染症患者が発生したときに稼働すると思っていたのですが、動物実験が行われているとは知りませんでした。
下記の記事には、「村山庁舎は患者の診断や治療に特化しており、予防法や治療法の開発目的の研究はできない」と書かれているのですが、治療薬の効果を確かめるための動物実験はよいのでしょうか。
2020年12月の記事には、「去年9月、エボラ出血熱のウイルスが運び込まれ、検査法の精度の検証などが行われています」と書かれていますが、この施設がある村山庁舎の老朽化が指摘されており、エボラ出血熱のウイルスの搬入にあたっては、周辺住民の反対などもあったと書かれています。さらに、移転も検討しているとのこと。
報告書には、BSLー4の立地条件(移転先)が書かれています。
■BSL-4施設だけが他の施設と離れたところに位置しないこと。
■厚生労働省と近距離であること。少なくとも、現在の村山庁舎と厚労省との距離(およそ29キロメートル)から大きく離れるようなことがあってはならない。
■自然災害による被害を少なくできることが求められる。
■地元との十分なコミュニケーションに基づき、地域の方々の理解を得る必要がある。
■BSL-4施設の計画から建設、承認、地元住民の理解を得た稼働にはおよそ5年から7年以上の月日が必要と予想される。
■国の感染症対策の基盤を担う感染研にBSL-4施設が存在しない事態は、短期間であったとしても絶対に避けなければならない。
長崎だから関係ない、武蔵村山だから関係ないということではありません。すべては、私たちの生活に関係していることです。無関心でいては、このようなことがどんどん勝手に決められてしまいます。
たとえ小さなことでも、今自分にできることは何か考えて、できることをやりましょう!
パブコメは、12月14日(土)23時59分までです!!
